[PH-2-4] 就労支援施設を利用するうつ病者の過去・現在・未来における食生活に関する構造の質的研究
【序論】うつ病を呈した休職者の復職準備性には生活リズムの再獲得がある. 生活リズムは対象者の固有の身体症状や精神症状に影響を受けやすい.リズムを整えるためには食生活を意識することが大切であるが,うつ病者の場合に朝食の欠食が目立つとされる.近年ではうつ病に対する栄養学的な研究やその支援方法が検討されつつあるが,実際の食生活に関する実態調査は少なく,地域生活の中でどのような生活のしづらさが生じているのか不明な点が多い.今回はうつ病者の実体験に基づく調査を実施することで地域支援の一助としたい.
【目的】就労前うつ病者の主観的な食生活について調査を行い,質的研究手法により構造を明らかにすることである.
【方法】インタビューガイドを使用し,半構造化面接を行った.インタビューガイドは対象者の発病前の状況から現在の状況,未来に対する意識を調査するため,過去・現在・未来の3つの観点から作成した.インタビューはボイスレコーダーで録音し,音声データは後日文章に起こし逐語録を作成した.面接時間は対象者一人約60分程度とした.分析方法はKJ法を採用した.本研究は筑波大学大学院医学医療系医の倫理委員会(承諾番号:71584)の承認を受けて実施した.
【結果】同意の得られた対象者は,男性5名,女性1名の計6名であった.平均年齢は35歳(SD=7.64),平均BMIは 28.4(SD=5.26),平均インタビュー時間は約56分であった.住居環境は,家族と同居が3名,一人暮らしが3名であった.ラベル数は112項目作成された.
KJ法に準拠したグループ編成と図解化を行なった結果,現在の食生活では[意識的に体に良い食事を選ぶ]ことや[食事と消費カロリー]に気を付けること,不足している栄養素を[サプリメントを利用]することで補うことであった.
健康を意識した食習慣の背景には<お通じと活動が関係している>や<食べることとメンタルが関係している>といった【食生活がメンタルに与える影響】を感じていること,[3食食べない]や[習慣的に間食を食べる]といった【不規則な食生活】,過去の[よくない習慣]の気づきから強く意識する要因として影響を与えていた.これは未来の食習慣に対し,[よくない習慣を改めたい]という【食事に対するべき思考】や<栄養バランスの良い食事を食べ続けられるのかが不安>という【今後の食事に対する不安】に影響を与えていた.一方で【食事に対する前向きな思考】として<家族や友人とコミュニケーションをとりながら食事をしたい>や<ゆっくり味わって食べたい>という希望にも影響を与えていた.以上のことから過去や未来の概念は,対象者の現在の食生活と関連している構造図が描かれた.
【考察】本研究の結果から,対象者はうつ病の発症をきっかけに現在の食生活を見直し,自身の健康を考えた食習慣や食材の選択,栄養バランスなどに気を配りながら生活していることが推察された.一方,過去や現在の不規則な食習慣がメンタルに与える影響を感じていることから,安定したリズムを整えることの難しさを実感し,心理的葛藤が生じていることが考えられた.この葛藤は未来に対するべき思考や不安に影響を与えていることが考えられた.対象者の状態に応じた栄養サポートだけでなく,自身の食生活に対する安心感や他者とのつながりを感じる食生活を支援することも重要であると示唆された.
【目的】就労前うつ病者の主観的な食生活について調査を行い,質的研究手法により構造を明らかにすることである.
【方法】インタビューガイドを使用し,半構造化面接を行った.インタビューガイドは対象者の発病前の状況から現在の状況,未来に対する意識を調査するため,過去・現在・未来の3つの観点から作成した.インタビューはボイスレコーダーで録音し,音声データは後日文章に起こし逐語録を作成した.面接時間は対象者一人約60分程度とした.分析方法はKJ法を採用した.本研究は筑波大学大学院医学医療系医の倫理委員会(承諾番号:71584)の承認を受けて実施した.
【結果】同意の得られた対象者は,男性5名,女性1名の計6名であった.平均年齢は35歳(SD=7.64),平均BMIは 28.4(SD=5.26),平均インタビュー時間は約56分であった.住居環境は,家族と同居が3名,一人暮らしが3名であった.ラベル数は112項目作成された.
KJ法に準拠したグループ編成と図解化を行なった結果,現在の食生活では[意識的に体に良い食事を選ぶ]ことや[食事と消費カロリー]に気を付けること,不足している栄養素を[サプリメントを利用]することで補うことであった.
健康を意識した食習慣の背景には<お通じと活動が関係している>や<食べることとメンタルが関係している>といった【食生活がメンタルに与える影響】を感じていること,[3食食べない]や[習慣的に間食を食べる]といった【不規則な食生活】,過去の[よくない習慣]の気づきから強く意識する要因として影響を与えていた.これは未来の食習慣に対し,[よくない習慣を改めたい]という【食事に対するべき思考】や<栄養バランスの良い食事を食べ続けられるのかが不安>という【今後の食事に対する不安】に影響を与えていた.一方で【食事に対する前向きな思考】として<家族や友人とコミュニケーションをとりながら食事をしたい>や<ゆっくり味わって食べたい>という希望にも影響を与えていた.以上のことから過去や未来の概念は,対象者の現在の食生活と関連している構造図が描かれた.
【考察】本研究の結果から,対象者はうつ病の発症をきっかけに現在の食生活を見直し,自身の健康を考えた食習慣や食材の選択,栄養バランスなどに気を配りながら生活していることが推察された.一方,過去や現在の不規則な食習慣がメンタルに与える影響を感じていることから,安定したリズムを整えることの難しさを実感し,心理的葛藤が生じていることが考えられた.この葛藤は未来に対するべき思考や不安に影響を与えていることが考えられた.対象者の状態に応じた栄養サポートだけでなく,自身の食生活に対する安心感や他者とのつながりを感じる食生活を支援することも重要であると示唆された.