[PD-7-7] 母指CM関節症評価表の試み
機能評価表の試作
【緒言】
当院での母指CM関節症(以下,CM関節症)の初期治療は,まず作業療法が先行して行われる.作業療法では,CM関節症の病期に応じて,スプリント療法,ストレッチや筋力強化などの練習指導を行うことが必要となる.我々は,CM関節症の現状の機能の評価をし,その病期の見当をつけることを目的に,CM評価表の作成を行った.今回,初回評価時のCM評価表と患者立脚型評価のHand20との関連性について調査を行った.尚,本報告は当院倫理規定に基づき行った.
【CM評価表について】
CM評価表の評価項目は,問題点として列挙されることが多い疼痛,関節可動域・変形,筋力の3要素を含む,①安静時痛Numerical Rating Scale(以下,NRS),②動作時痛NRS,③母指CM関節橈側外転角度,④母指CM関節掌側外転角度,⑤カパンジースコア,⑥復位の高さ,⑦復位時のMP関節過伸展角度,⑧3指つまみ力,⑨側腹つまみ力の9項目とした.各項目最大5点を良好な状態として0~5点採点とし,合計45点満点とした.各項目をレーダーチャート化して可視化した.
【対象と方法】
対象:2023年9月~2024年1月,当院通院中の患者でCM関節症と診断された患者32名48手.内訳は,女性25名,男性7名,平均年齢61.4±9.52歳.利き手は右31名,左1名で,罹患側は右23手,左25手であった.罹病期間は平均26.8±36.65ヶ月,Eaton分類は,stageⅠ:10手,stageⅡ:15手,stageⅢ:22手,stageⅣ:1手であった.
今回は,初回評価時のCM評価表の合計点とHand20,各項目の点数とHand20の相関関係を分析した.Hand20は罹患手数で算出した.Microsoft Excel 2016を用いてSpearmanの順位相関係数を算出した.
【結果】
CM評価表の合計点は,平均35.9±4.25点,最大44点,最小25点,中央値36.5点であった.Hand20は,平均29.3±19.69点,最大85点,最小4.5点,中央値24.5点であった.CM評価表の合計点が高いほどHand20の点数は低い傾向にあり,Spearmanの順位相関係数は-0.29で弱い負の相関を示した.項目別では,安静時痛NRSで-0.52と中程度の負の相関を示し,3指つまみで-0.21,掌側外転角度で-0.28,復位の高さで-0.39の弱い負の相関を示した.その他の項目では相関関係を示さなかった.
【考察】
初回評価時のCM評価表の合計点とHand20との比較では,機能面が良好である方がHand20での困難感も少ない傾向がみられた.また,項目別では,安静時痛はHand20と中程度の負の相関関係を示し,CM関節症の特徴的な症状である疼痛と病期の把握が推測できると考えられる.
CM評価表は,レーダーチャート化により問題点を可視化して把握でき,プログラムの優先順位をつけることができる利点がある.また,可視化により患者との共有ができること,初回評価・中間評価・最終評価で経時的変化を把握することにも活用できる.
今後は,症例数を増やし,経時的変化や病期による特徴の把握に努めたいと考えている.
当院での母指CM関節症(以下,CM関節症)の初期治療は,まず作業療法が先行して行われる.作業療法では,CM関節症の病期に応じて,スプリント療法,ストレッチや筋力強化などの練習指導を行うことが必要となる.我々は,CM関節症の現状の機能の評価をし,その病期の見当をつけることを目的に,CM評価表の作成を行った.今回,初回評価時のCM評価表と患者立脚型評価のHand20との関連性について調査を行った.尚,本報告は当院倫理規定に基づき行った.
【CM評価表について】
CM評価表の評価項目は,問題点として列挙されることが多い疼痛,関節可動域・変形,筋力の3要素を含む,①安静時痛Numerical Rating Scale(以下,NRS),②動作時痛NRS,③母指CM関節橈側外転角度,④母指CM関節掌側外転角度,⑤カパンジースコア,⑥復位の高さ,⑦復位時のMP関節過伸展角度,⑧3指つまみ力,⑨側腹つまみ力の9項目とした.各項目最大5点を良好な状態として0~5点採点とし,合計45点満点とした.各項目をレーダーチャート化して可視化した.
【対象と方法】
対象:2023年9月~2024年1月,当院通院中の患者でCM関節症と診断された患者32名48手.内訳は,女性25名,男性7名,平均年齢61.4±9.52歳.利き手は右31名,左1名で,罹患側は右23手,左25手であった.罹病期間は平均26.8±36.65ヶ月,Eaton分類は,stageⅠ:10手,stageⅡ:15手,stageⅢ:22手,stageⅣ:1手であった.
今回は,初回評価時のCM評価表の合計点とHand20,各項目の点数とHand20の相関関係を分析した.Hand20は罹患手数で算出した.Microsoft Excel 2016を用いてSpearmanの順位相関係数を算出した.
【結果】
CM評価表の合計点は,平均35.9±4.25点,最大44点,最小25点,中央値36.5点であった.Hand20は,平均29.3±19.69点,最大85点,最小4.5点,中央値24.5点であった.CM評価表の合計点が高いほどHand20の点数は低い傾向にあり,Spearmanの順位相関係数は-0.29で弱い負の相関を示した.項目別では,安静時痛NRSで-0.52と中程度の負の相関を示し,3指つまみで-0.21,掌側外転角度で-0.28,復位の高さで-0.39の弱い負の相関を示した.その他の項目では相関関係を示さなかった.
【考察】
初回評価時のCM評価表の合計点とHand20との比較では,機能面が良好である方がHand20での困難感も少ない傾向がみられた.また,項目別では,安静時痛はHand20と中程度の負の相関関係を示し,CM関節症の特徴的な症状である疼痛と病期の把握が推測できると考えられる.
CM評価表は,レーダーチャート化により問題点を可視化して把握でき,プログラムの優先順位をつけることができる利点がある.また,可視化により患者との共有ができること,初回評価・中間評価・最終評価で経時的変化を把握することにも活用できる.
今後は,症例数を増やし,経時的変化や病期による特徴の把握に努めたいと考えている.