[PN-4-9] 医療機関における限界を理解した就労支援の考察
支援機関連携モデルを通じて
【はじめに】
当院では脳卒中後の患者を対象に医療機関で就労支援に取り組んでおり,復職・就職後の定着支援も行っている.定着支援を通して医療機関での限界や就労支援機関との連携が重要であることを学んだ.定着支援の医療機関での役割について考察を加えて報告する.なお,対象者に同意を得ている.
【方法】
定着支援の介入方法としては外来リハビリにて実施.定期受診日に合わせ1ヶ月~2ヶ月に1度の頻度で行った.支援の内容としては①患者と作業療法士(以下OT)で行う場合②患者と就労支援機関支援員(以下支援員)・OTで行う場合の2パターンで実施している.①②ともに医療機関で行うような機能訓練や机上訓練といった職業訓練などは実施せずに,面談形式で実施している.患者から職場での悩みごとや現状確認を行い必要であれば助言や職場との調整を行った.時間は40分(2単位)で行っているケースが多いが必要に応じては60分(3単位)で実施する場合もある.②の場合は就職前の機能回復段階から支援員に介入してもらうケースが多い.
【結果】
支援の中で①のようにOTのみで現状確認を行い定着できる場合もある.しかし,職場で難渋している問題点に対して助言することはできたが解決にいたらないケースが多かった.身体障害と異なり高次脳機能障害などは見えない障害であり障害特性の理解がされにくく,勘違いされ適切な支援や配慮がなく業務を遂行することができず離職してしまうケースもあった.OTが専門的に障害特性の説明や理解や説明を行う必要があったと考える.また,企業や職場の意向や実際の働いている様子や職場環境の把握もできなかった.そこで②のように支援員に同席してもらい,支援員に患者と職場との調整を依頼する形をとることにした.支援員が直接職場へ出向き上司や同僚へ現状確認を行い実際の働いている様子を確認し解決策の提案を行った.その中で障害特性のことでわからない部分はOTが支援員に説明や代償手段の方法を伝え,それを再度支援員が職場へ出向き上司や同僚へ説明など行い支援を行った.結果,支援員が介入することでOTが直接職場に出向くことなく障害特性の説明ができ上司や同僚からも適切な支援や配慮が可能となり問題解決へとつながっていった.
【結語】
支援員の介入により問題解決ができ定着できるケースが増加していった.医療機関だけでは就労支援や定着支援を行っていくには限界がある.診療報酬上,医療機関のOTが職場に出向くことに報酬は発生しないため,職場に出向き直接的に支援を行うには困難なことが多い.就労支援領域では,対象者の状況,職場や訓練の環境,そしてその職場で行われる作業の状態を評価・調整し,対象者の作業遂行が円滑になることを目指していくことである(芳賀ら,2022).支援員のように医療機関のOTが実際に働いている場面で観察し支援することは容易ではない.医療機関では訓練・評価を行い,専門的な障害特性の理解・説明を支援員に行い,支援員に企業や職場へとつないでいってもらうといったお互いの強みを活かして役割分担を行うことで定着支援が可能になっていた.それぞれの制度や資源を理解し強みを活かし,役割分担をしながら支援に取り組んでいくことが重要である.そして,医療機関での役割は専門的な障害特性の理解・説明を行い次の支援員や企業,職場に“つなぐ”ことであると考える.
当院では脳卒中後の患者を対象に医療機関で就労支援に取り組んでおり,復職・就職後の定着支援も行っている.定着支援を通して医療機関での限界や就労支援機関との連携が重要であることを学んだ.定着支援の医療機関での役割について考察を加えて報告する.なお,対象者に同意を得ている.
【方法】
定着支援の介入方法としては外来リハビリにて実施.定期受診日に合わせ1ヶ月~2ヶ月に1度の頻度で行った.支援の内容としては①患者と作業療法士(以下OT)で行う場合②患者と就労支援機関支援員(以下支援員)・OTで行う場合の2パターンで実施している.①②ともに医療機関で行うような機能訓練や机上訓練といった職業訓練などは実施せずに,面談形式で実施している.患者から職場での悩みごとや現状確認を行い必要であれば助言や職場との調整を行った.時間は40分(2単位)で行っているケースが多いが必要に応じては60分(3単位)で実施する場合もある.②の場合は就職前の機能回復段階から支援員に介入してもらうケースが多い.
【結果】
支援の中で①のようにOTのみで現状確認を行い定着できる場合もある.しかし,職場で難渋している問題点に対して助言することはできたが解決にいたらないケースが多かった.身体障害と異なり高次脳機能障害などは見えない障害であり障害特性の理解がされにくく,勘違いされ適切な支援や配慮がなく業務を遂行することができず離職してしまうケースもあった.OTが専門的に障害特性の説明や理解や説明を行う必要があったと考える.また,企業や職場の意向や実際の働いている様子や職場環境の把握もできなかった.そこで②のように支援員に同席してもらい,支援員に患者と職場との調整を依頼する形をとることにした.支援員が直接職場へ出向き上司や同僚へ現状確認を行い実際の働いている様子を確認し解決策の提案を行った.その中で障害特性のことでわからない部分はOTが支援員に説明や代償手段の方法を伝え,それを再度支援員が職場へ出向き上司や同僚へ説明など行い支援を行った.結果,支援員が介入することでOTが直接職場に出向くことなく障害特性の説明ができ上司や同僚からも適切な支援や配慮が可能となり問題解決へとつながっていった.
【結語】
支援員の介入により問題解決ができ定着できるケースが増加していった.医療機関だけでは就労支援や定着支援を行っていくには限界がある.診療報酬上,医療機関のOTが職場に出向くことに報酬は発生しないため,職場に出向き直接的に支援を行うには困難なことが多い.就労支援領域では,対象者の状況,職場や訓練の環境,そしてその職場で行われる作業の状態を評価・調整し,対象者の作業遂行が円滑になることを目指していくことである(芳賀ら,2022).支援員のように医療機関のOTが実際に働いている場面で観察し支援することは容易ではない.医療機関では訓練・評価を行い,専門的な障害特性の理解・説明を支援員に行い,支援員に企業や職場へとつないでいってもらうといったお互いの強みを活かして役割分担を行うことで定着支援が可能になっていた.それぞれの制度や資源を理解し強みを活かし,役割分担をしながら支援に取り組んでいくことが重要である.そして,医療機関での役割は専門的な障害特性の理解・説明を行い次の支援員や企業,職場に“つなぐ”ことであると考える.