[PJ-1-4] COVID-19に感染し,ウィルス排出が遅延した症例の介入経験と今後の課題について
【はじめに】当院では,入院患者もしくは重症化リスクのある患者がCOVID-19に感染した場合,入院管理のもと隔離対応となる.当該患者がリハビリテーション(以下:リハビリ)を必要とする際は,当院の規定により,COVID-19の陰性化を確認し一般病棟に転棟してからの介入としており,COVID-19が「5類感染症」に移行した現在も,それは継続している.今回,COVID-19に感染後,ウィルスの排出が遅延したことにより隔離期間が長期化し,日常生活動作(以下:ADL)能力が著明に低下した症例に対して,他職種・地域連携によって自宅退院に至った経緯と,今後の課題について検討した.なお,今回の症例報告において本人により同意を得ている.
【症例紹介】80代女性,息子と2人暮らし.MALTリンパ腫と診断され,当院にて加療を行いながら自立した生活を送っていたが,咽頭痛と高熱により当院救急搬送され,COVID-19陽性確認.重症化のリスクが懸念されることから入院加療となった.入院翌日より酸素投与を要したものの,その後は重症化せず経過していたが,ウィルスの排出が遅延したため,隔離状態を継続.発症から約3か月後に陰性を確認し,リハビリ開始となった.
【評価】介入時より,座位での血圧低下や体動時の眩暈,易疲労が認められ,起居動作は全介助,座位保持も介助を要し恐怖心もあった.下肢の筋力低下や左足関節の尖足も認められ,リハビリ開始時の機能的自立度評価法(以下:FIM)は,47点(運動項目13点,認知項目34点)と,ADL能力が著明に低下している状態であった.リハビリ目標を立てるにあたり,本症例は息子氏と2人暮らしであったことから,本人より「トイレは自分で行きたい」との希望があっため,介入早期より「トイレ動作の獲得」を目標とすることを共有した.
【経過】トイレ動作を獲得するために,必要な要項を整理しリストアップした.具体的には,1)バイタルの安定・座位耐久性の向上,2)起居・移乗など基本動作の獲得,3)トイレ動作の実践,4)自宅退院に向けての調整とした.まずは座位に慣れることから始め,少しずつ離床を進めて座位時間の延長を目指した.バイタルなど安定してくると,積極的に座位時間の延長を図り体力の回復を図りながら,座位や移乗動作の獲得を目指した.トイレ動作においては,実際に自宅で導入可能な方法を本人と相談しながら決定し,それと同様の方法で病棟でも実践し,病棟看護師の協力を得ながらトイレ動作の獲得へとつなげた.また自宅退院に向けて,病棟看護師やケアマネージャー,在宅支援に関わるスタッフと連携をとり環境調整も図った.
【結果】退院時のFIMは80点(運動項目45点,認知項目35点)と,介入時と比較すると改善がみられた.トイレ動作については,日中はポータブルトイレ使用,夜間は安全のためパット交換で対応とし,全て自身で動作可能となり,本人の目標であった,「トイレ動作の獲得」を達成することができた.ケアマネージャーには移乗やトイレ動作を中心に,在宅生活で必要な動作や注意点の情報提供,必要物品の準備依頼をした.また,在宅でリハビリ継続するにあたり,訪問リハビリの担当療法士への情報提供も行い,自宅退院となった.
【考察】COVID-19が「5類感染症」に移行した現在,各施設の事情を踏まえながらこれまでとは違った新たな対策を講じる必要がある.当院における今後の対策の一案として考えられるのは,看護師など病棟スタッフを介して遠隔的にリハビリを進めていくシステムの導入である.本症例のような状況でも機能低下を生じさせないように,今後に生かしていきたいと考えている.
【症例紹介】80代女性,息子と2人暮らし.MALTリンパ腫と診断され,当院にて加療を行いながら自立した生活を送っていたが,咽頭痛と高熱により当院救急搬送され,COVID-19陽性確認.重症化のリスクが懸念されることから入院加療となった.入院翌日より酸素投与を要したものの,その後は重症化せず経過していたが,ウィルスの排出が遅延したため,隔離状態を継続.発症から約3か月後に陰性を確認し,リハビリ開始となった.
【評価】介入時より,座位での血圧低下や体動時の眩暈,易疲労が認められ,起居動作は全介助,座位保持も介助を要し恐怖心もあった.下肢の筋力低下や左足関節の尖足も認められ,リハビリ開始時の機能的自立度評価法(以下:FIM)は,47点(運動項目13点,認知項目34点)と,ADL能力が著明に低下している状態であった.リハビリ目標を立てるにあたり,本症例は息子氏と2人暮らしであったことから,本人より「トイレは自分で行きたい」との希望があっため,介入早期より「トイレ動作の獲得」を目標とすることを共有した.
【経過】トイレ動作を獲得するために,必要な要項を整理しリストアップした.具体的には,1)バイタルの安定・座位耐久性の向上,2)起居・移乗など基本動作の獲得,3)トイレ動作の実践,4)自宅退院に向けての調整とした.まずは座位に慣れることから始め,少しずつ離床を進めて座位時間の延長を目指した.バイタルなど安定してくると,積極的に座位時間の延長を図り体力の回復を図りながら,座位や移乗動作の獲得を目指した.トイレ動作においては,実際に自宅で導入可能な方法を本人と相談しながら決定し,それと同様の方法で病棟でも実践し,病棟看護師の協力を得ながらトイレ動作の獲得へとつなげた.また自宅退院に向けて,病棟看護師やケアマネージャー,在宅支援に関わるスタッフと連携をとり環境調整も図った.
【結果】退院時のFIMは80点(運動項目45点,認知項目35点)と,介入時と比較すると改善がみられた.トイレ動作については,日中はポータブルトイレ使用,夜間は安全のためパット交換で対応とし,全て自身で動作可能となり,本人の目標であった,「トイレ動作の獲得」を達成することができた.ケアマネージャーには移乗やトイレ動作を中心に,在宅生活で必要な動作や注意点の情報提供,必要物品の準備依頼をした.また,在宅でリハビリ継続するにあたり,訪問リハビリの担当療法士への情報提供も行い,自宅退院となった.
【考察】COVID-19が「5類感染症」に移行した現在,各施設の事情を踏まえながらこれまでとは違った新たな対策を講じる必要がある.当院における今後の対策の一案として考えられるのは,看護師など病棟スタッフを介して遠隔的にリハビリを進めていくシステムの導入である.本症例のような状況でも機能低下を生じさせないように,今後に生かしていきたいと考えている.