[PI-2-7] 課題分析を児童と一緒に行い目標達成に至った一例
発達性協調運動症児の縄跳び獲得を通して
【はじめに】
発達性協調運動症(DCD)児の特徴の一つは協調運動の困難さであり,DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアルではスポーツ場面で顕著に現れると記載されている.特に上下肢を協調して動かす縄跳びは困難で,小学1年生女児が過去1年でよく行ったスポーツの2位である(笹川スポーツ財団,2019)ことからも,獲得を目指す優先度は高い.今回,短縄跳び前跳び(縄跳び)の習得を希望する小学1年生の女児(DCD)に介入したところ,目標を達成したため報告する.なお,本報告に関して本児と保護者に説明し書面での同意と,倫理委員会の承認も得ている(倫理番号:202306).
【対象】
DCDの診断を受けている通常学級に通学中の7歳女児で,月に2回2単位の外来リハビリテーションを実施している.希望は「縄跳びを飛べるようになりたい」で,Canadian Occupational Performance Measure(COPM)は重要度8,遂行度6,満足度4であった.初期評価として,縄跳びは最大3回(平均2回)で引っかかり,跳躍は股・膝関節屈曲位で飛び,足部が左右や前方にずれていた.縄は肩関節を中心に回しており,上下肢のタイミングは合っていなかった.日本版感覚統合検査JPAN感覚処理・行為機能検査では,片脚立位左右20秒,垂直跳び10回ズレなく可能.前腕回内外テストにて左肘が開く,ジャンピングジャックは上下肢のズレが見られ,姿勢保持機能と協調運動・運動企画の苦手さが見られた.以上から,①弛まず縄を回せる,②上肢の動きに合わせた足関節での跳躍,③自身の動きを客観的に分析し動作へ反映できる.以上3点の獲得が重要と考え介入した.
【介入】
全9回18単位の外来リハビリテーションを実施.内容は作業療法士による直接介入とホームプログラムの提示・指導を軸とした.介入は弛まず縄を回せることを目指し,タオル回しを実施.次にトランポリンでの足関節跳躍を練習後,上下肢の協調運動獲得を目指してトランポリン上でのタオル回しを行った.その後縄跳びを行い,その場面を動画撮影し本児と分析した.分析では「脇を締めて縄を回す,足を揃えて飛ぶことが大事!」と本児が発見でき,次の縄跳びの際に反映することを心掛けられていた.また,「縄跳びできるようになったらどこで披露できるかな?」と今後の展開も意識できるよう声かけを行った.ホームプログラムはタオル回し・縄跳びを提示し,保護者には本児が主体性に行うことを心掛けてもらった.頻度は,介入初期は週に1回であったが,縄跳びが上達するにつれ「友達に跳べるところを見せたい!」と話すようになり,後半は毎日実施するようになった.
【結果】
動作は改善され最大51回(平均 35回)跳べるようになり,COPMは遂行度・満足度ともに10と向上し,希望は達成された.ジャンピングジャックは20回へ改善した.
【考察】
合意目標を達成した理由として,段階付け介入を行い「弛まず縄を回せる」「上肢の動きに合わせた足関節での跳躍」の獲得に至ったこと,客観的に動作を分析し「脇を締めて縄を回す」を発見できたことが良かったと考える.縄跳びは「縄を手首でまわす」「タイミングよくジャンプする」が主動作で,同時に行うところに難しさがある(川島ら,2023).「脇を締める」という発見とタオル回しが手首での回旋動作に繋がり,トランポリン上でのタオル回しによって上下肢の協調動作獲得に至ったと推察する.またホームプログラムが習慣化した要因としては,参加場面を意識した話し合いによって目標が発展し,縄跳びへの動機づけが強化されたためと考える.
発達性協調運動症(DCD)児の特徴の一つは協調運動の困難さであり,DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアルではスポーツ場面で顕著に現れると記載されている.特に上下肢を協調して動かす縄跳びは困難で,小学1年生女児が過去1年でよく行ったスポーツの2位である(笹川スポーツ財団,2019)ことからも,獲得を目指す優先度は高い.今回,短縄跳び前跳び(縄跳び)の習得を希望する小学1年生の女児(DCD)に介入したところ,目標を達成したため報告する.なお,本報告に関して本児と保護者に説明し書面での同意と,倫理委員会の承認も得ている(倫理番号:202306).
【対象】
DCDの診断を受けている通常学級に通学中の7歳女児で,月に2回2単位の外来リハビリテーションを実施している.希望は「縄跳びを飛べるようになりたい」で,Canadian Occupational Performance Measure(COPM)は重要度8,遂行度6,満足度4であった.初期評価として,縄跳びは最大3回(平均2回)で引っかかり,跳躍は股・膝関節屈曲位で飛び,足部が左右や前方にずれていた.縄は肩関節を中心に回しており,上下肢のタイミングは合っていなかった.日本版感覚統合検査JPAN感覚処理・行為機能検査では,片脚立位左右20秒,垂直跳び10回ズレなく可能.前腕回内外テストにて左肘が開く,ジャンピングジャックは上下肢のズレが見られ,姿勢保持機能と協調運動・運動企画の苦手さが見られた.以上から,①弛まず縄を回せる,②上肢の動きに合わせた足関節での跳躍,③自身の動きを客観的に分析し動作へ反映できる.以上3点の獲得が重要と考え介入した.
【介入】
全9回18単位の外来リハビリテーションを実施.内容は作業療法士による直接介入とホームプログラムの提示・指導を軸とした.介入は弛まず縄を回せることを目指し,タオル回しを実施.次にトランポリンでの足関節跳躍を練習後,上下肢の協調運動獲得を目指してトランポリン上でのタオル回しを行った.その後縄跳びを行い,その場面を動画撮影し本児と分析した.分析では「脇を締めて縄を回す,足を揃えて飛ぶことが大事!」と本児が発見でき,次の縄跳びの際に反映することを心掛けられていた.また,「縄跳びできるようになったらどこで披露できるかな?」と今後の展開も意識できるよう声かけを行った.ホームプログラムはタオル回し・縄跳びを提示し,保護者には本児が主体性に行うことを心掛けてもらった.頻度は,介入初期は週に1回であったが,縄跳びが上達するにつれ「友達に跳べるところを見せたい!」と話すようになり,後半は毎日実施するようになった.
【結果】
動作は改善され最大51回(平均 35回)跳べるようになり,COPMは遂行度・満足度ともに10と向上し,希望は達成された.ジャンピングジャックは20回へ改善した.
【考察】
合意目標を達成した理由として,段階付け介入を行い「弛まず縄を回せる」「上肢の動きに合わせた足関節での跳躍」の獲得に至ったこと,客観的に動作を分析し「脇を締めて縄を回す」を発見できたことが良かったと考える.縄跳びは「縄を手首でまわす」「タイミングよくジャンプする」が主動作で,同時に行うところに難しさがある(川島ら,2023).「脇を締める」という発見とタオル回しが手首での回旋動作に繋がり,トランポリン上でのタオル回しによって上下肢の協調動作獲得に至ったと推察する.またホームプログラムが習慣化した要因としては,参加場面を意識した話し合いによって目標が発展し,縄跳びへの動機づけが強化されたためと考える.