[PN-2-6] 通所型サービスCにおける活動量増加と自立支援を目的としたセルフマネジメント支援:3事例の実践報告
【はじめに】通所型サービスC(通所C)は日常生活活動等に困難さがある地域在住高齢者が住み慣れた地域で自立した生活を継続することを目的に,リハビリテーション専門職が3ヶ月を基本として集中的な支援を行うサービスである.演者らは通所Cにおいて利用者が主体的な目標設定と課題解決を通して活動を習慣化することを目的としたセルフマネジメント支援を行っている.今回,セルフマネジメント支援を経て介護サービス卒業に至った3事例を報告する.
【方法】対象は通所Cにおいてセルフマネジメント支援を受けた者のうち,1回2時間/週,全12回の全てに参加し,本報告に同意が得られた3例(事例A-C)である.セルフマネジメント支援では初回に終了後の目標を設定し,その目標に向けてセルフマネジメントシート(以下,SMS)を用いた対話を行った.SMSには一週間の生活や提案した宿題の取り組みを記録するよう依頼した.対話では自身の生活を振り返りながら,活動量を高めることの重要性を共有し,運動や家事の機会,外出機会が増えたなどの客観的な変化を認識できるように働きかけた.そして,活動量の改善が目標達成につながるという成功体験を通じてさらなる活動増加の動機づけを行った.身体機能評価として初回と第10週にTimed Up&Go test(以下,TUG)と5回立ち座りテスト(以下,SS5)を行なった.
【症例紹介】事例A,87歳男性,要支援1.テレビを見て過ごすことが多く,長距離歩行の困難さと歩行速度の低下があった.初回TUGは28.1秒,SS5は28.0秒であり,目標は「近所のスーパーまで妻と同じ速度で歩いて買い物に行けるようになる」となった.事例B,80歳女性,要支援1.週に2回洋服直しの仕事に自動車で出かける以外は座って過ごすことが多かった.初回TUGは8.6秒,SS5は10.0秒であり,目標は「以前のように20分歩いて仕事場に行く」となった.事例C,80歳女性,要支援1.右脛骨高原骨折により入院治療を受け,退院後は外出の機会が減っていた.初回TUGは9.3秒,SS5は12.2秒であったが,右下肢の筋力低下と歩行時のふらつきを認めた.目標は「30分以上歩けるようになる」となった.
【結果】事例Aは日中に掃除や買い物などの家事を行い,夜に散歩を行う生活習慣が定着し,旅行やカラオケに出かけるといった活動がみられた.最終TUGは8.49秒,SS5は13.35秒であった.700mの屋外歩行が14分42秒から9分57秒と歩行速度が大幅に向上したことで妻と買い物に行けるようになり目標達成した.事例Bは支援を通して運動を継続することの必要性を自覚され,自ら“一日6,000歩の歩行を目指す”とSMSに記載する様子がみられた.自宅から1km先のショッピングモールまで外出する機会が増加し,移動時間や歩数を記録する習慣が定着した.最終TUGは7.2秒,SS5は8.2秒であった.仕事場まで歩いて行くことが可能となり,頻度は週5日となり目標達成した.事例Cは買い物や墓参りでの外出,植木の手入れなどの活動が確認された.最終TUGは7.8秒,SS5は11.1秒であり,歩行時のふらつきも軽減した.“運動をするようになってふらつきが良くなった”と自覚が得られ,外出機会がさらに増加し,目標達成した.
【考察】本報告では3事例を対象に通所Cとしてセルフマネジメント支援を行なった結果,介護サービス卒業に至った.この結果は活動量の低下がみられる事例に対してセルフマネジメント支援が有効である可能性を示唆している.今後は活動量の変化を経時的かつ客観的に可視化し,セルフマネジメント支援の関与のポイントと効果,および終了後の持続効果を検証することが課題と考える.
【方法】対象は通所Cにおいてセルフマネジメント支援を受けた者のうち,1回2時間/週,全12回の全てに参加し,本報告に同意が得られた3例(事例A-C)である.セルフマネジメント支援では初回に終了後の目標を設定し,その目標に向けてセルフマネジメントシート(以下,SMS)を用いた対話を行った.SMSには一週間の生活や提案した宿題の取り組みを記録するよう依頼した.対話では自身の生活を振り返りながら,活動量を高めることの重要性を共有し,運動や家事の機会,外出機会が増えたなどの客観的な変化を認識できるように働きかけた.そして,活動量の改善が目標達成につながるという成功体験を通じてさらなる活動増加の動機づけを行った.身体機能評価として初回と第10週にTimed Up&Go test(以下,TUG)と5回立ち座りテスト(以下,SS5)を行なった.
【症例紹介】事例A,87歳男性,要支援1.テレビを見て過ごすことが多く,長距離歩行の困難さと歩行速度の低下があった.初回TUGは28.1秒,SS5は28.0秒であり,目標は「近所のスーパーまで妻と同じ速度で歩いて買い物に行けるようになる」となった.事例B,80歳女性,要支援1.週に2回洋服直しの仕事に自動車で出かける以外は座って過ごすことが多かった.初回TUGは8.6秒,SS5は10.0秒であり,目標は「以前のように20分歩いて仕事場に行く」となった.事例C,80歳女性,要支援1.右脛骨高原骨折により入院治療を受け,退院後は外出の機会が減っていた.初回TUGは9.3秒,SS5は12.2秒であったが,右下肢の筋力低下と歩行時のふらつきを認めた.目標は「30分以上歩けるようになる」となった.
【結果】事例Aは日中に掃除や買い物などの家事を行い,夜に散歩を行う生活習慣が定着し,旅行やカラオケに出かけるといった活動がみられた.最終TUGは8.49秒,SS5は13.35秒であった.700mの屋外歩行が14分42秒から9分57秒と歩行速度が大幅に向上したことで妻と買い物に行けるようになり目標達成した.事例Bは支援を通して運動を継続することの必要性を自覚され,自ら“一日6,000歩の歩行を目指す”とSMSに記載する様子がみられた.自宅から1km先のショッピングモールまで外出する機会が増加し,移動時間や歩数を記録する習慣が定着した.最終TUGは7.2秒,SS5は8.2秒であった.仕事場まで歩いて行くことが可能となり,頻度は週5日となり目標達成した.事例Cは買い物や墓参りでの外出,植木の手入れなどの活動が確認された.最終TUGは7.8秒,SS5は11.1秒であり,歩行時のふらつきも軽減した.“運動をするようになってふらつきが良くなった”と自覚が得られ,外出機会がさらに増加し,目標達成した.
【考察】本報告では3事例を対象に通所Cとしてセルフマネジメント支援を行なった結果,介護サービス卒業に至った.この結果は活動量の低下がみられる事例に対してセルフマネジメント支援が有効である可能性を示唆している.今後は活動量の変化を経時的かつ客観的に可視化し,セルフマネジメント支援の関与のポイントと効果,および終了後の持続効果を検証することが課題と考える.