[PI-9-2] 発達障害児の保護者における育児負担と関連する概念の文献的検討
【序論】近年,発達障害児は増加傾向にあり,福祉・医療施設における作業療法場面における障害児支援の検討が課題となっている.発達障害児における適切な支援体制を整えるうえでは,障害児を養育する保護者に着目する必要がある.発達障害児の保護者は,定型発達児をもつ保護者と比較して,育児に関する様々な精神的負担や不安感が高く,こうした保護者の精神的健康状態の問題が,障害児の問題行動に関係することも明らかとされている(野邑ら,2006).しかし,発達障害児の保護者における育児負担に影響を与える概念や育児負担が影響を与える概念は整理されていない.これらの概念を整理することは,保護者の育児負担の軽減に向けた作業療法支援において,配慮すべき事項や今後検討すべき課題を明確にすることに繋がると考える.
【目的】本研究は,発達障害児を育児する保護者の作業療法支援において配慮すべき事項や今後検討すべき課題を明確にすることをねらいとして,発達障害児の保護者における育児負担感と関連する概念を文献的検討により明らかとすることを目的とした.
【方法】文献検索エンジンは,CiNii Articlesを用い,令和6年2月17日に実施した.検索語および演算子は,(発達障害 OR 自閉症スペクトラム症 OR ASD OR 注意欠陥多動症 OR ADHD OR 学習障害 OR LD OR 発達性協調運動症 OR DCD OR 知的発達症 OR IDD) ((母親 OR 父親 OR 保護者 OR 養育者) (育児 OR 養育 OR 子育て) (ストレス OR 不安 OR 精神的健康 OR 負担感))とした.なお,網羅的に文献を検索する目的から,検索期間は設けなかった.文献の包含基準は, 研究対象が発達障害児の保護者であること,保護者の育児負担に関する記載がされていることとした.文献の除外基準は,文献種が質的研究,症例報告,会議録,特集,文献研究であるとした.包含基準を満たし,除外基準に抵触していない文献が採択基準を満たした文献とした.関連概念の抽出方法は,保護者の育児負担と有意な関連が認められた概念,介入前後で保護者の育児負担に有意な差が認められた概念とした. これらの分析は,結果の信頼性を担保するために2名の研究者間で協議確認しつつ行った.なお,本研究は文献的研究であり,人を対象とする研究には該当しない.開示すべきCOI 関係にある企業等はない.
【結果】CiNii Articles で選出された文献は,193件であり,採択基準を満たした文献は21件であった. 分析対象文献から抽出された保護者の育児負担と関連する概念(以下,関連概念)の総数は,34件であった.関連概念は,件数の多い順に「育児ストレス(11 件)」,「ペアレントトレーニング(7件)」,「保護者の抑うつ(5件)」,「育児ソーシャルサポート(3件)」,「育児不安(3件)」,「児の障害特性(3件)」,「保護者の趣味活動(1件)」,「母親の問題解決スキル(1件)」,「保護者のコーピング(1件)」であった.
【考察】本研究によって,抽出された関連概念について作業療法場面において配慮することが,育児負担の軽減に貢献できる可能性があることが見出された.また,抽出された関連概念以外の概念についても,作業療法の視点から今後検討する必要があると考える.今後は,多数の検索エンジンを用いた更なる検討が必要である.
【目的】本研究は,発達障害児を育児する保護者の作業療法支援において配慮すべき事項や今後検討すべき課題を明確にすることをねらいとして,発達障害児の保護者における育児負担感と関連する概念を文献的検討により明らかとすることを目的とした.
【方法】文献検索エンジンは,CiNii Articlesを用い,令和6年2月17日に実施した.検索語および演算子は,(発達障害 OR 自閉症スペクトラム症 OR ASD OR 注意欠陥多動症 OR ADHD OR 学習障害 OR LD OR 発達性協調運動症 OR DCD OR 知的発達症 OR IDD) ((母親 OR 父親 OR 保護者 OR 養育者) (育児 OR 養育 OR 子育て) (ストレス OR 不安 OR 精神的健康 OR 負担感))とした.なお,網羅的に文献を検索する目的から,検索期間は設けなかった.文献の包含基準は, 研究対象が発達障害児の保護者であること,保護者の育児負担に関する記載がされていることとした.文献の除外基準は,文献種が質的研究,症例報告,会議録,特集,文献研究であるとした.包含基準を満たし,除外基準に抵触していない文献が採択基準を満たした文献とした.関連概念の抽出方法は,保護者の育児負担と有意な関連が認められた概念,介入前後で保護者の育児負担に有意な差が認められた概念とした. これらの分析は,結果の信頼性を担保するために2名の研究者間で協議確認しつつ行った.なお,本研究は文献的研究であり,人を対象とする研究には該当しない.開示すべきCOI 関係にある企業等はない.
【結果】CiNii Articles で選出された文献は,193件であり,採択基準を満たした文献は21件であった. 分析対象文献から抽出された保護者の育児負担と関連する概念(以下,関連概念)の総数は,34件であった.関連概念は,件数の多い順に「育児ストレス(11 件)」,「ペアレントトレーニング(7件)」,「保護者の抑うつ(5件)」,「育児ソーシャルサポート(3件)」,「育児不安(3件)」,「児の障害特性(3件)」,「保護者の趣味活動(1件)」,「母親の問題解決スキル(1件)」,「保護者のコーピング(1件)」であった.
【考察】本研究によって,抽出された関連概念について作業療法場面において配慮することが,育児負担の軽減に貢献できる可能性があることが見出された.また,抽出された関連概念以外の概念についても,作業療法の視点から今後検討する必要があると考える.今後は,多数の検索エンジンを用いた更なる検討が必要である.