[PH-3-1] 精神科デイケアでの復職者・就労者へのフォローアッププログラムの取り組み
【はじめに】
当院では精神科デイケアの枠組みで復職支援や就労支援を実施している.デイケア利用者にとっては職場復帰や就職が決まってデイケアを修了することが大きな目標となる.しかし,当院デイケアを修了した就労者を対象としたアンケート調査では,回答者の9割以上が就労継続に関して何らかの困難を感じていたという結果が出ている.つまり復職支援や就労支援を実施する精神科デイケアには,職場復帰や就職を支援するだけでなく,就労継続のためのフォローアップを担う役割も求められる.
【目的】
復職支援や就労支援を行う精神科デイケアでも,就労後も利用できる仕組みを用意し,再休業予防や就労継続に貢献しようとフォローアッププログラム(以下:FP)を実施する施設も多い.当院でも複数の治療構造でFPを用意している.しかし,FPの構造は各施設でも大きく違いがあり,内容もそれぞれの施設の独自の工夫によって行われているのが現状である.そこで今回は精神科デイケアを修了した就労者が求めるFPの内容について検討し,より就労継続に効果的な治療構造について考察を行う.
【方法】
特定のFPである「就労者向けプログラム」に参加している当事者23名を対象に,「FPの参加しやすさはどうか」「FPの時間設定は適切か」などを問うアンケート調査(5段階のリッカート尺度)を実施した.また自由記述で,FPに求めることや感想などについて回答を求めた.倫理的配慮として口頭にて説明し,対象者からの同意を書面にて得ており,匿名性の保持に十分な配慮を行っている.
【就労者向けプログラムの治療構造】
第1土曜日の午前と午後にショートケアの枠組みで,「就労者向けプログラム」という名称でFPを実施している.対象は当院デイケアを修了した就労者に限定している.参加者全員での近況報告後は,作業内容を当日の参加者で決めている.ボードゲームなどのレクリエーション,ストレッチ,ミーティングなどの作業が選択されることが多い.しかし,作業することは強要せず,ありのままの自分でその空間にいることが保証されるような空間を目指している.スタッフは作業準備や環境設定をおこない,当日は先頭に立つのではなく黒子のような役割に徹している.
【結果】
「FPの参加しやすさはどうか」は「とても満足」70%,「満足」30%,と回答者全員が参加しやすさを感じていた.「FPの時間設定は適切か」は「とてもそう思う」61%,「そう思う」35%,と回答者の96%が時間設定に満足していた.自由記載欄には,参加者が自身で作業を選択できること,作業を介したコミュニケーションの機会が用意されていること,その環境の中で自主的に活動できること,などにポジティブな意見が多く記載されていた.
【考察】
アンケートの結果から「就労者向けプログラム」の治療構造は,参加者にとって満足度の高いFPになっていたことが分かった.治療構造の中でも,ショートケアで実施している点,あえて当日の作業内容を限定していない点,本人が主体的に作業内容を選択し活動することが出来る点などが満足度に寄与していると考えられた.また,作業が準備されていることで,月に1回という開催頻度でも「就労者同士の緩やかな繋がりの場」として機能しやすいのではないだろうか.報告当日は詳細のアンケート結果にも触れながら,より就労継続に効果的なFPの治療構造について考察を深めていきたい.
当院では精神科デイケアの枠組みで復職支援や就労支援を実施している.デイケア利用者にとっては職場復帰や就職が決まってデイケアを修了することが大きな目標となる.しかし,当院デイケアを修了した就労者を対象としたアンケート調査では,回答者の9割以上が就労継続に関して何らかの困難を感じていたという結果が出ている.つまり復職支援や就労支援を実施する精神科デイケアには,職場復帰や就職を支援するだけでなく,就労継続のためのフォローアップを担う役割も求められる.
【目的】
復職支援や就労支援を行う精神科デイケアでも,就労後も利用できる仕組みを用意し,再休業予防や就労継続に貢献しようとフォローアッププログラム(以下:FP)を実施する施設も多い.当院でも複数の治療構造でFPを用意している.しかし,FPの構造は各施設でも大きく違いがあり,内容もそれぞれの施設の独自の工夫によって行われているのが現状である.そこで今回は精神科デイケアを修了した就労者が求めるFPの内容について検討し,より就労継続に効果的な治療構造について考察を行う.
【方法】
特定のFPである「就労者向けプログラム」に参加している当事者23名を対象に,「FPの参加しやすさはどうか」「FPの時間設定は適切か」などを問うアンケート調査(5段階のリッカート尺度)を実施した.また自由記述で,FPに求めることや感想などについて回答を求めた.倫理的配慮として口頭にて説明し,対象者からの同意を書面にて得ており,匿名性の保持に十分な配慮を行っている.
【就労者向けプログラムの治療構造】
第1土曜日の午前と午後にショートケアの枠組みで,「就労者向けプログラム」という名称でFPを実施している.対象は当院デイケアを修了した就労者に限定している.参加者全員での近況報告後は,作業内容を当日の参加者で決めている.ボードゲームなどのレクリエーション,ストレッチ,ミーティングなどの作業が選択されることが多い.しかし,作業することは強要せず,ありのままの自分でその空間にいることが保証されるような空間を目指している.スタッフは作業準備や環境設定をおこない,当日は先頭に立つのではなく黒子のような役割に徹している.
【結果】
「FPの参加しやすさはどうか」は「とても満足」70%,「満足」30%,と回答者全員が参加しやすさを感じていた.「FPの時間設定は適切か」は「とてもそう思う」61%,「そう思う」35%,と回答者の96%が時間設定に満足していた.自由記載欄には,参加者が自身で作業を選択できること,作業を介したコミュニケーションの機会が用意されていること,その環境の中で自主的に活動できること,などにポジティブな意見が多く記載されていた.
【考察】
アンケートの結果から「就労者向けプログラム」の治療構造は,参加者にとって満足度の高いFPになっていたことが分かった.治療構造の中でも,ショートケアで実施している点,あえて当日の作業内容を限定していない点,本人が主体的に作業内容を選択し活動することが出来る点などが満足度に寄与していると考えられた.また,作業が準備されていることで,月に1回という開催頻度でも「就労者同士の緩やかな繋がりの場」として機能しやすいのではないだろうか.報告当日は詳細のアンケート結果にも触れながら,より就労継続に効果的なFPの治療構造について考察を深めていきたい.