[PN-5-3] 就労選択支援や就労アセスメントへの認識に関する調査
【はじめに】2021年に開催された厚生労働省障害者雇用・福祉施策の連携強化に関する検討会において,「就労系障害福祉サービスの利用を希望する障害者の就労能力や適性を客観的に評価し,(中略)障害者本人や障害者を支援する者が十分に把握できておらず,適切なサービス等に繋げられていない」という課題が議論された.このことから,障害者総合支援法において,2024年4月より就労アセスメントの手法を活用した「就労選択支援」が創設されることとなった1).そのような中,2023年12月10日に就労選択支援における支援者の人材育成を考える機会として,厚生労働省就労支援専門官を招き,職業リハビリテーション実践研究サミット(以下,職リハサミット)を開催した.今回,就労選択支援に対する認識やアセスメントへの考えを把握することを目的に参加者へ調査を行った.
【方法】研究対象者は職リハサミットへ参加した支援者及び研究者122名.研究デザインは横断的調査研究とし,職リハサミット終了直後にweb回答の調査を実施.調査結果はKH coderを使用して頻出語,複合語を抽出し,共起ネットワークやクラスター分析を実施して抽出語間の関係性を分析した.本調査は研究報告書や学会報告へ活用することを回答者へ同意を得て実施している.
【結果】頻出の多い抽出語は,支援,就労,スキル,知識,障害,アセスメント,研修,選択など.複合語は,一般就労,可能性,支援者,事業所,相談支援専門員,当サービス,基礎的研修,職業センターなど.抽出後間の関係性では,「就労・支援・スキル・一般・働く」「知識・障害・アセスメント」「研修・対象・専門・理念・環境」「選択・事業・福祉・企業・B・可能性」「地域・ナカポツ・職業センター・能力・把握」という近接状態であった.
【考察】就労選択支援は,専門的な研修を終了した就労支援の経験・知識を有する人材の配置により,就労に関するアセスメントに関し,専門的な支援を受けることを目指している.調査結果の「就労・支援・スキル・一般・働く」や「選択・事業・福祉・企業・B・可能性」からも,対象者の能力を適切に把握することにより,福祉的就労のみならず一般就労への可能性を高めることが期待されているものと考えられる.調査結果の「知識・障害・アセスメント」や「地域・ナカポツ・職業センター・能力・把握」からも,就労に関するアセスメントへの専門的な知識や,対象者の能力を把握する力量が支援者に求めていると考える.能登は,治療や援助を行う際に,その個々の治療・支援プログラムは疾患に応じてあらかじめ決められていたり,担当者が突然思いついたりするものではない.対象者の状態に関する何らかの根拠に基づいて立案されたものでなければならない.根拠をもとに,目標が立てられ,その目標を達成するための個々のプログラムが立案されるべきである,と述べている2).就労選択支援においても,アセスメントを行うための専門的な知識や技能,もとより実施する目的を理解した上で運用されることが求められる.そのためにも,支援従事者を養成する研修の重要性が問われ,また専門職の介入についても期待したい.
参考資料:
1)厚生労働省:就労選択支援に係る報酬・基準について,2023
2)能登真一 他:標準作業療法学 作業療法評価学第3版,医学書院,3-7,2021
付記:厚生労働科学特別研究事業「就労選択支援従業者の養成のための研修における標準プログラムの開発についての研究(23CA2011)」の助成を受けた.
【方法】研究対象者は職リハサミットへ参加した支援者及び研究者122名.研究デザインは横断的調査研究とし,職リハサミット終了直後にweb回答の調査を実施.調査結果はKH coderを使用して頻出語,複合語を抽出し,共起ネットワークやクラスター分析を実施して抽出語間の関係性を分析した.本調査は研究報告書や学会報告へ活用することを回答者へ同意を得て実施している.
【結果】頻出の多い抽出語は,支援,就労,スキル,知識,障害,アセスメント,研修,選択など.複合語は,一般就労,可能性,支援者,事業所,相談支援専門員,当サービス,基礎的研修,職業センターなど.抽出後間の関係性では,「就労・支援・スキル・一般・働く」「知識・障害・アセスメント」「研修・対象・専門・理念・環境」「選択・事業・福祉・企業・B・可能性」「地域・ナカポツ・職業センター・能力・把握」という近接状態であった.
【考察】就労選択支援は,専門的な研修を終了した就労支援の経験・知識を有する人材の配置により,就労に関するアセスメントに関し,専門的な支援を受けることを目指している.調査結果の「就労・支援・スキル・一般・働く」や「選択・事業・福祉・企業・B・可能性」からも,対象者の能力を適切に把握することにより,福祉的就労のみならず一般就労への可能性を高めることが期待されているものと考えられる.調査結果の「知識・障害・アセスメント」や「地域・ナカポツ・職業センター・能力・把握」からも,就労に関するアセスメントへの専門的な知識や,対象者の能力を把握する力量が支援者に求めていると考える.能登は,治療や援助を行う際に,その個々の治療・支援プログラムは疾患に応じてあらかじめ決められていたり,担当者が突然思いついたりするものではない.対象者の状態に関する何らかの根拠に基づいて立案されたものでなければならない.根拠をもとに,目標が立てられ,その目標を達成するための個々のプログラムが立案されるべきである,と述べている2).就労選択支援においても,アセスメントを行うための専門的な知識や技能,もとより実施する目的を理解した上で運用されることが求められる.そのためにも,支援従事者を養成する研修の重要性が問われ,また専門職の介入についても期待したい.
参考資料:
1)厚生労働省:就労選択支援に係る報酬・基準について,2023
2)能登真一 他:標準作業療法学 作業療法評価学第3版,医学書院,3-7,2021
付記:厚生労働科学特別研究事業「就労選択支援従業者の養成のための研修における標準プログラムの開発についての研究(23CA2011)」の助成を受けた.