[PD-4-5] ブシャール結節に対し,表面置換型人工関節手術を施行した一症例
【はじめに】
ブシャール結節に対し表面置換型人工関節手術を施行した患者を経験した.術後早期よりリハビリを開始した我々のリハビリ内容と,その後の経過について報告する.
【症例】
50歳代女性.パートタイムにてペットフードの袋詰め作業を行っていた.X−6月頃より,右環指PIP関節の伸展制限と疼痛が徐々に悪化.近医より紹介を受け,当院にてX日,右環指PIP関節に対し,表面置換型人工関節手術を施行した.術前,Hand20は47.5点,疼痛はNRS 7と重度だった.
【内容】
X+1日,リハビリ開始.X+7日,自宅退院.X+9日,外来リハビリを週1回のペースで開始した.X+13日まで,関節可動域訓練禁止し,終日アルフェンスシーネ装着.X+14日,自動・他動関節可動域訓練と自主トレーニングとして等尺性筋力訓練(弾性包帯の把持運動)を開始した.可動域改善のため,日中はアルフェンスシーネを除去(夜間のみ装着)したが,脱臼予防として,右環指は,バディテープにて右中指と固定した.X+28日,PIP関節屈曲ストラップ作成.X+49日,PIP関節伸展装具作成.自主トレーニングとして,擂粉木動作訓練開始.ストラップや装具は,可能な限り装着して頂いた.ただ,痛みが強く,また,一人では装着が難しいとのことで,あまり装着できていないとのことだった.
【結果】
X+99日,環指PIP関節の自動可動域は伸展-26°/屈曲70°,他動可動域は伸展-16°/屈曲84°に達した.握力は,12.7kg(左側は16.0kg)となった.Hand20は,術前の47.5点から30点となった.疼痛はゼロだった.
【考察】
先行研究によれば,88例137指の術後合併症の中で最も多かったのは,13%の軟部組織関連であり,これにはPIP屈曲拘縮(5指),DIP伸展不全(3指),亜脱臼(1指),人工関節の緩み(2指)などが含まれます.再手術率は4%と報告されています.経過良好な症例では,術後3週以内に自動ARCの著しい改善が見られるとのことです.一方,経過不良の症例では,腱鞘炎症状,疼痛過敏,精神的同時収縮などが見られます.本症例では,術後3週目の他動ARCは伸展-22°/屈曲62°で,自動ARCは更に狭小しており,良好な結果とまでは言えない状態でした.外来の頻度を見直して,経過をみながら週2回以上に増やすべきだったかと思われます.また,装具療法が効果を示さなかったことも,要因の一つと思われ,原因として,装具の装着に難渋したことが挙げられます.環指のみを固定する装具を作成しましたが,装着の容易さを考慮すると,複数の指を同時に固定する方が良かった可能性があります.さらに,自主トレーニングの重要性を再認識しました.意欲の低い方でも継続できるトレーニング方法を検討することが重要です.単純な弾性包帯の把持運動よりも,作業中心のトレーニング(例えば擂粉木動作など)の方が,より高い継続性があったように思われます.
【まとめ】
ブシャール結節に対し,人工関節置換術を施行した患者を経験した.術翌日より,主治医の定めた後療法にそってリハビリを行った.機能的角度といわれる,ARC35度~85度の屈曲角度には,自動可動域では若干及ばなかった.外来の頻度,装具,自主トレーニングの内容に改良が必要であった.
【倫理的配慮】
本演題について,倫理審査委員会の承認を得た.
ブシャール結節に対し表面置換型人工関節手術を施行した患者を経験した.術後早期よりリハビリを開始した我々のリハビリ内容と,その後の経過について報告する.
【症例】
50歳代女性.パートタイムにてペットフードの袋詰め作業を行っていた.X−6月頃より,右環指PIP関節の伸展制限と疼痛が徐々に悪化.近医より紹介を受け,当院にてX日,右環指PIP関節に対し,表面置換型人工関節手術を施行した.術前,Hand20は47.5点,疼痛はNRS 7と重度だった.
【内容】
X+1日,リハビリ開始.X+7日,自宅退院.X+9日,外来リハビリを週1回のペースで開始した.X+13日まで,関節可動域訓練禁止し,終日アルフェンスシーネ装着.X+14日,自動・他動関節可動域訓練と自主トレーニングとして等尺性筋力訓練(弾性包帯の把持運動)を開始した.可動域改善のため,日中はアルフェンスシーネを除去(夜間のみ装着)したが,脱臼予防として,右環指は,バディテープにて右中指と固定した.X+28日,PIP関節屈曲ストラップ作成.X+49日,PIP関節伸展装具作成.自主トレーニングとして,擂粉木動作訓練開始.ストラップや装具は,可能な限り装着して頂いた.ただ,痛みが強く,また,一人では装着が難しいとのことで,あまり装着できていないとのことだった.
【結果】
X+99日,環指PIP関節の自動可動域は伸展-26°/屈曲70°,他動可動域は伸展-16°/屈曲84°に達した.握力は,12.7kg(左側は16.0kg)となった.Hand20は,術前の47.5点から30点となった.疼痛はゼロだった.
【考察】
先行研究によれば,88例137指の術後合併症の中で最も多かったのは,13%の軟部組織関連であり,これにはPIP屈曲拘縮(5指),DIP伸展不全(3指),亜脱臼(1指),人工関節の緩み(2指)などが含まれます.再手術率は4%と報告されています.経過良好な症例では,術後3週以内に自動ARCの著しい改善が見られるとのことです.一方,経過不良の症例では,腱鞘炎症状,疼痛過敏,精神的同時収縮などが見られます.本症例では,術後3週目の他動ARCは伸展-22°/屈曲62°で,自動ARCは更に狭小しており,良好な結果とまでは言えない状態でした.外来の頻度を見直して,経過をみながら週2回以上に増やすべきだったかと思われます.また,装具療法が効果を示さなかったことも,要因の一つと思われ,原因として,装具の装着に難渋したことが挙げられます.環指のみを固定する装具を作成しましたが,装着の容易さを考慮すると,複数の指を同時に固定する方が良かった可能性があります.さらに,自主トレーニングの重要性を再認識しました.意欲の低い方でも継続できるトレーニング方法を検討することが重要です.単純な弾性包帯の把持運動よりも,作業中心のトレーニング(例えば擂粉木動作など)の方が,より高い継続性があったように思われます.
【まとめ】
ブシャール結節に対し,人工関節置換術を施行した患者を経験した.術翌日より,主治医の定めた後療法にそってリハビリを行った.機能的角度といわれる,ARC35度~85度の屈曲角度には,自動可動域では若干及ばなかった.外来の頻度,装具,自主トレーニングの内容に改良が必要であった.
【倫理的配慮】
本演題について,倫理審査委員会の承認を得た.