[PA-8-18] リハビリテーション・モチベーションスケール短縮版の検討 予備的研究
【背景】
回復期リハビリテーション病棟の脳卒中患者におけるリハビリテーションのモチベーションは日常生活自立度と気分が関連している. 障害者の心理についてはその重要性が認識されているにも関わらず, 科学的分析は十分でない. リハビリテーションの治療効果には患者の意欲や動機づけは影響を与えることが示唆されているが, それらの臨床場面における評価は時間的制約などから実践されていない.
リハビリテーションにおけるモチベーションを評価する尺度としてリハビリテーション・モチベーションスケール (Motivation for Rehabilitation scale: MORE scale) があり, その有効性が報告されている. しかし, MORE SCALEは7件法18項目と項目数が多く, 評価に時間を要する課題がある. そこで本研究の目的はMORE scale の短縮版を検討するとした. 研究仮説として, 既存のMORE scaleとMORE scale短縮版の相関は高いとした.
【方法】
研究デザインは縦断観察研究とした. 対象は回復期リハビリテーション病棟に入院した脳卒中患者のうち, 認知機能の低下が見られない者とした. 対象はHDS-R (長谷川式簡易知能評価) の得点が20点以上の者とした. 除外基準は失語症を有するものとした. メインアウトカムはモチベーションの測定をMORE scale (18項目中, VASスケールを除いた17項目を解析対象とした), データの収集期間は2023年11月1日~2024年1月31日とし, データの測定方法として, MORE scaleは対象者から質問紙を用いて聴取した. HDS-Rはカルテを参照した. 統計解析は, MORE scaleの17項目の合計点と各項目との相関分析を実施した. その中で強い相関 (r=0.7以上) が見られた下位項目の合計点 (短縮版) と17項目の合計点との相関分析を実施した. 統計技法は基準関連妥当性をSpearmanの順位相関係数, 信頼性の検定を Cronbachのαと級内相関係数 (ICC) を用いた. 倫理的配慮として, 研究実施病院の倫理委員会の承認を得たうえで, 被験者には, 研究説明書・同意書を用いて同意を得た.
【結果】
研究実施期間中に被験者となった脳卒中患者は10名であった. 被験者の基本情報は女性3名, 年齢69±12歳, 疾患区分 (脳梗塞5名, 脳出血4名, 硬膜下血腫1名), HDS-R 27±4点であった. MORE scale (17項目) の合計点は97±16点であった. 合計点と下位項目での相関の結果, 項目4(r=.719, p=.019), 項目5(r=.874, p=.001), 項目6(r=.783, p=.007), 項目7 (r=.840, p=.004), 項目8 (r=.846, p=.002), 項目10(r=.706, p=.022), 項目12 (r=.820, p=.004) の7項目において強い相関が認められた. 強い相関が認められた7項目(短縮版) の合計点 (40±8点)とMORE合計点に強い相関が得られた (r=.912, p<.001). Cronbachのαは.859, ICCは.753 (p=.004)を用いた.
【考察】
本研究の結果からMORE scale 17項目中7項目で合計点と強い相関が得られた. また, 既存のMORE scale と短縮版の合計点では強い相関が得られ妥当性が確認された. また, 高い信頼性も示唆された. 短縮版の活用により短時間での対象者のモチベーション評価が可能となることが期待される. しかし, 本研究のサンプルサイズは10名と少なく, より多くのサンプルサイズでの再計算が求められる. また, それに伴い各項目間での因子分析も実施できておらずMORE scale 本来の尺度の有用性が損なわれている可能性も否定できない.
回復期リハビリテーション病棟の脳卒中患者におけるリハビリテーションのモチベーションは日常生活自立度と気分が関連している. 障害者の心理についてはその重要性が認識されているにも関わらず, 科学的分析は十分でない. リハビリテーションの治療効果には患者の意欲や動機づけは影響を与えることが示唆されているが, それらの臨床場面における評価は時間的制約などから実践されていない.
リハビリテーションにおけるモチベーションを評価する尺度としてリハビリテーション・モチベーションスケール (Motivation for Rehabilitation scale: MORE scale) があり, その有効性が報告されている. しかし, MORE SCALEは7件法18項目と項目数が多く, 評価に時間を要する課題がある. そこで本研究の目的はMORE scale の短縮版を検討するとした. 研究仮説として, 既存のMORE scaleとMORE scale短縮版の相関は高いとした.
【方法】
研究デザインは縦断観察研究とした. 対象は回復期リハビリテーション病棟に入院した脳卒中患者のうち, 認知機能の低下が見られない者とした. 対象はHDS-R (長谷川式簡易知能評価) の得点が20点以上の者とした. 除外基準は失語症を有するものとした. メインアウトカムはモチベーションの測定をMORE scale (18項目中, VASスケールを除いた17項目を解析対象とした), データの収集期間は2023年11月1日~2024年1月31日とし, データの測定方法として, MORE scaleは対象者から質問紙を用いて聴取した. HDS-Rはカルテを参照した. 統計解析は, MORE scaleの17項目の合計点と各項目との相関分析を実施した. その中で強い相関 (r=0.7以上) が見られた下位項目の合計点 (短縮版) と17項目の合計点との相関分析を実施した. 統計技法は基準関連妥当性をSpearmanの順位相関係数, 信頼性の検定を Cronbachのαと級内相関係数 (ICC) を用いた. 倫理的配慮として, 研究実施病院の倫理委員会の承認を得たうえで, 被験者には, 研究説明書・同意書を用いて同意を得た.
【結果】
研究実施期間中に被験者となった脳卒中患者は10名であった. 被験者の基本情報は女性3名, 年齢69±12歳, 疾患区分 (脳梗塞5名, 脳出血4名, 硬膜下血腫1名), HDS-R 27±4点であった. MORE scale (17項目) の合計点は97±16点であった. 合計点と下位項目での相関の結果, 項目4(r=.719, p=.019), 項目5(r=.874, p=.001), 項目6(r=.783, p=.007), 項目7 (r=.840, p=.004), 項目8 (r=.846, p=.002), 項目10(r=.706, p=.022), 項目12 (r=.820, p=.004) の7項目において強い相関が認められた. 強い相関が認められた7項目(短縮版) の合計点 (40±8点)とMORE合計点に強い相関が得られた (r=.912, p<.001). Cronbachのαは.859, ICCは.753 (p=.004)を用いた.
【考察】
本研究の結果からMORE scale 17項目中7項目で合計点と強い相関が得られた. また, 既存のMORE scale と短縮版の合計点では強い相関が得られ妥当性が確認された. また, 高い信頼性も示唆された. 短縮版の活用により短時間での対象者のモチベーション評価が可能となることが期待される. しかし, 本研究のサンプルサイズは10名と少なく, より多くのサンプルサイズでの再計算が求められる. また, それに伴い各項目間での因子分析も実施できておらずMORE scale 本来の尺度の有用性が損なわれている可能性も否定できない.