[PD-4-9] 上腕切断後,職場訪問,能動義手を用いた在庫管理・納品チェック等の練習,改造車の運転練習等を行い,復職に至った症例
【はじめに】今回,仕事中に利き手である右上肢を機械に巻き込み,搬送された病院で右上肢切断術を施行された症例を担当した.上腕能動義手の操作練習,職場訪問・職場管理者との面談を経て受傷約1ケ月後,復職に至った為,報告する.
【症例紹介】20代・男性.右上腕切断.祖母・母との3人暮らし.仕事は,お菓子製造工場に勤務.主な業務内容は,必要な材料を適切な分量,機械に投入する作業.通勤は自動車を使用.病前の趣味は,自宅でスポーツ番組の視聴やスポーツ雑誌を愛読する事.休日も外出は少なく,仕事以外殆どの時間ご自宅で過ごされていた.真面目・几帳面・温厚な性格で,上司からの信頼も厚い.
【作業療法初期評価】受傷1カ月後リハビリ目的にて当院に転院.上腕切断レベルは47%,(上腕短断端).断端部は柔らかく出血あり.筋力は,右肩屈曲・伸展・外転・内転・内外旋ともMMT3. ADLは,更衣・入浴・階段昇降以外は自立.食事はスプーン使用.階段は,ふらつき認め手すり使用し見守り下で実施.更衣・入浴は介助を要した.患者様の希望は「復職」である.
【作業療法計画】目標は,LTG:復職,自動車運転の獲得.STG:能動義手の習得,自宅でのADL自立とした.介入は,機能的作業として,弾性包帯を使用した断端形成,残存した肩関節周囲筋の筋力強化・立位バランス・運動耐用能練習(スクワット,屋外歩行・階段昇降練習等)を実施.また活動獲得支援として,義手装着・操作練習(肘のロックやフックの開閉操作,義手で雑誌を押さえて左手でページをめくる等),更衣練習(義手のフックで服を押さえ左手でファッスナーを上げる等),片手用洗体ブラシを用いた入浴練習,左手での箸や書字練習,Driving Simulator(以下DS)に旋回装置を取り付け運転練習を実施.社会参加支援として,職場訪問を本人同行で行い,職場環境・管理者の意向の確認,出来る能力の説明と復帰後の業務について相談.在庫管理(使用した材料の確認と発注,納品時のチェック,これらは,現場で用紙をボードにとめ,義手でボードを押さえ,左手で記載.事務所でPC入力し,上司に報告)の獲得を目的に練習を実施.他,自動車教習所にて,左手旋回装置付教習車を用いて教習場内・路上で運転練習を実施.
【経過及び結果】受傷2ケ月後,断端は形成され,肩周囲筋のMMT4~5まで向上,仮義手の装着練習を開始.院内ADLは自立.受傷3.5ケ月後,義手の装着,不十分ながらフックの開閉も出来る様になった為,本義手の作成開始.上部体幹,両上肢の安定と運動による肘のロック操作,フック操作の獲得,義手の調整に時間を要したが,受傷5カ月後,概ね操作可能となり,義手完成.職場訪問行い,復帰後の作業の模擬練習実施.またDS運転評価も問題ないレベルに至り,自宅退院.肩周囲筋のMMT5まで向上.受傷6ケ月後,通院リハにて自宅でのADL自立.教習所にて運転可能判定も頂く.自動車にウィンカー・ホーン付旋回装置を取り付け,職場や病院までの運転練習を母親同乗下で実施.受傷8ケ月後,再度職場訪問行い,現場で作業を実施.受傷9ケ月後,ご自身で運転し,職場で半日勤務開始.受傷10ケ月後,終日復職に至り,作業療法終了.
【考察】今回,利き手の上腕短断端の状況下において受傷後10ケ月で復職出来たのは,職場管理者の理解,義手の調整に毎週来院して下さった義肢装具士のご支援,何より,義手操作の失敗の連続にも,めげずに何度も挑戦し確実に習得していった患者様の努力の賜物と考える.また作業療法士が,実際の現場に出向き,職場の環境,上司の意向を確認し,協力が得られる様コーデイネートする事の重要性もあらためて感じた.(発表にあたり書面にて患者様の同意を頂いております.)
【症例紹介】20代・男性.右上腕切断.祖母・母との3人暮らし.仕事は,お菓子製造工場に勤務.主な業務内容は,必要な材料を適切な分量,機械に投入する作業.通勤は自動車を使用.病前の趣味は,自宅でスポーツ番組の視聴やスポーツ雑誌を愛読する事.休日も外出は少なく,仕事以外殆どの時間ご自宅で過ごされていた.真面目・几帳面・温厚な性格で,上司からの信頼も厚い.
【作業療法初期評価】受傷1カ月後リハビリ目的にて当院に転院.上腕切断レベルは47%,(上腕短断端).断端部は柔らかく出血あり.筋力は,右肩屈曲・伸展・外転・内転・内外旋ともMMT3. ADLは,更衣・入浴・階段昇降以外は自立.食事はスプーン使用.階段は,ふらつき認め手すり使用し見守り下で実施.更衣・入浴は介助を要した.患者様の希望は「復職」である.
【作業療法計画】目標は,LTG:復職,自動車運転の獲得.STG:能動義手の習得,自宅でのADL自立とした.介入は,機能的作業として,弾性包帯を使用した断端形成,残存した肩関節周囲筋の筋力強化・立位バランス・運動耐用能練習(スクワット,屋外歩行・階段昇降練習等)を実施.また活動獲得支援として,義手装着・操作練習(肘のロックやフックの開閉操作,義手で雑誌を押さえて左手でページをめくる等),更衣練習(義手のフックで服を押さえ左手でファッスナーを上げる等),片手用洗体ブラシを用いた入浴練習,左手での箸や書字練習,Driving Simulator(以下DS)に旋回装置を取り付け運転練習を実施.社会参加支援として,職場訪問を本人同行で行い,職場環境・管理者の意向の確認,出来る能力の説明と復帰後の業務について相談.在庫管理(使用した材料の確認と発注,納品時のチェック,これらは,現場で用紙をボードにとめ,義手でボードを押さえ,左手で記載.事務所でPC入力し,上司に報告)の獲得を目的に練習を実施.他,自動車教習所にて,左手旋回装置付教習車を用いて教習場内・路上で運転練習を実施.
【経過及び結果】受傷2ケ月後,断端は形成され,肩周囲筋のMMT4~5まで向上,仮義手の装着練習を開始.院内ADLは自立.受傷3.5ケ月後,義手の装着,不十分ながらフックの開閉も出来る様になった為,本義手の作成開始.上部体幹,両上肢の安定と運動による肘のロック操作,フック操作の獲得,義手の調整に時間を要したが,受傷5カ月後,概ね操作可能となり,義手完成.職場訪問行い,復帰後の作業の模擬練習実施.またDS運転評価も問題ないレベルに至り,自宅退院.肩周囲筋のMMT5まで向上.受傷6ケ月後,通院リハにて自宅でのADL自立.教習所にて運転可能判定も頂く.自動車にウィンカー・ホーン付旋回装置を取り付け,職場や病院までの運転練習を母親同乗下で実施.受傷8ケ月後,再度職場訪問行い,現場で作業を実施.受傷9ケ月後,ご自身で運転し,職場で半日勤務開始.受傷10ケ月後,終日復職に至り,作業療法終了.
【考察】今回,利き手の上腕短断端の状況下において受傷後10ケ月で復職出来たのは,職場管理者の理解,義手の調整に毎週来院して下さった義肢装具士のご支援,何より,義手操作の失敗の連続にも,めげずに何度も挑戦し確実に習得していった患者様の努力の賜物と考える.また作業療法士が,実際の現場に出向き,職場の環境,上司の意向を確認し,協力が得られる様コーデイネートする事の重要性もあらためて感じた.(発表にあたり書面にて患者様の同意を頂いております.)