[PI-1-3] 栃木県主催「とちぎヤングケアラーフェスティバル」における実践報告
元ヤングケアラーの作業療法士たちが訴える家族まるごと支援
【はじめに】
こども家庭庁は,ヤングケアラーとは「本来大人が担うと想定されているかじや世話などを日常的に行っているこどものこと」と定義している.国の調査によれば,公立中学校の5.7%,約17人に1人,全日制高校の4.1%,約24人に1人が存在していると報告されている.栃木県では,R5年3月に栃木県ケアラー支援条例が施行された.演者は栃木県ケアラー支援推進協議会の委員を勤めており,同協議会で委員や行政との意見交換の末,R6年2月12日に「とちぎヤングケアラー フェスティバル」が開催されるに至った.この啓発イベントでは,ヤングケアラーがケアの日々を一時忘れて自分らしくいれる環境,子どもらしく遊べることの大切さ,それを応援する大人の存在の大切さを訴えている.今回は,本事業を行うに至った経緯と,全国的に先進的な事業でもあるため,事業を行っての課題等を報告し今後の発展を期待して報告する.なお,報告するにあたり,関係者への承諾を得ており利益相反はない.
【事業内容】
「とちぎヤングケアラーフェスティバル」は栃木県こども政策課主催のヤングケアラー啓発事業である.栃木県ケアラー支援条例をもとに,ケアラー支援に関する予算が栃木県で立てられてきた.今回は単発のイベントということもあり,栃木県だけでなく,県内NPO団体と,フリーランスの演者が事務局の委託を受ける形で準備が始まった.県内の支援者ネットーワークを活かし,医療機関,ケアマネージャー,相談支援専門員,スクールソーシャルワーカー,地域ケア会議共同体,民間事業者,各職能団体,ピアサポート団体に協力を呼びかけた.1つ目は「学びのゾーン」元ヤングケアラーの支援者からのキートークがあり,クロージングやワークショップをするブース.2つ目は「相談ゾーン」きょうだいや親にケアが必要な元ヤングケアラー本人と一緒に話せるブース.3つ目は「クリエイト&交流ゾーン」子どもたちが楽しめるボードゲームや自分磨きのヘアアレンジができるブース.4つ目は「ワクワクゾーン」作業療法士たちが子ども連れの親御さんとお話ししながら遊べるブース.最後の5つ目は「情報&交流ゾーン」は支援団体に展示と栃木県内のピアサポートや支援の情報を集めたブースがあり,屋内と野外を双方活用してそれぞれの目的に応じてシームレスに会場を行き来すことができるという構造を設定しイベントを実施した.実際に,子供達は「クリエイト&交流ゾーン」「ワクワークゾーン」に多く存在し未就学児から中学生まで年齢層は多岐に渡った.
【課題】
本事業は予算編成の都合上,年末から企画が動き出し広報に至った.栃木県から,県の広報誌,県内の大学や小学校・中学校・高校などにも広報を行なったが,開催日2月に対して,1月に入ってからの広報になってしまった.日頃から関心のあるご家族や支援者はその情報を得て当日に参加した様子であったが,余裕を持ったヤングケアラー当事者たちへのリーチは不十分であった.そのため,相談ブースに腰を据えて相談するまでの高校生〜大学生,若者のケアラーの参加者は少なく,未就学児から小学生・中学生の家族みんなで来た子どもたちが多かった.
【今後の展望】
今回,広く支援機関の方々に協力を得たのも,次回以降の開催を視野に入れている.時間的なスケジュールに余裕を持つことを行政と協議している.家族の理解を得つつ,ヤングケアラーがイベントに参加し楽しむためには日頃からヤングケアラーに関わる大人や支援者の理解やサポートは欠かせない.そのため,今後も県や地方自治体,職能団体と連携した子どもと子どもに関わる大人への啓発活動は,ヤングケアラーの過ごしやすい生活を作って行くには欠かせないであろう.
こども家庭庁は,ヤングケアラーとは「本来大人が担うと想定されているかじや世話などを日常的に行っているこどものこと」と定義している.国の調査によれば,公立中学校の5.7%,約17人に1人,全日制高校の4.1%,約24人に1人が存在していると報告されている.栃木県では,R5年3月に栃木県ケアラー支援条例が施行された.演者は栃木県ケアラー支援推進協議会の委員を勤めており,同協議会で委員や行政との意見交換の末,R6年2月12日に「とちぎヤングケアラー フェスティバル」が開催されるに至った.この啓発イベントでは,ヤングケアラーがケアの日々を一時忘れて自分らしくいれる環境,子どもらしく遊べることの大切さ,それを応援する大人の存在の大切さを訴えている.今回は,本事業を行うに至った経緯と,全国的に先進的な事業でもあるため,事業を行っての課題等を報告し今後の発展を期待して報告する.なお,報告するにあたり,関係者への承諾を得ており利益相反はない.
【事業内容】
「とちぎヤングケアラーフェスティバル」は栃木県こども政策課主催のヤングケアラー啓発事業である.栃木県ケアラー支援条例をもとに,ケアラー支援に関する予算が栃木県で立てられてきた.今回は単発のイベントということもあり,栃木県だけでなく,県内NPO団体と,フリーランスの演者が事務局の委託を受ける形で準備が始まった.県内の支援者ネットーワークを活かし,医療機関,ケアマネージャー,相談支援専門員,スクールソーシャルワーカー,地域ケア会議共同体,民間事業者,各職能団体,ピアサポート団体に協力を呼びかけた.1つ目は「学びのゾーン」元ヤングケアラーの支援者からのキートークがあり,クロージングやワークショップをするブース.2つ目は「相談ゾーン」きょうだいや親にケアが必要な元ヤングケアラー本人と一緒に話せるブース.3つ目は「クリエイト&交流ゾーン」子どもたちが楽しめるボードゲームや自分磨きのヘアアレンジができるブース.4つ目は「ワクワクゾーン」作業療法士たちが子ども連れの親御さんとお話ししながら遊べるブース.最後の5つ目は「情報&交流ゾーン」は支援団体に展示と栃木県内のピアサポートや支援の情報を集めたブースがあり,屋内と野外を双方活用してそれぞれの目的に応じてシームレスに会場を行き来すことができるという構造を設定しイベントを実施した.実際に,子供達は「クリエイト&交流ゾーン」「ワクワークゾーン」に多く存在し未就学児から中学生まで年齢層は多岐に渡った.
【課題】
本事業は予算編成の都合上,年末から企画が動き出し広報に至った.栃木県から,県の広報誌,県内の大学や小学校・中学校・高校などにも広報を行なったが,開催日2月に対して,1月に入ってからの広報になってしまった.日頃から関心のあるご家族や支援者はその情報を得て当日に参加した様子であったが,余裕を持ったヤングケアラー当事者たちへのリーチは不十分であった.そのため,相談ブースに腰を据えて相談するまでの高校生〜大学生,若者のケアラーの参加者は少なく,未就学児から小学生・中学生の家族みんなで来た子どもたちが多かった.
【今後の展望】
今回,広く支援機関の方々に協力を得たのも,次回以降の開催を視野に入れている.時間的なスケジュールに余裕を持つことを行政と協議している.家族の理解を得つつ,ヤングケアラーがイベントに参加し楽しむためには日頃からヤングケアラーに関わる大人や支援者の理解やサポートは欠かせない.そのため,今後も県や地方自治体,職能団体と連携した子どもと子どもに関わる大人への啓発活動は,ヤングケアラーの過ごしやすい生活を作って行くには欠かせないであろう.