[PI-2-2] アメリカにおけるResponse to intervention(多層モデル)での学校作業療法士の役割
【はじめに】
近年,日本においても学校作業療法士の実践報告が多くされているが,特別支援学校での実践が主である.しかし文部科学省の発表では,小中学校の8.8%は通常学級に在籍するが特別な教育的支援を必要とする生徒であり,公立学校での支援が急務となっている.アメリカでは,Response to intervention(RTI)という多層モデルを取り入れており, 学校作業療法士が通常学級にて支援を開始している.RTIとは,支援に対する反応や効果を評価することによって,次第に強度と特殊性の高い支援へと移行していく介入モデルである.通常3層構造での介入が想定されており,第1層では通常学級の生徒全員に向けて介入を行う.そこで成果が見られない生徒に対して第2層では小集団での介入が行われる.さらに介入が必要な生徒に対して第3層で個別支援を行うモデルである.これにより,診断名のついていない生徒や特別支援に在籍していない生徒に対しても適切な介入が行われる.しかし,RTIモデルにおける学校作業療法士の関わり方として明確に示したものは未だ少ない.
【目的】
アメリカのRTIモデルの中で学校作業療法士がどのような分野でどのような介入をしているか,またはどのような課題を抱えているか明確にすることで,学校作業療法士の役割を検討した.
【方法】
研究方法は文献研究とする.データベースはGoogle Scholar,PubMed,ProQuest等を用いて,世界的にもアメリカにおいても学校作業療法士に関する講演や報告が著しく増加した2010年代初頭から2023年まで過去約10年間の該当する文献を検索し対象とした.キーワードはAmerica, Response to intervention,RTI,Occupational therapyなど作業療法や学校作業療法士に関連する英語の語句とした.
【結果と考察】
ハンドサーチを行った結果,最終分析対象論文は28件であった.RTIの特徴である第1層での介入報告が主であり,23件の実践報告のうち,11件が幼稚園における介入であった.これは,アメリカではRTIが早期介入の一部として分類されており,3歳から介入対象であることを表している.介入内容については,書字に対する支援が5件で最も多く,その他にも読解や協調運動,トラウマやいじめ等のメンタルヘルスに対する介入など様々であった.州や区によって求められる役割が異なると指摘されており,支援内容は様々であったが,作業療法の支援範囲は日常生活全般であるため,今後も支援対象が拡大,変化していくことが伺えた.教員側の視点からは,学校作業療法士は教室内をスクリーニングする能力やコンサルテーションやコラボレーションを通して教員と意思疎通することが求められていた.複数の文献において課題として報告されていることは,コラボレーションを行う教員や他の専門職が作業療法士の対象範囲や必要性を認識しておらず,学校作業療法士としての役割について理解が不足していることであった.RTIでの学校作業療法士の導入においては,作業療法士の特徴や専門性を明確に伝えていく必要があることが示唆された.このことにより,学校作業療法士には,支援対象の抽出やその評価,介入方法の選定を行うことが求められており,教員とのコラボレーションモデルを確立していくことが重要であると考える.
近年,日本においても学校作業療法士の実践報告が多くされているが,特別支援学校での実践が主である.しかし文部科学省の発表では,小中学校の8.8%は通常学級に在籍するが特別な教育的支援を必要とする生徒であり,公立学校での支援が急務となっている.アメリカでは,Response to intervention(RTI)という多層モデルを取り入れており, 学校作業療法士が通常学級にて支援を開始している.RTIとは,支援に対する反応や効果を評価することによって,次第に強度と特殊性の高い支援へと移行していく介入モデルである.通常3層構造での介入が想定されており,第1層では通常学級の生徒全員に向けて介入を行う.そこで成果が見られない生徒に対して第2層では小集団での介入が行われる.さらに介入が必要な生徒に対して第3層で個別支援を行うモデルである.これにより,診断名のついていない生徒や特別支援に在籍していない生徒に対しても適切な介入が行われる.しかし,RTIモデルにおける学校作業療法士の関わり方として明確に示したものは未だ少ない.
【目的】
アメリカのRTIモデルの中で学校作業療法士がどのような分野でどのような介入をしているか,またはどのような課題を抱えているか明確にすることで,学校作業療法士の役割を検討した.
【方法】
研究方法は文献研究とする.データベースはGoogle Scholar,PubMed,ProQuest等を用いて,世界的にもアメリカにおいても学校作業療法士に関する講演や報告が著しく増加した2010年代初頭から2023年まで過去約10年間の該当する文献を検索し対象とした.キーワードはAmerica, Response to intervention,RTI,Occupational therapyなど作業療法や学校作業療法士に関連する英語の語句とした.
【結果と考察】
ハンドサーチを行った結果,最終分析対象論文は28件であった.RTIの特徴である第1層での介入報告が主であり,23件の実践報告のうち,11件が幼稚園における介入であった.これは,アメリカではRTIが早期介入の一部として分類されており,3歳から介入対象であることを表している.介入内容については,書字に対する支援が5件で最も多く,その他にも読解や協調運動,トラウマやいじめ等のメンタルヘルスに対する介入など様々であった.州や区によって求められる役割が異なると指摘されており,支援内容は様々であったが,作業療法の支援範囲は日常生活全般であるため,今後も支援対象が拡大,変化していくことが伺えた.教員側の視点からは,学校作業療法士は教室内をスクリーニングする能力やコンサルテーションやコラボレーションを通して教員と意思疎通することが求められていた.複数の文献において課題として報告されていることは,コラボレーションを行う教員や他の専門職が作業療法士の対象範囲や必要性を認識しておらず,学校作業療法士としての役割について理解が不足していることであった.RTIでの学校作業療法士の導入においては,作業療法士の特徴や専門性を明確に伝えていく必要があることが示唆された.このことにより,学校作業療法士には,支援対象の抽出やその評価,介入方法の選定を行うことが求められており,教員とのコラボレーションモデルを確立していくことが重要であると考える.