[PN-1-1] 訪問リハビリにおける利用者のADL自立度と意味のある作業の選択傾向の調査
【はじめに】訪問リハビリは活動・参加に係る働きかけが重要だが,先行報告では身体機能に偏ったリハビリテーションが実施されているケースが多いとされており(厚生労働省 2016年),利用者のニーズを引き出すことに苦慮しているスタッフが少なくないと考える.作業療法では対象者にとって意味のある作業を引き出し,合意目標を設定するため目標設定支援ツール(以下,ADOC)を使用する場面がある.ADOCを使用した目標設定を行い,可否別に割合を算出し比較した報告(石川ら 2018年)などは見受けられるが,対象者の属性によってどのような作業項目を選択する傾向にあるか,また,対象者のADL自立度との関りがあるのかを明らかにした報告は少ない.そこで当ステーションの利用者に対してADOCを使用し意味のある作業を選択してもらい,ADL自立度と関連があるのかを明らかにすることとした.
<倫理的配慮>今回の調査と報告にあたり,対象者と当院の倫理委員会の承認を得ている.
【対象と方法】当ステーションの訪問リハビリを利用される46名を対象者とした.重度の認知症や高次脳機能障害を有する者,調査に対して同意が得られない者,中途終了者は除外とした.ADOCを使用し,利用者にとって重要だと思う作業を最大5個まで選択していただく.作業項目をADOC上の8つのカテゴリ(セルフケア,移動・運動,家庭生活,仕事・学習,対人交流,社会活動,スポーツ,趣味)に分けて集計する.ADL自立度はBarthel Index(以下,BI)の結果を使用.BI:85点以上を自立群,BI:80点以下を介助群の2群に分け各カテゴリの作業の選択割合を集計した.
【結果】対象者のうち30名に対し調査を行った.対象の概要は,男性:13名,女性:17名,年代:50代~90代,介護度:要介護1~要介護5,自立群9名,介助群21名.
自立群と介助群に分けて集計した結果,自立群では家庭生活:21%,趣味:28%などIADLに関する割合が高い傾向にあった.介助群ではセルフケア:16%,移動・運動:36%などADLに関する割合が高い傾向にあった.介助群の移動・運動の詳細な選択項目として基本動作や移乗などの選択数が多かった.
【考察】今回の調査の結果から利用者にとって意味のある作業の選択にADL自立度が影響を与えていることが推測される.自立群では家庭生活と趣味のカテゴリの割合が約半数を占めていた.訪問リハビリは病棟リハビリと比較し,訪問頻度や介入時間が少ないことが多い.そのため目標設定や治療計画を検討する上で,作業の獲得を目指すトップダウンアプローチの意識がより求められると考える.一方で,介助群ではセルフケアと移動・運動のカテゴリの割合が約半数を占めており,基本動作や移乗などの選択数が多かったことから,機能改善に向けたボトムアップアプローチの視点も必要ではないかと考える.利用者の希望や訪問リハビリに対して求めていること,利用者の状態も異なるが,全ての利用者で意味のある作業とADL自立度を考慮した目標設定とアプローチ方法を検討することで,活動・参加に繋がっていくのではないかと考える.
今回ADOCを使用した調査を行う中で,詳細な作業項目の中から利用者が自由に選択でき,会話だけでは引き出せなかった作業もあった.利用者のニーズを引き出すためADOCの活用を積極的に進めていくと共に,在宅の現場では様々なサービスを利用しながら生活されている利用者も多いため,他職種への情報提供も積極的に行っていきたいと考える.
<倫理的配慮>今回の調査と報告にあたり,対象者と当院の倫理委員会の承認を得ている.
【対象と方法】当ステーションの訪問リハビリを利用される46名を対象者とした.重度の認知症や高次脳機能障害を有する者,調査に対して同意が得られない者,中途終了者は除外とした.ADOCを使用し,利用者にとって重要だと思う作業を最大5個まで選択していただく.作業項目をADOC上の8つのカテゴリ(セルフケア,移動・運動,家庭生活,仕事・学習,対人交流,社会活動,スポーツ,趣味)に分けて集計する.ADL自立度はBarthel Index(以下,BI)の結果を使用.BI:85点以上を自立群,BI:80点以下を介助群の2群に分け各カテゴリの作業の選択割合を集計した.
【結果】対象者のうち30名に対し調査を行った.対象の概要は,男性:13名,女性:17名,年代:50代~90代,介護度:要介護1~要介護5,自立群9名,介助群21名.
自立群と介助群に分けて集計した結果,自立群では家庭生活:21%,趣味:28%などIADLに関する割合が高い傾向にあった.介助群ではセルフケア:16%,移動・運動:36%などADLに関する割合が高い傾向にあった.介助群の移動・運動の詳細な選択項目として基本動作や移乗などの選択数が多かった.
【考察】今回の調査の結果から利用者にとって意味のある作業の選択にADL自立度が影響を与えていることが推測される.自立群では家庭生活と趣味のカテゴリの割合が約半数を占めていた.訪問リハビリは病棟リハビリと比較し,訪問頻度や介入時間が少ないことが多い.そのため目標設定や治療計画を検討する上で,作業の獲得を目指すトップダウンアプローチの意識がより求められると考える.一方で,介助群ではセルフケアと移動・運動のカテゴリの割合が約半数を占めており,基本動作や移乗などの選択数が多かったことから,機能改善に向けたボトムアップアプローチの視点も必要ではないかと考える.利用者の希望や訪問リハビリに対して求めていること,利用者の状態も異なるが,全ての利用者で意味のある作業とADL自立度を考慮した目標設定とアプローチ方法を検討することで,活動・参加に繋がっていくのではないかと考える.
今回ADOCを使用した調査を行う中で,詳細な作業項目の中から利用者が自由に選択でき,会話だけでは引き出せなかった作業もあった.利用者のニーズを引き出すためADOCの活用を積極的に進めていくと共に,在宅の現場では様々なサービスを利用しながら生活されている利用者も多いため,他職種への情報提供も積極的に行っていきたいと考える.