[PJ-2-3] 意欲低下を呈する症例に対して創作活動を行うことで意欲改善に繋がった作業療法支援
【はじめに】意欲低下は,リハビリの拒否や臥床傾向に繋がる.人間モデルでは「意味のある作業は,それを行う人に自信をもたらし,他の作業への取り組みを促す.満足や喜びを感じられるものである」1)と述べられている.事例の経過を通じで,意味のある作業の意義と意欲向上に至った背景を報告する.
【症例情報】年齢:80歳.性別:女性.Hope:「歩行器でもいいから歩きたい」.病名:腰椎圧迫骨折.現病歴:骨折にて急性期病院に入院し,保存加療の方針となる.前院にY+1月Z+10日に転院したが,自宅退院困難でY+2月Z+3日に当院に入院となる.
【作業療法評価】筋力:MMT:3レベル.握力:右7㎏/左6㎏.基本動作:寝返り中等度介助.FIM:48点.認知機能:HDS-R28点.意欲:Itality Index(VI)7点.STOD:作業疎外:3.5.FACESCALE:入院時3.
【観察評価】病棟では終日臥床傾向で主体的な発語などは見られず,表情変化も少なかった.入院以前より全般的に介助を要していたが「家に帰れば,トイレが一人で出来るはず」と現状の身体機能の自己理解の乖離を認めた.
【問題点】活動意欲低下や病識低下に伴う日中の活動性低下.廃用性の活動耐久性低下が課題点として挙げられた.
【目標】周囲の支援を受けながらデイサービスに通うことが出来る.また,趣味である創作活動を継続することを目標した.共有目標は,トイレ動作の介助量軽減を目指し,段階的に出来る事を増やしていくことを挙げた.
【自己効力感に対するOT介入】Banduraは,自己効力感の認識に影響を与える4つの情報源として制御体験,代理経験,言語的説得. 生理的情動的状態を挙げた.事例に対して4つの情報源の観点から課題の設定や環境設定,関わりなどの介入を実施した.
【経過】1~2週目:移乗練習等の機能訓練中心に介入していた.表情は暗く「もういいわ,戻る」と消極的な発言も見られた.折り紙で飾りを作成する.「退屈だから作ってみた」と話す.
3~4週目:飾り作り依頼する.創作活動について「頼まれたから作った」と笑顔で話される.離床にも意欲的になる.作業療法の時間を「待っていた」と話す.
5~7週目:OTRと共に集団レクリエーションの作業活動を企画・準備する.作業療法時間外もベッド上で作業活動をしており「OOさんに作ってあげたいから折り紙をリハビリ室に取りに行きたい」等の主体的な発言も多い.退院直前にはADLについて「家族にも手伝ってもらう」との発言もある.
【結果】FIM:53点.HDS-R30点.VI:9点.TOD:作業疎外:1,75.FACESCALE:退院時1.消極的な発言は減少し,日中活動性の改善を認めた.「歩ける様になる」などの現実と乖離した発言も見られなくなり,X+1年Y+5月Z+12日に自宅退院となる.
【考察】作業機能障害について作業疎外の改善が得られたことや強みを生かした活動の遂行により自己効力感が向上した.自己効力を得ることにより「目標としている行動に挑戦しようと努力する傾向を示す」2)とされ,更に自己効力感と自己認識の相互作用3)により退院後の生活イメージの獲得に繋がった.加えて,適切な家族指導や福祉用具の検討も同時行ったことで症例が安心して今後の生活様式を受け入れたと考える.
【おわりに】高齢者はラフサイクルにおいて様々な喪失体験に直面する.意欲向上を促すことは維持期のQOLの維持に大きく寄与すると考える.
【症例情報】年齢:80歳.性別:女性.Hope:「歩行器でもいいから歩きたい」.病名:腰椎圧迫骨折.現病歴:骨折にて急性期病院に入院し,保存加療の方針となる.前院にY+1月Z+10日に転院したが,自宅退院困難でY+2月Z+3日に当院に入院となる.
【作業療法評価】筋力:MMT:3レベル.握力:右7㎏/左6㎏.基本動作:寝返り中等度介助.FIM:48点.認知機能:HDS-R28点.意欲:Itality Index(VI)7点.STOD:作業疎外:3.5.FACESCALE:入院時3.
【観察評価】病棟では終日臥床傾向で主体的な発語などは見られず,表情変化も少なかった.入院以前より全般的に介助を要していたが「家に帰れば,トイレが一人で出来るはず」と現状の身体機能の自己理解の乖離を認めた.
【問題点】活動意欲低下や病識低下に伴う日中の活動性低下.廃用性の活動耐久性低下が課題点として挙げられた.
【目標】周囲の支援を受けながらデイサービスに通うことが出来る.また,趣味である創作活動を継続することを目標した.共有目標は,トイレ動作の介助量軽減を目指し,段階的に出来る事を増やしていくことを挙げた.
【自己効力感に対するOT介入】Banduraは,自己効力感の認識に影響を与える4つの情報源として制御体験,代理経験,言語的説得. 生理的情動的状態を挙げた.事例に対して4つの情報源の観点から課題の設定や環境設定,関わりなどの介入を実施した.
【経過】1~2週目:移乗練習等の機能訓練中心に介入していた.表情は暗く「もういいわ,戻る」と消極的な発言も見られた.折り紙で飾りを作成する.「退屈だから作ってみた」と話す.
3~4週目:飾り作り依頼する.創作活動について「頼まれたから作った」と笑顔で話される.離床にも意欲的になる.作業療法の時間を「待っていた」と話す.
5~7週目:OTRと共に集団レクリエーションの作業活動を企画・準備する.作業療法時間外もベッド上で作業活動をしており「OOさんに作ってあげたいから折り紙をリハビリ室に取りに行きたい」等の主体的な発言も多い.退院直前にはADLについて「家族にも手伝ってもらう」との発言もある.
【結果】FIM:53点.HDS-R30点.VI:9点.TOD:作業疎外:1,75.FACESCALE:退院時1.消極的な発言は減少し,日中活動性の改善を認めた.「歩ける様になる」などの現実と乖離した発言も見られなくなり,X+1年Y+5月Z+12日に自宅退院となる.
【考察】作業機能障害について作業疎外の改善が得られたことや強みを生かした活動の遂行により自己効力感が向上した.自己効力を得ることにより「目標としている行動に挑戦しようと努力する傾向を示す」2)とされ,更に自己効力感と自己認識の相互作用3)により退院後の生活イメージの獲得に繋がった.加えて,適切な家族指導や福祉用具の検討も同時行ったことで症例が安心して今後の生活様式を受け入れたと考える.
【おわりに】高齢者はラフサイクルにおいて様々な喪失体験に直面する.意欲向上を促すことは維持期のQOLの維持に大きく寄与すると考える.