[PA-8-11] 脳卒中上肢重度麻痺に対する反復性末梢磁気刺激治療の効果
【目的】反復性末梢磁気刺激(repetitive Peripheral Magnetic Stimulation:以下rPMS)は,ニューロリハビリテーション治療技術のひとつであり,神経再構築を促進することが示唆されている.重度の上肢麻痺に対するrPMS治療による機能改善の効果を示した報告は少なく,基準条件は確立されていない.今回,脳卒中後に重度の上肢麻痺を呈した症例に対して,徒手や課題指向型訓練による作業療法と併行し,rPMSを実施した結果,上肢機能に改善をみとめた.脳卒中後上肢重度麻痺に対するrPMS治療の効果を報告する.本報告は,患者・家族へ説明し書面にて同意を得た.
【症例】85才男性.右利き.右外側線条体動脈領域のBADで入院.4病日,BAD進行により上肢麻痺増悪(BRSⅡ-Ⅱ→Ⅰ-Ⅰ).29病日,回復期リハビリテーション目的に当院転院.転院時,上肢機能はBRSⅡ-Ⅱ,FMA2/66点,ARAT0/57点であった.発症から2か月経過,上肢麻痺に改善をみとめず,63病日,機能改善を目的にrPMSを開始した.
【方法】rPMS(MagPro R30)週5日,作業療法60分週7日を4週間実施した.rPMS周波数30Hz,duty cycle on2秒off3秒,疼痛を感じない最大強度とし,棘上筋・棘下筋・小円筋・三角筋中後部を標的筋に2,800発,指伸筋・撓側手根伸筋・尺側手根伸筋・回外筋を標的筋に1,440発を実施した.上肢機能評価はrPMS開始時・2週間目・終了時に実施した.
【結果】rPMS開始時と終了時の上肢機能を比較し,BRSⅡ-Ⅱ→Ⅳ~Ⅴ-Ⅴ,FMA9→37/66点,ARAT0→8/57点,WMFT1800.00→750.94秒FAS3→39/75,JASMID使用頻度0→20動作の質0→17であった.
【考察】BAD進行により増悪した上肢重度麻痺に対して,作業療法と併行しrPMSを実施した結果,上肢機能に改善をみとめた.rPMSによる深部の運動神経と固有感覚神経の興奮が伝導路の興奮性を高め,神経再構築により随意運動の改善をもたらしたと考える. 一方で,生活で使える手としての能力を獲得するには至らなかった.機能を活動に繋げるためには,徒手や課題指向型訓練及び作業活動を含めた複合的な介入手法の連携が必要である.多種ある治療手段の中で,本結果は,rPMSが重度麻痺を呈した上肢機能の土台作りとして有効な手段のひとつである可能性を示唆したと考える.本報告の限界点は症例報告なことにある.rPMSを標準的治療手段のひとつとして症例を重ね,効果検証,基準条件の検討を進めていきたい.
【症例】85才男性.右利き.右外側線条体動脈領域のBADで入院.4病日,BAD進行により上肢麻痺増悪(BRSⅡ-Ⅱ→Ⅰ-Ⅰ).29病日,回復期リハビリテーション目的に当院転院.転院時,上肢機能はBRSⅡ-Ⅱ,FMA2/66点,ARAT0/57点であった.発症から2か月経過,上肢麻痺に改善をみとめず,63病日,機能改善を目的にrPMSを開始した.
【方法】rPMS(MagPro R30)週5日,作業療法60分週7日を4週間実施した.rPMS周波数30Hz,duty cycle on2秒off3秒,疼痛を感じない最大強度とし,棘上筋・棘下筋・小円筋・三角筋中後部を標的筋に2,800発,指伸筋・撓側手根伸筋・尺側手根伸筋・回外筋を標的筋に1,440発を実施した.上肢機能評価はrPMS開始時・2週間目・終了時に実施した.
【結果】rPMS開始時と終了時の上肢機能を比較し,BRSⅡ-Ⅱ→Ⅳ~Ⅴ-Ⅴ,FMA9→37/66点,ARAT0→8/57点,WMFT1800.00→750.94秒FAS3→39/75,JASMID使用頻度0→20動作の質0→17であった.
【考察】BAD進行により増悪した上肢重度麻痺に対して,作業療法と併行しrPMSを実施した結果,上肢機能に改善をみとめた.rPMSによる深部の運動神経と固有感覚神経の興奮が伝導路の興奮性を高め,神経再構築により随意運動の改善をもたらしたと考える. 一方で,生活で使える手としての能力を獲得するには至らなかった.機能を活動に繋げるためには,徒手や課題指向型訓練及び作業活動を含めた複合的な介入手法の連携が必要である.多種ある治療手段の中で,本結果は,rPMSが重度麻痺を呈した上肢機能の土台作りとして有効な手段のひとつである可能性を示唆したと考える.本報告の限界点は症例報告なことにある.rPMSを標準的治療手段のひとつとして症例を重ね,効果検証,基準条件の検討を進めていきたい.