[PC-2-5] 当院での外来支援まで含めた在宅酸素療法の取り組み
【はじめに】在宅酸素療法(以下,HOT)導入の先行文献では「HOT導入時に行われた指導内容を退院後に十分実施できていないこと,日常生活で困惑することがあるため,継続した教育が必要」と言われている.当院では,HOT導入時,作業療法(以下,OT)にてHOT操作・ADL方法を習得し退院する流れとなっている.しかし,継続してHOTを使用し,ADLやQOLを維持できているかは不明であり,再入院した際に自己中断している事例や,帰ってから困ったという声も聞かれた.そこで,継続してフォローを受けられる環境作りを目的に, OTにて外来支援の取り組みを開始したので1症例を交え報告する.
【倫理的配慮】当院の所属機関における倫理委員会の承認と症例の同意を得ている.
【外来支援の取り組み方法】
対象:HOT導入し,当院外来フォローを受け,外来支援を希望された患者.
方法:初回・1ヶ月後・半年後の外来受診後にOTにて退院後の生活を聴取しフィードバックを実施.
【症例紹介】50歳代女性.HOTは導入していたが使用しておらず,禁煙も出来ていなかった.X日,呼吸苦にて当院へ救急搬送.慢性閉塞性肺疾患(以下,COPD)急性増悪,CO₂ナルコーシスにより,挿管・人工呼吸器管理となった.X+29日にOT開始.社会背景は,一戸建てに夫,息子と同居.入院前は,身の回りの動作は自立も,入浴は呼吸苦が強く夫の介助を要し,外出は困難であった.
【作業療法評価】酸素需要量は,安静時NC2L/分,動作時NC4L/分.HOTは「無いと苦しいし仕方ない.」と受け入れられた. ADLは起居や酸素カートを使用した室内歩行は見守りレベルであった.千住らのADL評価表(以下,NRADL)は14点で動作時の呼吸苦が強かった.退院後は,料理の再開と外出を希望された.
【介入経過】当初,HOTデバイスはポータブルタイプで常に携帯を要し,症例にとって面倒くささが強かった.デバイスを再検討し,自宅内は据え置きの酸素濃縮器,外出時は酸素ボンベをリュックに入れ,車椅子での使用へ変更した.症例と夫へHOT操作・ADL・禁煙指導,環境調整を経てX+52日に自宅退院となった.NRADLは25点で動作はゆっくりであるが,呼吸苦の軽減を認めた.
【1回目外来(X+74日)】「こたつで過ごすため,立ち座りで息切れが強い.動くのはトイレぐらい.入浴は週に1回介助で入れているが,自分で洗うと息苦しい.料理したいが,立っての作業が息苦しく出来ていない.車椅子で外食出来て嬉しかった.」と語った.HOTを使用出来ていることに対し賞賛を行った.また,動作時呼吸苦軽減のため,身体活動性向上を目標に,座位での料理方法や上下肢の筋力増強練習などを指導し,環境調整として椅子生活への変更検討を伝えた.NRADLは22点と歩行距離短縮等で減点となった.
【2回目外来(X+116日)】「椅子に変えて移動が楽になった.家の中を歩いて足の運動もしている.入浴は介助で週に2日,お湯の量の調整や,動作の慣れで息苦しさは減った.料理は,レンジで簡単なものを作った.出来る家事を増やそうと思っている.毎週末夫と車椅子で買い物へ出かけている.」と楽しそうに語った.環境調整や動作の工夫ができており,身体活動性も向上していることに対して賞賛を行った.NRADLは39点で,入浴時の息切れ軽減や外出が行えたことで加点となった.また,外来に対し「困ったことを聞けて安心.いい報告が出来るように頑張った」と意見を頂いた.
【考察】外来支援を行い,入院生活では把握出来なかった自宅生活での具体的な問題点を整理し,解決策を一緒に考えたことで,希望であった料理や外出が出来,HOTを中断させること無く,QOL向上に繋がったと考えられた.また,フォローの機会があることは,身体活動性向上のモチベーション維持や自宅生活での安心感に繋がったと思われた.
【倫理的配慮】当院の所属機関における倫理委員会の承認と症例の同意を得ている.
【外来支援の取り組み方法】
対象:HOT導入し,当院外来フォローを受け,外来支援を希望された患者.
方法:初回・1ヶ月後・半年後の外来受診後にOTにて退院後の生活を聴取しフィードバックを実施.
【症例紹介】50歳代女性.HOTは導入していたが使用しておらず,禁煙も出来ていなかった.X日,呼吸苦にて当院へ救急搬送.慢性閉塞性肺疾患(以下,COPD)急性増悪,CO₂ナルコーシスにより,挿管・人工呼吸器管理となった.X+29日にOT開始.社会背景は,一戸建てに夫,息子と同居.入院前は,身の回りの動作は自立も,入浴は呼吸苦が強く夫の介助を要し,外出は困難であった.
【作業療法評価】酸素需要量は,安静時NC2L/分,動作時NC4L/分.HOTは「無いと苦しいし仕方ない.」と受け入れられた. ADLは起居や酸素カートを使用した室内歩行は見守りレベルであった.千住らのADL評価表(以下,NRADL)は14点で動作時の呼吸苦が強かった.退院後は,料理の再開と外出を希望された.
【介入経過】当初,HOTデバイスはポータブルタイプで常に携帯を要し,症例にとって面倒くささが強かった.デバイスを再検討し,自宅内は据え置きの酸素濃縮器,外出時は酸素ボンベをリュックに入れ,車椅子での使用へ変更した.症例と夫へHOT操作・ADL・禁煙指導,環境調整を経てX+52日に自宅退院となった.NRADLは25点で動作はゆっくりであるが,呼吸苦の軽減を認めた.
【1回目外来(X+74日)】「こたつで過ごすため,立ち座りで息切れが強い.動くのはトイレぐらい.入浴は週に1回介助で入れているが,自分で洗うと息苦しい.料理したいが,立っての作業が息苦しく出来ていない.車椅子で外食出来て嬉しかった.」と語った.HOTを使用出来ていることに対し賞賛を行った.また,動作時呼吸苦軽減のため,身体活動性向上を目標に,座位での料理方法や上下肢の筋力増強練習などを指導し,環境調整として椅子生活への変更検討を伝えた.NRADLは22点と歩行距離短縮等で減点となった.
【2回目外来(X+116日)】「椅子に変えて移動が楽になった.家の中を歩いて足の運動もしている.入浴は介助で週に2日,お湯の量の調整や,動作の慣れで息苦しさは減った.料理は,レンジで簡単なものを作った.出来る家事を増やそうと思っている.毎週末夫と車椅子で買い物へ出かけている.」と楽しそうに語った.環境調整や動作の工夫ができており,身体活動性も向上していることに対して賞賛を行った.NRADLは39点で,入浴時の息切れ軽減や外出が行えたことで加点となった.また,外来に対し「困ったことを聞けて安心.いい報告が出来るように頑張った」と意見を頂いた.
【考察】外来支援を行い,入院生活では把握出来なかった自宅生活での具体的な問題点を整理し,解決策を一緒に考えたことで,希望であった料理や外出が出来,HOTを中断させること無く,QOL向上に繋がったと考えられた.また,フォローの機会があることは,身体活動性向上のモチベーション維持や自宅生活での安心感に繋がったと思われた.