[PI-8-1] 多様化する生徒を支援するための高校教諭サポート研修の報告
【序論】
高等学校では自閉スペクトラム症や注意欠如/多動症の生徒数は増加傾向にある.加えて思春期以降に好発年齢を迎える精神疾患(不安症,強迫症,摂食障害など)もあり,その対応に迫られている.多様化する生徒に対し個別的支援が必要であり,生徒指導に携わる教職員は医学的知識と実践的な支援技術の習得が求められている.福島県立医科大学保健科学部作業療法学科(以下,本学)では,高等学校における通級指導を実施している2校に対して学校コンサルテーションを実施しており,より多くの教職員の専門性向上のための知識・情報共有が急務であるとの認識に至り,「多様化する生徒を支援するための高校教諭サポート研修」を企画・開催することとした.
【目的】
本活動報告の目的は高等学校教職員に対して実施した研修後のアンケートを用いて研修の必要性および効果を検証することである.
【研修の内容と効果判定】
研修は,夏季と冬季に1回ずつ計2回開催した.第1回は,①「神経発達症の理解と支援」(本学 倉澤茂樹),②「発達障害のある生徒が進学・就職する際の困りごとと必要な支援について」(早稲田大学 梅永雄二)であり,第2回は,③「小児・思春期に併発しやすい精神疾患の予防と支援」(本学 倉澤茂樹),④「多様な高校生に対する包括的セクシュアリティ教育」(東洋大学 門下祐子)で構成された.効果判定として,研修終了後に無記名アンケートを実施した.調査項目及び回答法は,各講演について,学ぶことの重要度(10件法),研修前の理解度,研修後の理解度(10件法),発展的継続の希望の有無であった.倫理的配慮として,アンケートの使用目的について口頭で説明し,アンケートの回答をもって了承とした.なお本事業は福島県学術教育振興財団の助成のもと実施した.統計解析は,研修前後での理解度の変化について,Wilcoxon符号付順位和検定を用いた.有意水準を1%未満と設定した.
【結果】
第1回は,アンケート回答者は38名(回収率69%)であった.①の「学ぶことの重要度」が中央値10(四分位範囲 9-10)であった.①の「理解度」は研修前後で,6(4- 7)から8(8-9)有意に変化した(p<0.01).①の「発展的継続の希望」では35名(92%)が希望した.②の「学ぶことの重要度」が10(10-10),②の「理解度」が研修前後で7(5-10)から9(9-10)に有意に変化した(p<0.01).②の「発展的継続の希望」では35名(92%)が希望した.第2回は,アンケート回答者は46名(回収率67%)であった.③の「学ぶことの重要度」が10(9-10),③の「理解度」が研修前後で6(5-7)から8(8-8)に有意に変化した(p<0.01).③の「発展的継続の希望」は45名(98%)が希望した.④の「学ぶことの重要度」は,10(10-10)であった.④の「理解度」は,研修前後で5(3-7)から8(7-9)に有意に変化した(p<0.01).④の「発展的継続の希望」では46名(100%)が希望した.アンケート結果より,「理解度」は全講演において研修前後に向上しており,教職員の理解を深めるために有効であった.「学ぶことの重要度」は全講演で中央値が最高値であり,「発展的継続の希望」は全講演で90%を超えた希望があったことから,教職員からの研修の必要性の高さも明らかとなった.
【考察】
高等学校の教職員は神経発達症や思春期に発症しやすい精神疾患の病態や支援方法に高い関心を持っていた.アンケート結果より,研修を通じて理解が深まったこと,研修の継続を求めていることが確認され,本事業は多様化する生徒を支援する教職員に対する啓発活動として意義があると考える.
高等学校では自閉スペクトラム症や注意欠如/多動症の生徒数は増加傾向にある.加えて思春期以降に好発年齢を迎える精神疾患(不安症,強迫症,摂食障害など)もあり,その対応に迫られている.多様化する生徒に対し個別的支援が必要であり,生徒指導に携わる教職員は医学的知識と実践的な支援技術の習得が求められている.福島県立医科大学保健科学部作業療法学科(以下,本学)では,高等学校における通級指導を実施している2校に対して学校コンサルテーションを実施しており,より多くの教職員の専門性向上のための知識・情報共有が急務であるとの認識に至り,「多様化する生徒を支援するための高校教諭サポート研修」を企画・開催することとした.
【目的】
本活動報告の目的は高等学校教職員に対して実施した研修後のアンケートを用いて研修の必要性および効果を検証することである.
【研修の内容と効果判定】
研修は,夏季と冬季に1回ずつ計2回開催した.第1回は,①「神経発達症の理解と支援」(本学 倉澤茂樹),②「発達障害のある生徒が進学・就職する際の困りごとと必要な支援について」(早稲田大学 梅永雄二)であり,第2回は,③「小児・思春期に併発しやすい精神疾患の予防と支援」(本学 倉澤茂樹),④「多様な高校生に対する包括的セクシュアリティ教育」(東洋大学 門下祐子)で構成された.効果判定として,研修終了後に無記名アンケートを実施した.調査項目及び回答法は,各講演について,学ぶことの重要度(10件法),研修前の理解度,研修後の理解度(10件法),発展的継続の希望の有無であった.倫理的配慮として,アンケートの使用目的について口頭で説明し,アンケートの回答をもって了承とした.なお本事業は福島県学術教育振興財団の助成のもと実施した.統計解析は,研修前後での理解度の変化について,Wilcoxon符号付順位和検定を用いた.有意水準を1%未満と設定した.
【結果】
第1回は,アンケート回答者は38名(回収率69%)であった.①の「学ぶことの重要度」が中央値10(四分位範囲 9-10)であった.①の「理解度」は研修前後で,6(4- 7)から8(8-9)有意に変化した(p<0.01).①の「発展的継続の希望」では35名(92%)が希望した.②の「学ぶことの重要度」が10(10-10),②の「理解度」が研修前後で7(5-10)から9(9-10)に有意に変化した(p<0.01).②の「発展的継続の希望」では35名(92%)が希望した.第2回は,アンケート回答者は46名(回収率67%)であった.③の「学ぶことの重要度」が10(9-10),③の「理解度」が研修前後で6(5-7)から8(8-8)に有意に変化した(p<0.01).③の「発展的継続の希望」は45名(98%)が希望した.④の「学ぶことの重要度」は,10(10-10)であった.④の「理解度」は,研修前後で5(3-7)から8(7-9)に有意に変化した(p<0.01).④の「発展的継続の希望」では46名(100%)が希望した.アンケート結果より,「理解度」は全講演において研修前後に向上しており,教職員の理解を深めるために有効であった.「学ぶことの重要度」は全講演で中央値が最高値であり,「発展的継続の希望」は全講演で90%を超えた希望があったことから,教職員からの研修の必要性の高さも明らかとなった.
【考察】
高等学校の教職員は神経発達症や思春期に発症しやすい精神疾患の病態や支援方法に高い関心を持っていた.アンケート結果より,研修を通じて理解が深まったこと,研修の継続を求めていることが確認され,本事業は多様化する生徒を支援する教職員に対する啓発活動として意義があると考える.