[PG-1-3] 軸索型ギラン・バレー症候群に対する回復期リハビリテーションの役割
長期間の目標設定と連携
【はじめに】ギラン・バレー症候群(以下GBS)は,脱髄型と軸索型に分類され,一般的には軸索型が予後不良とされている.軸索型は,回復に時間は要すが予後は必ずしも悪いわけではないく,軸索型であっても長期間のリハビリテーション(以下リハ)で身体機能向上を認めることもあるため,長期的視野が必要だと考える.しかし,GBSの経過を報告した文献は少ない.そのため,今回,入院時から起居動作から全介助であり,自宅復帰に向けては長期的なリハが必要だと予測された.軸索型GBSに関してここに報告する.
【倫理的配慮】ヘルシンキ宣言に基づき,本報告に説明と同意を行い,個人情報取り扱いに配慮した.
【症例紹介】70歳代男性.鶏肉摂取後下痢症状を認め,運動神経伝達速度低下から, mEGOS6点,EGRIS5点でGBSの診断を受けた.その後,症状の進行を認め,人口呼吸器管理,気管切開を実施しmEGOS11点,EGRIS 6.5点.その後,脱力症状が改善傾向となり,人口呼吸器から離脱し,カニューレを抜去し,胃瘻を増設した.前院では,3カ月程度リハが実施され,当院転院に至る.
【初期評価】
MRC18点,ROM(R/L):肩屈曲40/40肘屈曲120/100伸展-15/-10手関節掌屈45/60背屈30/40,MMT(R/L):上肢手指(1/1) 下肢(2/1)体幹(1),深部腱反射(R/L)大胸筋+/-上腕二頭筋+/-上腕三頭筋-/-腕橈骨筋+/-,疼痛:全関節運動時痛 感覚(R/L):表在10/10深部0/0,FIM:運動項目15点(起居全介助,座位保持困難) 認知項目25点 MMSE:25点,COPM:病院生活が1人で送れる,仕事復帰,家事ができる,全て遂行度満足度共に0点
【介入経過】入院時,目標設定を病院生活を1人で行えるように設定し,ベッド周囲,食事,更衣,整容,トイレに目標を細分化した.担当カンファレンスは週2回設定し,情報・目標の共有を細かく行った.入院1ヶ月はROM-ex,電気刺激療法施行,同時にベッド上でナースコールやスマホを操作できるように環境設定した.2ヶ月で座位訓練を行い,耐久性向上に伴い,車椅子で食事摂取へ移行した.ADL場面で,上肢参加を増やすため,食事・整容・更衣・自主トレーニングを行えるように環境を設定した.3ヶ月で,食事・整容自立となり,起居起立訓練を施行.更衣をできるように環境設定を行った.4ヶ月で起居,移乗,上衣更衣が自立し,車椅子自走で移動となる.zoomでの仕事参加のため,パソコン・書字の獲得を図った.5ヶ月で,屋外での移動手段として電動車椅子を導入し,屋外の移動獲得に至る.その後,生活期でのリハビリ継続を目的にリハビリテーション病院へ転院となる.
【最終評価】MRC32点,ROM(R/L):肩屈曲90/60肘屈曲120/120伸展-5/-0,手関節掌屈90/80背屈60/50,MMT(R/L):上肢(R3L3)下肢(R3L2)体幹(2),疼痛:左上肢手指運動時痛 感覚(R/L):表在10/10深部4/5,FIM:運動項目57点(入浴・トイレ動作・排便・浴槽移乗・階段介助) 認知項目25点,MMSE:30点COPM(遂行度/満足度):病院生活が1人で送れる(8/8),仕事復帰(6/6),家事ができる(3/3)
【考察】早期から積極的な可動域・筋力訓練筋を行うと共に,身体機能の向上に合わせた自主トレーニング,カンファレンスでの病棟生活の段階設定と環境設定がスムーズに行えたことが,身体機能向上ADL介助量軽減に繋がった.本症例は,障害への受容が早く病態の予後を理解されており,早期から長い目でのリハビリを考えており,回復期リハでの目標と生活期リハでの目標といった長期的なプランを話し合うことができた.それらの目標に基づいて,医療スタッフと患者との情報共有と段階的な目標設定への合意形成が密に行えたことが,リハビリへの意欲維持と焦り等の精神的不安を取り除くこととなり,回復期リハから生活期リハへの移行がスムーズに行えたと考える.
【倫理的配慮】ヘルシンキ宣言に基づき,本報告に説明と同意を行い,個人情報取り扱いに配慮した.
【症例紹介】70歳代男性.鶏肉摂取後下痢症状を認め,運動神経伝達速度低下から, mEGOS6点,EGRIS5点でGBSの診断を受けた.その後,症状の進行を認め,人口呼吸器管理,気管切開を実施しmEGOS11点,EGRIS 6.5点.その後,脱力症状が改善傾向となり,人口呼吸器から離脱し,カニューレを抜去し,胃瘻を増設した.前院では,3カ月程度リハが実施され,当院転院に至る.
【初期評価】
MRC18点,ROM(R/L):肩屈曲40/40肘屈曲120/100伸展-15/-10手関節掌屈45/60背屈30/40,MMT(R/L):上肢手指(1/1) 下肢(2/1)体幹(1),深部腱反射(R/L)大胸筋+/-上腕二頭筋+/-上腕三頭筋-/-腕橈骨筋+/-,疼痛:全関節運動時痛 感覚(R/L):表在10/10深部0/0,FIM:運動項目15点(起居全介助,座位保持困難) 認知項目25点 MMSE:25点,COPM:病院生活が1人で送れる,仕事復帰,家事ができる,全て遂行度満足度共に0点
【介入経過】入院時,目標設定を病院生活を1人で行えるように設定し,ベッド周囲,食事,更衣,整容,トイレに目標を細分化した.担当カンファレンスは週2回設定し,情報・目標の共有を細かく行った.入院1ヶ月はROM-ex,電気刺激療法施行,同時にベッド上でナースコールやスマホを操作できるように環境設定した.2ヶ月で座位訓練を行い,耐久性向上に伴い,車椅子で食事摂取へ移行した.ADL場面で,上肢参加を増やすため,食事・整容・更衣・自主トレーニングを行えるように環境を設定した.3ヶ月で,食事・整容自立となり,起居起立訓練を施行.更衣をできるように環境設定を行った.4ヶ月で起居,移乗,上衣更衣が自立し,車椅子自走で移動となる.zoomでの仕事参加のため,パソコン・書字の獲得を図った.5ヶ月で,屋外での移動手段として電動車椅子を導入し,屋外の移動獲得に至る.その後,生活期でのリハビリ継続を目的にリハビリテーション病院へ転院となる.
【最終評価】MRC32点,ROM(R/L):肩屈曲90/60肘屈曲120/120伸展-5/-0,手関節掌屈90/80背屈60/50,MMT(R/L):上肢(R3L3)下肢(R3L2)体幹(2),疼痛:左上肢手指運動時痛 感覚(R/L):表在10/10深部4/5,FIM:運動項目57点(入浴・トイレ動作・排便・浴槽移乗・階段介助) 認知項目25点,MMSE:30点COPM(遂行度/満足度):病院生活が1人で送れる(8/8),仕事復帰(6/6),家事ができる(3/3)
【考察】早期から積極的な可動域・筋力訓練筋を行うと共に,身体機能の向上に合わせた自主トレーニング,カンファレンスでの病棟生活の段階設定と環境設定がスムーズに行えたことが,身体機能向上ADL介助量軽減に繋がった.本症例は,障害への受容が早く病態の予後を理解されており,早期から長い目でのリハビリを考えており,回復期リハでの目標と生活期リハでの目標といった長期的なプランを話し合うことができた.それらの目標に基づいて,医療スタッフと患者との情報共有と段階的な目標設定への合意形成が密に行えたことが,リハビリへの意欲維持と焦り等の精神的不安を取り除くこととなり,回復期リハから生活期リハへの移行がスムーズに行えたと考える.