第58回日本作業療法学会

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ポスター

援助機器

[PL-2] ポスター:援助機器 2 

2024年11月9日(土) 16:30 〜 17:30 ポスター会場 (大ホール)

[PL-2-1] 日本初!?片手でも髪を結べる簡単な自助具ができた!

門田 良子, 村田 耕一, 鮫島 悠子, 浜田 香穂麗 (公益財団法人慈愛会 今村総合病院 リハビリテーション部)

【はじめに】
脳血管疾患を発症して片麻痺を呈した対象者に対して,日常生活活動の介助量軽減および自立を目指して関わるが,片手での遂行が困難で自立に至らない活動もある.その中に髪を結ぶという行為がある.髪を結ぶためには,髪をひとつにまとめる,まとめた髪を片手で固定し続けて対側の手でゴム等で結ぶという,通常は両手で操作をする行為であるため,片手での遂行は困難を極める.これまで髪が結べないとの訴えに対して,自分で櫛を通し身なりを整えることができれば良しとし,髪を結ぶことは介助してきた.しかし「自分で髪が結べなくて困っている.人に頼むのは申し訳ない.」との声はしばしば聞かれる.そこでインターネットやSNS等を利用して片手で髪を結ぶ方法を検索したが,複雑な道具が必要であったり,不自由な身体では遂行困難な方法であったりと身の周りのことを何とかこなしている状況の対象者に勧めるには難点があった.片手で髪を結ぶためには自助具を使用する必要があると考え,試行錯誤の末,片手でも髪を結べる簡単な自助具を考案したため報告する.
【自助具の構造】
左右の側頭部部分に磁石を仕込んだヘアバンドを頭部に装着し,ヘアバンドを引き上げていくと左右の磁石が引きあい吸着して髪をひとつにまとめるという仕組みになっている.通常のヘアバンドは両手で引き延ばしながら頭部に装着する物であるため,片手でもヘアバンドを装着しやすくするために,対象者の頭囲に合わせて周径を延長した.また,薄く大きめの円形ネオジム磁石を使用することで,簡単に引力が発生し吸着する力を利用している.この自助具は肩下程度の髪の長さがあれば使用可能である.
【使用方法】
ヘアバンドを頭部に装着し髪を整える.プラスチック製ヘアクリップを後頭部に横方向に挟みヘアバンドから髪がずれていくことを防ぐ.頭頂部の磁石を把持し引き上げながらヘアバンドを手繰ると,髪の毛が中央にまとめられ左右の側頭部の磁石が吸着する.ヘアクリップを取り外し,頭頂部の磁石をヘアバンドでまとめられた髪の下を通し側頭部の磁石に吸着させる.髪を整えたら結髪完了である.
【作製方法】
材料は市販の布製ヘアバンド,延長分の布,ネオジム磁石23mm2個,13mm1個.すべて100均で購入可能である.作り方を説明する.ヘアバンドが頭囲周径となるように,ヘアバンドの本体とゴム部分を分解し布を継ぎ足す.ヘアバンド本体とゴムの境目の左右にS極とN極が引き合う面を内側にして23mm磁石を縫い付ける.ヘアバンド本体とゴム部分を繋ぎ合わせる.ヘアバンドを2つ折りにした中央部分に13mm磁石を縫い付けて完成となる.
【まとめ】
通常両手での操作が必要な髪を結ぶという行為を片手で遂行できる自助具を考案した.使用方法を理解し数回練習することで使用可能となる.自分で髪を結びたいと希望する対象者のために,身近な材料で簡単に作成できる自助具ができた.