[PA-8-1] 当院脳卒中患者の院内車椅子駆動自立に影響を与える要因の検討
【はじめに】脳卒中患者の車椅子駆動に影響を与える要因を検討している研究は散見されるが,主に身体機能に関する要因について述べられており,高次脳機能の影響は明らかにされていない.大田尾らの研究では,脳卒中片麻痺患者における車椅子駆動の可否に立位バランスと腹筋力の影響を述べているが,高次脳機能の評価は行っておらず,今後の課題として挙げている.
【目的】車椅子駆動に影響する要因の検討を行い,脳卒中患者の車椅子駆動支援について検討すること.
【方法】対象は,当院回復期リハビリテーション病棟入院患者で,入院時に車椅子を使用していた方とした.カルテ情報を後方視的に分析し,Functional Independence Measure(以下,FIM)を参考に,50mの駆動が可能であった者を入院時車椅子駆動自立群(以下,自立群)とし,車椅子駆動介助群(以下,介助群)との2群に分けた.調査項目は,年齢,性別,疾患名,麻痺側, Brunnstrom stage(以下,Br.stage),FIM,Berg Balance Scale(以下,BBS),Mini Mental State Examination(以下,MMSE),Trail Making Test日本版(以下,TMT-J),BIT行動性無視検査日本版(以下,BIT)を使用した.2群間の比較には,χ2検定,Mann-WhitneyのU検定を行い,各項目の関連は,Spearmanの順位相関係数を用いて相関係数を求めた.結果の解釈は津島の解釈方法を参考に判断した.解析にはSPSS Ver.29を使用し,統計学的有意水準は5%とした.本研究は筆者所属の倫理審査委員会の承認を得て実施した.
【結果】対象は43名で,自立群30名,介助群13名であった.年齢は自立群60.4±12.6歳,介助群66.2±10.8歳,性別は自立群男性25名,女性5名,介助群男性10名,女性3名であった.麻痺側は自立群右側15名,左側15名,介助群右側8名,左側5名であった.自走群と介助群の属性を比較した結果,年齢,性別,麻痺側に有意な差はなかった.車椅子自走自立群と介助群の各測定項目を比較した結果,Br.stageは,自立群上肢4.4±1.3,手指4.5±1.4,下肢4.5±0.7,介助群上肢2.9±1.5,手指3.0±1.7,下肢3.7±1.4と自立群の方が有意に上肢(p<0.01),手指(p=0.01)のBr.stageが高かった.非麻痺側握力は,自走群31.7±8.9kg,介助群21.2±7.3kgで自立群が有意に高かった(p<0.01).FIM運動項目は自立群53.2±10.9点,介助群34.0±10.9点,認知項目は自立群27.8±4.9点,介助群20.4±7.0点で運動項目,認知項目ともに自立群が有意に高かった(p<0.01).BBSは自立群34.6±11.8点,介助群19.3±14.7点で自立群が有意に高かった(p<0.01).BBSは自立群34.6±11.8点,介助群19.3±14.7点で自立群が有意に高かった(p<0.01).MMSEは自立群27.8±2.7点,介助群23.7±6.1点で自立群が有意に高かった(p<0.01).TMT-J Part A/Bは自立群58.6±19.1秒/105.0±47.2秒,介助群218.4±134.7秒/291.6±146.2秒でどちらも自立群が有意に短かった(p<0.01).BITは自立群143.0±2.3点,介助群125.9±11.2点で自立群が有意に高かった(p<0.01).各項目の関連はTMT-J PartA(ρ=-0.78,p<0.01),B(ρ=-0.70,p<0.01)に自立群と強い負の相関があった.
【考察】今回の結果から,車椅子駆動は注意機能と関連があることが示唆されたと考える.車椅子駆動の支援は,身体機能だけでなく,高次脳機能の評価や介入も行うことで,入院時の早期な移動能力獲得に繋げることができると考える.
【限界】本研究では,年齢によるTMT-Jの成績に及ぼす影響を考慮していない.今後,対象者数を増やし,年齢による影響を考慮することや多変量解析での分析を検討したいと考える.
【目的】車椅子駆動に影響する要因の検討を行い,脳卒中患者の車椅子駆動支援について検討すること.
【方法】対象は,当院回復期リハビリテーション病棟入院患者で,入院時に車椅子を使用していた方とした.カルテ情報を後方視的に分析し,Functional Independence Measure(以下,FIM)を参考に,50mの駆動が可能であった者を入院時車椅子駆動自立群(以下,自立群)とし,車椅子駆動介助群(以下,介助群)との2群に分けた.調査項目は,年齢,性別,疾患名,麻痺側, Brunnstrom stage(以下,Br.stage),FIM,Berg Balance Scale(以下,BBS),Mini Mental State Examination(以下,MMSE),Trail Making Test日本版(以下,TMT-J),BIT行動性無視検査日本版(以下,BIT)を使用した.2群間の比較には,χ2検定,Mann-WhitneyのU検定を行い,各項目の関連は,Spearmanの順位相関係数を用いて相関係数を求めた.結果の解釈は津島の解釈方法を参考に判断した.解析にはSPSS Ver.29を使用し,統計学的有意水準は5%とした.本研究は筆者所属の倫理審査委員会の承認を得て実施した.
【結果】対象は43名で,自立群30名,介助群13名であった.年齢は自立群60.4±12.6歳,介助群66.2±10.8歳,性別は自立群男性25名,女性5名,介助群男性10名,女性3名であった.麻痺側は自立群右側15名,左側15名,介助群右側8名,左側5名であった.自走群と介助群の属性を比較した結果,年齢,性別,麻痺側に有意な差はなかった.車椅子自走自立群と介助群の各測定項目を比較した結果,Br.stageは,自立群上肢4.4±1.3,手指4.5±1.4,下肢4.5±0.7,介助群上肢2.9±1.5,手指3.0±1.7,下肢3.7±1.4と自立群の方が有意に上肢(p<0.01),手指(p=0.01)のBr.stageが高かった.非麻痺側握力は,自走群31.7±8.9kg,介助群21.2±7.3kgで自立群が有意に高かった(p<0.01).FIM運動項目は自立群53.2±10.9点,介助群34.0±10.9点,認知項目は自立群27.8±4.9点,介助群20.4±7.0点で運動項目,認知項目ともに自立群が有意に高かった(p<0.01).BBSは自立群34.6±11.8点,介助群19.3±14.7点で自立群が有意に高かった(p<0.01).BBSは自立群34.6±11.8点,介助群19.3±14.7点で自立群が有意に高かった(p<0.01).MMSEは自立群27.8±2.7点,介助群23.7±6.1点で自立群が有意に高かった(p<0.01).TMT-J Part A/Bは自立群58.6±19.1秒/105.0±47.2秒,介助群218.4±134.7秒/291.6±146.2秒でどちらも自立群が有意に短かった(p<0.01).BITは自立群143.0±2.3点,介助群125.9±11.2点で自立群が有意に高かった(p<0.01).各項目の関連はTMT-J PartA(ρ=-0.78,p<0.01),B(ρ=-0.70,p<0.01)に自立群と強い負の相関があった.
【考察】今回の結果から,車椅子駆動は注意機能と関連があることが示唆されたと考える.車椅子駆動の支援は,身体機能だけでなく,高次脳機能の評価や介入も行うことで,入院時の早期な移動能力獲得に繋げることができると考える.
【限界】本研究では,年齢によるTMT-Jの成績に及ぼす影響を考慮していない.今後,対象者数を増やし,年齢による影響を考慮することや多変量解析での分析を検討したいと考える.