[PN-2-9] 通所リハにおける活動・参加に向けた目標設定に至る要因について
はじめに
訪問・通所リハでは機能訓練が明確な目標なしに実施されていることが指摘され, 活動・参加に向けたリハ実施が求められている.しかし, 現在通所リハにおいて作業療法士が活動・参加に向けた目標をどのように設定し支援を開始するのか, その詳細については明らかになっていない.
目的
本研究の目的は, 報告された作業療法実践事例のレビューを通して,通所リハにおける活動・参加へ向けたリハ目標がどのような理由で設定されたのかを明らかにすることとした.
方法
検索データベースは,医中誌web, OT協会事例報告システムを使用した.登録年は2018年~2023年, 検索語は医中誌webでは[通所リハビリテーション]or[通所リハ]or[デイケア]and[作業療法]とし,OT 協会事例報告システムでは[専門分野: 老年期障害, 回復状態: 維持期,年キーワード検索: 通所リハビリテーション]とした. 採択基準は,1.通所リハにおけるOT実践であること, 2.対象者が65歳以上, 3. 症例報告または事例報告であることとした. 除外基準は,1.国外で行われたOT実践, 2.目標設定の理由が読み取れない,3.訓練目標が活動・参加に向けた具体的な内容でないものとした.分析は,目標の設定理由をラベルとして紙片に転記し,類似した内容でグループ編成を行いカテゴリーの分類をした.
結果
検索により得られた文献は2,409件であった.一次スクリーニングでは500件に絞られた. 2次スクリーニングで39件に絞られた. 最終抽出文献は13文献であった. 設定された目標の数は20であった. 目標設定の要因として抽出されたラベルは42であった. 生成されたカテゴリーは4つ, サブカテゴリーは8つとなった. カテゴリー①「価値ある生活行為だと判断」ラベル数16. サブカテゴリーは(1)過去の文脈から重要と判断. (2)本人からの希望で重要と判断.カテゴリー②「達成することで健康的になると判断」ラベル数8. サブカテゴリーは(1)達成することで環境に良い影響を与えると予想(2)達成することで本人に良い影響を与えると予想. カテゴリー③「生活行為の行程分析から妥当と判断」ラベル数6. サブカテゴリー(1)難易度的に妥当である(2)段階づけすることで妥当になる. カテゴリー④「環境要因から判断」ラベル数12. サブカテゴリー(1)家族からの情報(2)環境的にする必要がある.
考察
小池らは, 入院中のクライエントに対する目標設定の特徴としてADL・IADL活動の獲得といった自宅復帰のために必要な遂行能力獲得に焦点があてられる傾向があると述べている. 今回の研究では, クライエントに対する目標設定の特徴が「価値ある生活行為だと判断」の数が最多となった. 2番目は「環境要因から判断」となっており,先行研究にある目標設定の特徴とは異なる結果となっている. これは, 本研究対象者が入院中ではなく退院後の地域生活をしているクライエントであったため, 生活の復帰ではなく生活の質を向上させることに焦点があてられる傾向にあった事に起因すると推測する.
まとめ
今回, 通所リハにおける活動・参加に焦点をあてたOT実践の目標設定の要因について文献レビューを実施した. 結果, 通所リハの活動・参加に向けた目標設定の特徴としてクライエントの価値や環境的要因を元に目標設定をしている傾向にあった.
訪問・通所リハでは機能訓練が明確な目標なしに実施されていることが指摘され, 活動・参加に向けたリハ実施が求められている.しかし, 現在通所リハにおいて作業療法士が活動・参加に向けた目標をどのように設定し支援を開始するのか, その詳細については明らかになっていない.
目的
本研究の目的は, 報告された作業療法実践事例のレビューを通して,通所リハにおける活動・参加へ向けたリハ目標がどのような理由で設定されたのかを明らかにすることとした.
方法
検索データベースは,医中誌web, OT協会事例報告システムを使用した.登録年は2018年~2023年, 検索語は医中誌webでは[通所リハビリテーション]or[通所リハ]or[デイケア]and[作業療法]とし,OT 協会事例報告システムでは[専門分野: 老年期障害, 回復状態: 維持期,年キーワード検索: 通所リハビリテーション]とした. 採択基準は,1.通所リハにおけるOT実践であること, 2.対象者が65歳以上, 3. 症例報告または事例報告であることとした. 除外基準は,1.国外で行われたOT実践, 2.目標設定の理由が読み取れない,3.訓練目標が活動・参加に向けた具体的な内容でないものとした.分析は,目標の設定理由をラベルとして紙片に転記し,類似した内容でグループ編成を行いカテゴリーの分類をした.
結果
検索により得られた文献は2,409件であった.一次スクリーニングでは500件に絞られた. 2次スクリーニングで39件に絞られた. 最終抽出文献は13文献であった. 設定された目標の数は20であった. 目標設定の要因として抽出されたラベルは42であった. 生成されたカテゴリーは4つ, サブカテゴリーは8つとなった. カテゴリー①「価値ある生活行為だと判断」ラベル数16. サブカテゴリーは(1)過去の文脈から重要と判断. (2)本人からの希望で重要と判断.カテゴリー②「達成することで健康的になると判断」ラベル数8. サブカテゴリーは(1)達成することで環境に良い影響を与えると予想(2)達成することで本人に良い影響を与えると予想. カテゴリー③「生活行為の行程分析から妥当と判断」ラベル数6. サブカテゴリー(1)難易度的に妥当である(2)段階づけすることで妥当になる. カテゴリー④「環境要因から判断」ラベル数12. サブカテゴリー(1)家族からの情報(2)環境的にする必要がある.
考察
小池らは, 入院中のクライエントに対する目標設定の特徴としてADL・IADL活動の獲得といった自宅復帰のために必要な遂行能力獲得に焦点があてられる傾向があると述べている. 今回の研究では, クライエントに対する目標設定の特徴が「価値ある生活行為だと判断」の数が最多となった. 2番目は「環境要因から判断」となっており,先行研究にある目標設定の特徴とは異なる結果となっている. これは, 本研究対象者が入院中ではなく退院後の地域生活をしているクライエントであったため, 生活の復帰ではなく生活の質を向上させることに焦点があてられる傾向にあった事に起因すると推測する.
まとめ
今回, 通所リハにおける活動・参加に焦点をあてたOT実践の目標設定の要因について文献レビューを実施した. 結果, 通所リハの活動・参加に向けた目標設定の特徴としてクライエントの価値や環境的要因を元に目標設定をしている傾向にあった.