[PL-1-3] 退院支援に対する情報通信技術の有用性の検討
【はじめに】
COVID-19感染者の増加に伴い,当院では2020年7月頃より家屋調査等の外出,直接的な家族面会が制限となり,家屋等の環境を確認する場合はキーパーソンに依頼し情報通信技術(以下ICT)を使用した方法で代用していた.制限前後の回復期リハビリテーション病棟(以下回リハ病棟)より在宅復帰が可能であった患者の特徴を明らかにし,どのような要因が在宅復帰に影響するか多変量解析を用いて検討する.また,今後の退院支援の糧とするため家屋調査や外出練習,直接的な家族指導,ICTの活用の必要性を検討することを目的とした.
【対象および方法】
2019年1月1日から2019年12月31日までを制限前,2021年1月1日から2021年12月31日までを制限後とし,当院回リハ病棟を退院した患者を対象に調査を実施した.対象者の総数は269名,病前施設に入所している患者・状態悪化による転院等となった患者81名を除外とし,対象患者数は188名となった.
調査方法は電子カルテより情報を抽出し,年齢,性別,在院日数,入院時FIM,退院時FIM,認知症高齢者の日常生活自立度(以下生活自立度),寝たきり度,介護度,退院先の9項目について調査した.在宅へ退院した方を在宅群,住宅系施設を含む介護施設へ退院された方を施設群に分類し制限前後でχ2検定にて比較検討した.制限前後の在宅・施設群と各項目との影響を調べるために在宅・施設群を目的変数,各項目を説明変数としロジスティック回帰分析を実施した.統計処理はRのVer4.3.1を使用し有意水準は5%未満とした.本調査はヘルシンキ宣言に基づき実施した.
【結果】
制限前は88名で男性27名,女性61名,平均年齢83歳,平均在院日数88日,在宅群は58名,施設群は30名.制限後は100名で男性26名,女性74名,平均年齢80歳,平均在院日数79日,在宅群は67名,施設群は33名.χ2検定の結果(p>0.05)で有意な差はみられなかった.ロジスティック回帰分析を行った結果,制限前では,退院時FIM(OR:1.08・95%CI:1.04−1.11, p<0.05),介護1(OR:12.4・95%CI:1.96−77.7, p<0.05)・介護2(OR:8.4・95%IC:1.75−40.3, p<0.05)と影響がみられ,制限後では退院時FIM(OR:1.07・95%CI:1.03−1.1, p<0.05),生活自立度:自立(OR:0.184・95%CI:0.042−0.794, p<0.05)と影響がみられた.
【考察】
回リハ病棟から在宅へ退院する患者の因子としてFIMの点数,認知機能との関連性が強いとの先行研究が散見され今回の調査からも同様の結果がみられる.当院では制限後で家屋調査等の外出,家族への直接的な動作指導等をICTで実施した.制限後では平均年齢はやや若い傾向で,在宅へ退院される患者はやや増加傾向となっており,在院日数も短縮されている.要因としては,ICTで代用することで入院初期より在宅の環境,入院前の生活状況を把握することができ,マネジメントを行いやすく退院支援が円滑に行えたことが考えられる.また,病院へ来院できない家族等に対してもICTを活用した介入の有用性は高いと考える.しかし,ICTの利用が困難な方,独居等で在宅の環境がわかりにくい患者に対しては家屋調査や外出練習等の在宅での状態確認が必要と考える.現在,家屋調査等の外出練習の制限緩和となっているため,ICTと外出練習をその方に合わせて実施することでよりよい退院支援となり,在宅復帰率向上,退院後の安心した生活が送れるのではと考える.
COVID-19感染者の増加に伴い,当院では2020年7月頃より家屋調査等の外出,直接的な家族面会が制限となり,家屋等の環境を確認する場合はキーパーソンに依頼し情報通信技術(以下ICT)を使用した方法で代用していた.制限前後の回復期リハビリテーション病棟(以下回リハ病棟)より在宅復帰が可能であった患者の特徴を明らかにし,どのような要因が在宅復帰に影響するか多変量解析を用いて検討する.また,今後の退院支援の糧とするため家屋調査や外出練習,直接的な家族指導,ICTの活用の必要性を検討することを目的とした.
【対象および方法】
2019年1月1日から2019年12月31日までを制限前,2021年1月1日から2021年12月31日までを制限後とし,当院回リハ病棟を退院した患者を対象に調査を実施した.対象者の総数は269名,病前施設に入所している患者・状態悪化による転院等となった患者81名を除外とし,対象患者数は188名となった.
調査方法は電子カルテより情報を抽出し,年齢,性別,在院日数,入院時FIM,退院時FIM,認知症高齢者の日常生活自立度(以下生活自立度),寝たきり度,介護度,退院先の9項目について調査した.在宅へ退院した方を在宅群,住宅系施設を含む介護施設へ退院された方を施設群に分類し制限前後でχ2検定にて比較検討した.制限前後の在宅・施設群と各項目との影響を調べるために在宅・施設群を目的変数,各項目を説明変数としロジスティック回帰分析を実施した.統計処理はRのVer4.3.1を使用し有意水準は5%未満とした.本調査はヘルシンキ宣言に基づき実施した.
【結果】
制限前は88名で男性27名,女性61名,平均年齢83歳,平均在院日数88日,在宅群は58名,施設群は30名.制限後は100名で男性26名,女性74名,平均年齢80歳,平均在院日数79日,在宅群は67名,施設群は33名.χ2検定の結果(p>0.05)で有意な差はみられなかった.ロジスティック回帰分析を行った結果,制限前では,退院時FIM(OR:1.08・95%CI:1.04−1.11, p<0.05),介護1(OR:12.4・95%CI:1.96−77.7, p<0.05)・介護2(OR:8.4・95%IC:1.75−40.3, p<0.05)と影響がみられ,制限後では退院時FIM(OR:1.07・95%CI:1.03−1.1, p<0.05),生活自立度:自立(OR:0.184・95%CI:0.042−0.794, p<0.05)と影響がみられた.
【考察】
回リハ病棟から在宅へ退院する患者の因子としてFIMの点数,認知機能との関連性が強いとの先行研究が散見され今回の調査からも同様の結果がみられる.当院では制限後で家屋調査等の外出,家族への直接的な動作指導等をICTで実施した.制限後では平均年齢はやや若い傾向で,在宅へ退院される患者はやや増加傾向となっており,在院日数も短縮されている.要因としては,ICTで代用することで入院初期より在宅の環境,入院前の生活状況を把握することができ,マネジメントを行いやすく退院支援が円滑に行えたことが考えられる.また,病院へ来院できない家族等に対してもICTを活用した介入の有用性は高いと考える.しかし,ICTの利用が困難な方,独居等で在宅の環境がわかりにくい患者に対しては家屋調査や外出練習等の在宅での状態確認が必要と考える.現在,家屋調査等の外出練習の制限緩和となっているため,ICTと外出練習をその方に合わせて実施することでよりよい退院支援となり,在宅復帰率向上,退院後の安心した生活が送れるのではと考える.