[PD-8-9] 橈骨遠位端骨折術後の自主訓練と治療期間の関係について
【はじめに】骨折後の治療に自主訓練は早期回復のために必要と言われよく推奨されている.本研究において橈骨遠位端骨折に対して掌側ロッキングプレート固定術後の自主訓練をすることで,治療期間が短縮するのか短縮する日数はどの程度なのかを検討した.患者には本研究の趣旨を説明し発表に際して了解を得ている.
【対象・方法】2018年4月から2023年3月まで橈骨遠位端骨折と診断され当院にて掌側ロッキングプレート固定術を実施した42例を対象とした.認知症のある症例,神経学的疾患の既往がある症例,他部位骨折を重複している症例,手術までの待期期間や術後のリハ開始が遅延した症例は除外した.評価項目は治療期間,術後8週の手関節の自動可動域(ROM),握力とした.自主訓練を実施した27例を自主訓練あり群とし,自主訓練をしなかった15例を自主訓練なし群とした.自主訓練あり群は男6例女21例,平均年齢67.4±10.0歳,手術までの平均待機期間4.8±2.7日,手術から作業療法(OT)開始までの平均期間8.6±6.3日であった.自主訓練なし群は男1例女14例,平均年齢72.3±10.3歳,手術までの平均待機期間6.3±4.9日,手術からOT開始までの平均期間8.6±5.6日であった.年齢,手術までの平均待機期間,手術からOT開始までの平均期間は両群とも有意差を認めなかった.全例にはパンフレットを用いて運動方法を複数回にわたり指導した.
【結果】自主訓練あり群の治療期間は平均69.7±19.2日,自主訓練なし群の治療期間は平均87.3±28.4日となりp=0.0194で約17日間程度の治療期間の短縮を認めた.ROM(自主訓練あり群/自主訓練なし群)は背屈可動域は59.6±8.1°/46.7±10.8°でp=0.0005,掌屈可動域は51.5±10.8°/46.0±8.3°でp=0.1136,橈屈可動域は24.2±5.5°/20.0±6.3°でp=0.0598,尺屈可動域は42.9±7.6°/35.7±6.8°でp=0.0044,回外可動域は84.3±13.0°/76.3±17.3°でp=0.0751,回内可動域は64.8±13.8°/56.3±12.0°でp=0.0331であった.握力は17.4±5.9kg/12.5±5.9kgでp=0.0049であった.統計学処理はマン・ホイットニーのU検定を用いp<0.05を有意差ありとした.
【考察】
自主練習量と治療成績では有意な相関がなく(櫻井ら,2020),ストレッチング指導しても実施率は上がらない(岩堀ら,2004)との報告もあり自主訓練を定着させることは容易ではないことが伺える.本研究では術後8週での背屈可動域,尺屈可動域,回内可動域および握力には有意差を認め,治療期間が17日近く短縮を認めた.自主訓練でROMと握力が改善したため日常的に使いやすくなった可能性がある.実際に患者の多くは主婦が多く早くから日常生活で両手を使い始めたり,物品を運んだり持ったりするのも早かったと推察する.また,パンフレットを見ながら一緒に練習したり,リハビリの都度に自主訓練の実施の有無を確認したことも,治療期間の短縮に繋がったと推察する.以上のことから自主訓練が有効であることが示唆された.記録表を記録させたらトレーニングが継続したとの報告もあり(中川ら,2007),当院でも他の研究で記録用紙に記録したところケガが減少したというデータもあることから,今後は記録用紙を利用して自主訓練を取り組む患者が増加するように治療に取り入れていきたいと考える.
【対象・方法】2018年4月から2023年3月まで橈骨遠位端骨折と診断され当院にて掌側ロッキングプレート固定術を実施した42例を対象とした.認知症のある症例,神経学的疾患の既往がある症例,他部位骨折を重複している症例,手術までの待期期間や術後のリハ開始が遅延した症例は除外した.評価項目は治療期間,術後8週の手関節の自動可動域(ROM),握力とした.自主訓練を実施した27例を自主訓練あり群とし,自主訓練をしなかった15例を自主訓練なし群とした.自主訓練あり群は男6例女21例,平均年齢67.4±10.0歳,手術までの平均待機期間4.8±2.7日,手術から作業療法(OT)開始までの平均期間8.6±6.3日であった.自主訓練なし群は男1例女14例,平均年齢72.3±10.3歳,手術までの平均待機期間6.3±4.9日,手術からOT開始までの平均期間8.6±5.6日であった.年齢,手術までの平均待機期間,手術からOT開始までの平均期間は両群とも有意差を認めなかった.全例にはパンフレットを用いて運動方法を複数回にわたり指導した.
【結果】自主訓練あり群の治療期間は平均69.7±19.2日,自主訓練なし群の治療期間は平均87.3±28.4日となりp=0.0194で約17日間程度の治療期間の短縮を認めた.ROM(自主訓練あり群/自主訓練なし群)は背屈可動域は59.6±8.1°/46.7±10.8°でp=0.0005,掌屈可動域は51.5±10.8°/46.0±8.3°でp=0.1136,橈屈可動域は24.2±5.5°/20.0±6.3°でp=0.0598,尺屈可動域は42.9±7.6°/35.7±6.8°でp=0.0044,回外可動域は84.3±13.0°/76.3±17.3°でp=0.0751,回内可動域は64.8±13.8°/56.3±12.0°でp=0.0331であった.握力は17.4±5.9kg/12.5±5.9kgでp=0.0049であった.統計学処理はマン・ホイットニーのU検定を用いp<0.05を有意差ありとした.
【考察】
自主練習量と治療成績では有意な相関がなく(櫻井ら,2020),ストレッチング指導しても実施率は上がらない(岩堀ら,2004)との報告もあり自主訓練を定着させることは容易ではないことが伺える.本研究では術後8週での背屈可動域,尺屈可動域,回内可動域および握力には有意差を認め,治療期間が17日近く短縮を認めた.自主訓練でROMと握力が改善したため日常的に使いやすくなった可能性がある.実際に患者の多くは主婦が多く早くから日常生活で両手を使い始めたり,物品を運んだり持ったりするのも早かったと推察する.また,パンフレットを見ながら一緒に練習したり,リハビリの都度に自主訓練の実施の有無を確認したことも,治療期間の短縮に繋がったと推察する.以上のことから自主訓練が有効であることが示唆された.記録表を記録させたらトレーニングが継続したとの報告もあり(中川ら,2007),当院でも他の研究で記録用紙に記録したところケガが減少したというデータもあることから,今後は記録用紙を利用して自主訓練を取り組む患者が増加するように治療に取り入れていきたいと考える.