[PF-8-2] 終末期がん患者の退院,外出,外泊支援の時期判断に有効な評価の検証
【はじめに】
厚生労働省の「人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会」が実施した調査では,国民の63.5%が自宅での看取りを希望しており,診療報酬でも緩和ケア病棟入院基本料1の施設基準として在宅復帰率15%が求められる.
緩和ケア病棟入院患者へのリハビリテーション(RH)として,在宅での看取りや外出・外泊を目的とすることがあるが,タイミングを逃し実働に至らないケースをしばしば経験する.RHの担う退院支援では心身機能の向上に加え生活手段の確立や在宅生活への適応等の活動面へのアプローチを主に行うが,終末期患者では,活動面の向上が在宅復帰に繋がらないことも多い.Palliative Prognostic Index(PPI)は,終末期患者の短期的な予後予測に活用されており,自宅退院や外出・外泊支援実施のタイミング測定に有効である可能性がある.
【目的】
RH開始時のPPI結果を後ろ向きに調査し,自宅退院や外出,外泊の時期判断への有効性を検証する.
【方法】
調査対象は,令和5年6月から9月の間で,Best Supportive Care(BSC)方針となり当院に入院したがん患者のうち,RHを処方された者とした.その内,調査期間で自宅や住居系施設への退院や逝去される等,転帰先が明確になった方を対象とした.自宅や住居系施設への退院,もしくは外出・外泊を実施した群を実施群,退院や外出・外泊を実施できなかった群を非実施群と分類した.調査項目は,患者属性として,性別,年齢,同居家族の有無,退院希望の有無を診療録より聴取した.比較データは,RH開始時のPPI総得点,PPIサブカテゴリー得点,全身状態としてPerformance Status(PS),ADL自立度としてFunctional Independence Measure(FIM)総得点と運動項目を比較した.統計処理は,SPSS for Windowsにて,Mann-WhitneyのU検定を用いて行った.
【倫理的配慮】
本研究は,所属施設の倫理委員会より情報使用の承認を得て実施した.
【結果】
対象は39名(男女比16/23名,平均年齢81.2±8.1歳)であり,実施群が21名(男女比7/14名,平均年齢81.7±8.4歳,同居家族有17名,退院希望有20名),非実施群が18名(男女比8/10名,平均年齢80.7±0.5歳,同居家族有12名,退院希望有10名)であった.実施群と非実施群の比較では,PPI総得点(実施群平均2.79±1.98,非実施群平均5.19±3.02,p<0.01)とPPIサブカテゴリーの経口摂取(実施群平均0.86±0.89,非実施群平均0.14±0.36,p<0.05),浮腫(実施群平均0.24±0.44,非実施群平均0.61±0.50,p<0.05)で有意差を認め,PPIサブカテゴリーのPPS,呼吸,せん妄とPSおよびFIM総得点,FIM運動項目,在院日数で有意差を認めなかった.
【考察】
BSC方針で,積極的な治療をしないことを選択したがん患者の退院や外出・外泊に影響を与える因子を検証した.病期に関わらずRHとして生活手段を確立していくことは行っていくためADL自立度の影響が大きくなることを予測したが,ADL自立度には有意差がなく,予後予測スコアであるPPIで有意差が認められた.PPIは,終末期がん患者の退院支援や外出・外泊支援の時期を判断する基準として有効であることが示唆された.
厚生労働省の「人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会」が実施した調査では,国民の63.5%が自宅での看取りを希望しており,診療報酬でも緩和ケア病棟入院基本料1の施設基準として在宅復帰率15%が求められる.
緩和ケア病棟入院患者へのリハビリテーション(RH)として,在宅での看取りや外出・外泊を目的とすることがあるが,タイミングを逃し実働に至らないケースをしばしば経験する.RHの担う退院支援では心身機能の向上に加え生活手段の確立や在宅生活への適応等の活動面へのアプローチを主に行うが,終末期患者では,活動面の向上が在宅復帰に繋がらないことも多い.Palliative Prognostic Index(PPI)は,終末期患者の短期的な予後予測に活用されており,自宅退院や外出・外泊支援実施のタイミング測定に有効である可能性がある.
【目的】
RH開始時のPPI結果を後ろ向きに調査し,自宅退院や外出,外泊の時期判断への有効性を検証する.
【方法】
調査対象は,令和5年6月から9月の間で,Best Supportive Care(BSC)方針となり当院に入院したがん患者のうち,RHを処方された者とした.その内,調査期間で自宅や住居系施設への退院や逝去される等,転帰先が明確になった方を対象とした.自宅や住居系施設への退院,もしくは外出・外泊を実施した群を実施群,退院や外出・外泊を実施できなかった群を非実施群と分類した.調査項目は,患者属性として,性別,年齢,同居家族の有無,退院希望の有無を診療録より聴取した.比較データは,RH開始時のPPI総得点,PPIサブカテゴリー得点,全身状態としてPerformance Status(PS),ADL自立度としてFunctional Independence Measure(FIM)総得点と運動項目を比較した.統計処理は,SPSS for Windowsにて,Mann-WhitneyのU検定を用いて行った.
【倫理的配慮】
本研究は,所属施設の倫理委員会より情報使用の承認を得て実施した.
【結果】
対象は39名(男女比16/23名,平均年齢81.2±8.1歳)であり,実施群が21名(男女比7/14名,平均年齢81.7±8.4歳,同居家族有17名,退院希望有20名),非実施群が18名(男女比8/10名,平均年齢80.7±0.5歳,同居家族有12名,退院希望有10名)であった.実施群と非実施群の比較では,PPI総得点(実施群平均2.79±1.98,非実施群平均5.19±3.02,p<0.01)とPPIサブカテゴリーの経口摂取(実施群平均0.86±0.89,非実施群平均0.14±0.36,p<0.05),浮腫(実施群平均0.24±0.44,非実施群平均0.61±0.50,p<0.05)で有意差を認め,PPIサブカテゴリーのPPS,呼吸,せん妄とPSおよびFIM総得点,FIM運動項目,在院日数で有意差を認めなかった.
【考察】
BSC方針で,積極的な治療をしないことを選択したがん患者の退院や外出・外泊に影響を与える因子を検証した.病期に関わらずRHとして生活手段を確立していくことは行っていくためADL自立度の影響が大きくなることを予測したが,ADL自立度には有意差がなく,予後予測スコアであるPPIで有意差が認められた.PPIは,終末期がん患者の退院支援や外出・外泊支援の時期を判断する基準として有効であることが示唆された.