[PN-5-5] 当院の就労支援の実態調査とシームレスな就労支援に対する取り組み
【はじめに】
日本は高齢化社会を迎え,就労世代の人口が減少している.労働人口の確保や障害者の雇用機会を確保する為の制度として,障害者の法定雇用率があり,2024年4月からは2.5%になり,今後も法定雇用率の引き上げが検討されているため,障害者の就労は重要となる.当院でも65歳以下の患者が多く入院しているが,就労に対する支援は十分ではない.その要因として,先行研究では障害者の新規就労や復職には,平均1年半が必要と言われているが,当院は回復期リハビリテーション病棟(以下,回リハ病棟)であり,入院患者の半数は脳血管疾患である.平均在院日数は72日であり,入院期間中に就労支援を完結させる事が困難.当院では令和3年4月1日〜令和4年3月31日の期間で就労支援に該当する患者は142名,うち当院退院時に復職した患者は83名に対し,新規就労可能だった患者は2名.結果からも入院中だけでなく退院後の支援も含めた地域の事業所連携も不可欠である事が予測された為,新規就労を目指した取り組みを実施した.
【目的】
本研究の目的は,当院退院時における復職・新規就労の実態を調査し,課題を明らかにする事である.また,抽出された課題に対しての取り組みを行い,その効果を検証する事である.
【研究方法】
新規就労に向けた取り組みとして,令和4年4月1日〜令和5年11月30日の期間で,①就労支援相談会「月1回」,②就労支援カンファレンス「月1」,③地域の支援機関による意見交換会「月2」,④就労症例検討会「年間4回」,⑤職場訪問を行った.当院回リハ病棟に入院した65歳以下で就労希望のあった患者229名を対象に,退院時の就労状況の聞き取り調査を実施した.方法は退院時の就労状況については担当者への聞き取り調査を実施.調査内容は,a)復職した,b)新規就労した,c)復職もしくは新規就労ともに出来なかった,d)該当する患者に対して,d-ⅰ)自立支援を利用,d-ⅱ)就労移行支援を利用,d-ⅲ)就労継続支援A型,d-ⅳ)就労継続支援B型,以上7項目で選択した.本研究を実施するにあたり対象者には,研究の趣旨を説明し書面にて同意を得ている.
【結果】
調査結果は, a)対象143名, b)対象10名, c)対象71名, d-ⅰ)対象1名, d-ⅱ)対象4名, d-ⅲ)対象0名, d-ⅳ)対象0名.前回の調査時に課題として抽出された就労移行支援事業所への移行率は0名から4名まで増加した.しかし,母数に対して利用率は0.02%と低く,就労移行支援事業所と合同の取り組みを実施しても就労移行支援に繋げることは難しかった. 就労継続支援への移行に関しては取り組みを実施しても0名であり,回リハ病棟から就労継続支援への移行は繋がりにくい事がわかった. 就労支援に対する取り組みに関しては開始する前は新規・復職を合わせた就労率が58%,就労支援に対する取り組みの結果66%まで向上を認めた.
【考察】
先行研究では,発症後 1年半までの復職率は 46% であり,経時的には発症3カ月前後と1年半前後の二峰性を示すとされている. 当院に入院する脳血管患者が発症から回リハ病棟を退院するまでの平均期間は105日であり,回リハ病棟入院中のみでは就労支援を完結させる事が難しいと考える.そのため,入院中から就労移行支援事業所や職場等と連携を密に行い,加え今回の取り組みを行ったことで,多くの復職や新規就労に繋げる事ができたと考える.特に就労移行支援事業所の協力のもと就労希望の患者を対象に月に1回の相談会を行い,早期から就労支援に向けたアプローチ行えた事がサービス提供の幅を広げられ,復職率をあげる事ができたと考える.今回の結果から,就労支援に関しては1年半から2年を要する事が多く,当院におけるシームレスな就労支援体制の構築は有効であったと考える.
日本は高齢化社会を迎え,就労世代の人口が減少している.労働人口の確保や障害者の雇用機会を確保する為の制度として,障害者の法定雇用率があり,2024年4月からは2.5%になり,今後も法定雇用率の引き上げが検討されているため,障害者の就労は重要となる.当院でも65歳以下の患者が多く入院しているが,就労に対する支援は十分ではない.その要因として,先行研究では障害者の新規就労や復職には,平均1年半が必要と言われているが,当院は回復期リハビリテーション病棟(以下,回リハ病棟)であり,入院患者の半数は脳血管疾患である.平均在院日数は72日であり,入院期間中に就労支援を完結させる事が困難.当院では令和3年4月1日〜令和4年3月31日の期間で就労支援に該当する患者は142名,うち当院退院時に復職した患者は83名に対し,新規就労可能だった患者は2名.結果からも入院中だけでなく退院後の支援も含めた地域の事業所連携も不可欠である事が予測された為,新規就労を目指した取り組みを実施した.
【目的】
本研究の目的は,当院退院時における復職・新規就労の実態を調査し,課題を明らかにする事である.また,抽出された課題に対しての取り組みを行い,その効果を検証する事である.
【研究方法】
新規就労に向けた取り組みとして,令和4年4月1日〜令和5年11月30日の期間で,①就労支援相談会「月1回」,②就労支援カンファレンス「月1」,③地域の支援機関による意見交換会「月2」,④就労症例検討会「年間4回」,⑤職場訪問を行った.当院回リハ病棟に入院した65歳以下で就労希望のあった患者229名を対象に,退院時の就労状況の聞き取り調査を実施した.方法は退院時の就労状況については担当者への聞き取り調査を実施.調査内容は,a)復職した,b)新規就労した,c)復職もしくは新規就労ともに出来なかった,d)該当する患者に対して,d-ⅰ)自立支援を利用,d-ⅱ)就労移行支援を利用,d-ⅲ)就労継続支援A型,d-ⅳ)就労継続支援B型,以上7項目で選択した.本研究を実施するにあたり対象者には,研究の趣旨を説明し書面にて同意を得ている.
【結果】
調査結果は, a)対象143名, b)対象10名, c)対象71名, d-ⅰ)対象1名, d-ⅱ)対象4名, d-ⅲ)対象0名, d-ⅳ)対象0名.前回の調査時に課題として抽出された就労移行支援事業所への移行率は0名から4名まで増加した.しかし,母数に対して利用率は0.02%と低く,就労移行支援事業所と合同の取り組みを実施しても就労移行支援に繋げることは難しかった. 就労継続支援への移行に関しては取り組みを実施しても0名であり,回リハ病棟から就労継続支援への移行は繋がりにくい事がわかった. 就労支援に対する取り組みに関しては開始する前は新規・復職を合わせた就労率が58%,就労支援に対する取り組みの結果66%まで向上を認めた.
【考察】
先行研究では,発症後 1年半までの復職率は 46% であり,経時的には発症3カ月前後と1年半前後の二峰性を示すとされている. 当院に入院する脳血管患者が発症から回リハ病棟を退院するまでの平均期間は105日であり,回リハ病棟入院中のみでは就労支援を完結させる事が難しいと考える.そのため,入院中から就労移行支援事業所や職場等と連携を密に行い,加え今回の取り組みを行ったことで,多くの復職や新規就労に繋げる事ができたと考える.特に就労移行支援事業所の協力のもと就労希望の患者を対象に月に1回の相談会を行い,早期から就労支援に向けたアプローチ行えた事がサービス提供の幅を広げられ,復職率をあげる事ができたと考える.今回の結果から,就労支援に関しては1年半から2年を要する事が多く,当院におけるシームレスな就労支援体制の構築は有効であったと考える.