[PN-4-4] 介護予防を目的としたプログラムにおける介護予防手帳活用の効果の検証に関する研究
【序論】少子高齢化の影響で社会保障費が増えているという課題に対して地域包括ケアシステムの構築が推進されている.地域包括ケアシステムに介護予防が位置づけられ,2014年の介護保険法改正で新たな介護予防・日常生活支援総合事業が創設された.介護予防には,活動的で生きがいを持てる生活を営むことを目指しているが,活動の継続といった課題がある.自己効力感を強化することが活動の継続につながることが報告されており,市町村等で使用されている介護予防手帳に自己効力感を強化する要素を含め,介護予防プログラムに活用することの効果を示すことの必要性を考えた.介護予防プログラムに自己効力感の要素を含めた介護予防手帳活用の効果を示すことは,新たな総合事業への関与において有意義であり,長期的な活動継続につながる可能性といった意義もある.本研究は,介護予防を目的としたプログラムにおける介護予防手帳活用の効果を検証することを目的とした.
【方法】対象者の自己効力感および健康関連QOL,身体機能へもたらす効果の検証を実施した.本研究は茨城県立医療大学(令和4年8月1日承認,受付番号1048)の倫理審査委員会の承認を得た.本研究の対象を阿見町の介護予防普及啓発事業および九十九里町の通所型サービスCモデル事業へ参加し,研究協力の同意が得られた者とし,対照群,介入群A,介入群Bの3群で効果を検証した.対照群は介護予防手帳を活用しないプログラム,介入群Aは介護予防手帳を活用したプログラム,介入群Bは介護予防手帳を軸としたプログラムである.市町村等で使用されている介護予防手帳にある自己効力感の要素を強化し,不足している代理体験を含めた介護予防手帳を用いて,参加者は目標設定し目標達成に向けた取組みを経験し,プログラムの中でポジティブフィードバックを受けることとした.分析データは,基本属性,General Self-Efficacy Scale(GSES),健康関連QOL尺度(SF-8),握力,開眼片足立ち時間,長座体前屈,長座位起立時間,5回椅子立ち上がり時間,Timed up and go(TUG),5m通常歩行時間,5m最大歩行時間,ペグ移動時間とした.性別はχ2検定,年齢およびベースラインデータの比較はKruskal-Wallis検定にて多重比較をDSCF法,介入前後の比較はWilcoxon符号付き順位検定,介入群A・対照群の比較は介入前後の変化量を算出しMann-WhitneyのU検定を行った.
【結果および考察】介護予防手帳を活用,軸とした介入群においてGSES得点が介入前に比べ向上したことから,自己効力感を高める介入として,介護予防手帳を用いることが有効である可能性が示唆された.介護予防手帳を軸とした群においてTimed up and go,5回椅子立ち上がり時間が介入前に比べ向上した結果から,虚弱高齢者に対して運動介入しなくても介護予防手帳を用いた介入により一部の身体機能を高める可能性が考えられた.これらの効果は,目標達成に向けた取組みがプログラム時間以外で実施され,その取組みが身体活動につながったことの影響が考えられた.しかし,身体活動との関連まで明らかにしていないため,目標達成に向けた取組みが身体活動につながったかを明らかにする必要がある.自己効力感を強化することは,行動変容を起こし,生きがい感を持つことが期待できるとされている.身体活動量の検証および自己効力感の効果の持続について検証を進め,介護予防手帳を活用することの有効性を示すことの意義があると考えている.
【方法】対象者の自己効力感および健康関連QOL,身体機能へもたらす効果の検証を実施した.本研究は茨城県立医療大学(令和4年8月1日承認,受付番号1048)の倫理審査委員会の承認を得た.本研究の対象を阿見町の介護予防普及啓発事業および九十九里町の通所型サービスCモデル事業へ参加し,研究協力の同意が得られた者とし,対照群,介入群A,介入群Bの3群で効果を検証した.対照群は介護予防手帳を活用しないプログラム,介入群Aは介護予防手帳を活用したプログラム,介入群Bは介護予防手帳を軸としたプログラムである.市町村等で使用されている介護予防手帳にある自己効力感の要素を強化し,不足している代理体験を含めた介護予防手帳を用いて,参加者は目標設定し目標達成に向けた取組みを経験し,プログラムの中でポジティブフィードバックを受けることとした.分析データは,基本属性,General Self-Efficacy Scale(GSES),健康関連QOL尺度(SF-8),握力,開眼片足立ち時間,長座体前屈,長座位起立時間,5回椅子立ち上がり時間,Timed up and go(TUG),5m通常歩行時間,5m最大歩行時間,ペグ移動時間とした.性別はχ2検定,年齢およびベースラインデータの比較はKruskal-Wallis検定にて多重比較をDSCF法,介入前後の比較はWilcoxon符号付き順位検定,介入群A・対照群の比較は介入前後の変化量を算出しMann-WhitneyのU検定を行った.
【結果および考察】介護予防手帳を活用,軸とした介入群においてGSES得点が介入前に比べ向上したことから,自己効力感を高める介入として,介護予防手帳を用いることが有効である可能性が示唆された.介護予防手帳を軸とした群においてTimed up and go,5回椅子立ち上がり時間が介入前に比べ向上した結果から,虚弱高齢者に対して運動介入しなくても介護予防手帳を用いた介入により一部の身体機能を高める可能性が考えられた.これらの効果は,目標達成に向けた取組みがプログラム時間以外で実施され,その取組みが身体活動につながったことの影響が考えられた.しかし,身体活動との関連まで明らかにしていないため,目標達成に向けた取組みが身体活動につながったかを明らかにする必要がある.自己効力感を強化することは,行動変容を起こし,生きがい感を持つことが期待できるとされている.身体活動量の検証および自己効力感の効果の持続について検証を進め,介護予防手帳を活用することの有効性を示すことの意義があると考えている.