[PN-2-7] 自分らしい作業に焦点を当てた介護予防活動
ラシーサカードを用いた地域支援
【はじめに】2023年6月に成立した認知症基本法は認知症の人を含めた国民一人一人がその個性と能力を十分に発揮し,相互に人格と個性を尊重しつつ支え合いながら共生する活力ある社会の実現を推進することを目的としている.我々作業療法士(以下OT)も地域や介護予防領域での支援として認知症を予防するという視点だけでなく,どのような状態になっても自分らしく過ごせるための支援が重要だと考える.しかし実際,地域の介護予防教室や通いの場では集団で体操等をすることが多く,個性を尊重する,つまり自分らしさへの支援は少ないと感じる.徳島県作業療法士会(以下県士会)では2018年にお互いの自分らしい作業を語り,仲間で理解し合うことを促進するレクリエーションカード「ラシーサカード」を開発し,県内の市町村に普及を図る活動を実施してきた.その活動状況および今後の展望について報告する.なお,本報告は該当地域に報告の趣旨を説明し同意を得ている.
【ラシーサカードの概要】ラシーサカードとは当県士会が独自で考案,開発した介護予防にまつわるレクリエーションカードである.このカードは専門職以外でも使用でき,体操(運動)だけに焦点を当てた従来の介護予防活動とは異なり,体操や頭の体操はもちろんコミュニケーションや自分らしい作業の発見などにも焦点を当てたものである.一般人が使用しやすいようにマニュアルも作成している.実施方法としては8人程度のグループ形式で行い,すごろく方式,神経衰弱方式等の自由なカードの選択方法を決めてもらい,引いたカードのお題に全員で答えるというものである.
【活動状況】2018年に開発以降,県内の市町村にラシーサカードのチラシを配布し,問い合わせのあった地域へ普及に向けて研修会,体験会を実施.地域全域の交流会やシルバー大学,サロン等問い合わせのあった地域イベントでも積極的に実施した.体験会を開催したサロンにはマニュアルデータを提供し,その後は住民主体で実施.同時に県内のOTにも研修会を実施し,研修を受けたOTのみにサロンでの講師を依頼する.コロナ禍の影響で活動が一時休止する時期を経て,2023年現在,県内の5つの市町村から問い合わせがあり順次,講師を各サロンへ派遣している.講師を派遣したサロンや交流会は現時点で県内24カ所であり,新規の講師依頼は継続中である.
【まとめ】カードに記されたお題に沿って発言するため,普段の会話だけでは引き出しきれない内容も誰でも簡単に引き出せるため,対人交流の促進に有効なツールである.ラシーサカードを使用して,他の参加者のその人らしさを知り,さらに参加者自身の自分らしい作業を他の参加者に話すことで,対人交流の促進に繋がる.その中で共通点が見つかり,新たな仲間を作ることに繋がれば新たな社会参加へ繋がる糸口となりうると考える.ラシーサカードは自分らしい作業を引き出す支援に加え,対人交流を促進し新たな社会参加への支援にも繋がりうる介護予防に貢献できる活動であると考える.
【今後の展望】地域住民の中には体操や運動をすることだけが介護予防になると考える方が少なくない.個性を尊重しつつ支え合いながら共生する活力ある社会を目指すには,お互いの自分らしい作業を語り仲間で理解し合うことの大切さをこの活動を通して地域住民に伝えていきたい.また,今後は全国の介護予防の現場や,介護予防の領域に留まらず,児童や一般,高齢者全ての世代が相互交流を図ることができる社会的なコミュニケーションツールへと発展させたいと考える.
【ラシーサカードの概要】ラシーサカードとは当県士会が独自で考案,開発した介護予防にまつわるレクリエーションカードである.このカードは専門職以外でも使用でき,体操(運動)だけに焦点を当てた従来の介護予防活動とは異なり,体操や頭の体操はもちろんコミュニケーションや自分らしい作業の発見などにも焦点を当てたものである.一般人が使用しやすいようにマニュアルも作成している.実施方法としては8人程度のグループ形式で行い,すごろく方式,神経衰弱方式等の自由なカードの選択方法を決めてもらい,引いたカードのお題に全員で答えるというものである.
【活動状況】2018年に開発以降,県内の市町村にラシーサカードのチラシを配布し,問い合わせのあった地域へ普及に向けて研修会,体験会を実施.地域全域の交流会やシルバー大学,サロン等問い合わせのあった地域イベントでも積極的に実施した.体験会を開催したサロンにはマニュアルデータを提供し,その後は住民主体で実施.同時に県内のOTにも研修会を実施し,研修を受けたOTのみにサロンでの講師を依頼する.コロナ禍の影響で活動が一時休止する時期を経て,2023年現在,県内の5つの市町村から問い合わせがあり順次,講師を各サロンへ派遣している.講師を派遣したサロンや交流会は現時点で県内24カ所であり,新規の講師依頼は継続中である.
【まとめ】カードに記されたお題に沿って発言するため,普段の会話だけでは引き出しきれない内容も誰でも簡単に引き出せるため,対人交流の促進に有効なツールである.ラシーサカードを使用して,他の参加者のその人らしさを知り,さらに参加者自身の自分らしい作業を他の参加者に話すことで,対人交流の促進に繋がる.その中で共通点が見つかり,新たな仲間を作ることに繋がれば新たな社会参加へ繋がる糸口となりうると考える.ラシーサカードは自分らしい作業を引き出す支援に加え,対人交流を促進し新たな社会参加への支援にも繋がりうる介護予防に貢献できる活動であると考える.
【今後の展望】地域住民の中には体操や運動をすることだけが介護予防になると考える方が少なくない.個性を尊重しつつ支え合いながら共生する活力ある社会を目指すには,お互いの自分らしい作業を語り仲間で理解し合うことの大切さをこの活動を通して地域住民に伝えていきたい.また,今後は全国の介護予防の現場や,介護予防の領域に留まらず,児童や一般,高齢者全ての世代が相互交流を図ることができる社会的なコミュニケーションツールへと発展させたいと考える.