[PN-6-10] 転倒予防体操開発に参加した作業療法士の活動について
【はじめに】広島県廿日市市は総人口約11万5千人,高齢化率は約31%であり高齢化が進んでいる地域である.廿日市市は2016年から百歳体操の推進活動を行っている.百歳体操は現在80前後(2024年1月時点)の団体が実施している.しかし,百歳体操を長期に実施することで「同じ体操に飽きてきた」「効果が上がらなくなってきた」などの声が参加者から聞かれるようになってきた.百歳体操は高齢者向けの錘を使用した筋力運動が中心の体操であり,バランス等の要素は少ない体操である.その為,廿日市市独自のバランスや転倒予防を目的とした体操を専門職で作成することになった.作業療法士の立場から転倒予防・認知機能低下予防・楽しみ要素のコンセプトにて体操内容を考案し完成に至ったので報告する.
【目的】新たに作成した転倒予防体操を定期的に行うことで体操参加者の転倒予防を促進する.百歳体操集会や健康サロン集会に新たな体操のDVDを配付することで集会の継続や活性化を図る.
【完成までの経過】
≪5月~6月≫体操作成には廿日市市の高齢介護課職員・保健師に加えて協力病院・協力企業の健康運動指導士・システムエンジニア・理学療法士・作業療法士が参加した.
月1~2回の頻度で対面もしくはWEB会議にて体操内容を協議した.体操時の音楽としてリズム感がよく楽しみ要素もあるオクラホマミキサーを使用することが決定した.
≪7月~9月≫転倒予防体操とタオル体操の2種類の体操作成が決定した.
転倒予防体操では姿勢反射反応(立ち直り反応・保護伸展反応・背屈反応・ステッピング反応)を体操に取り入れた.タオル体操では転倒危険場所の啓発として生活場面(浴室・居室・ベランダ)を設定した.また,ADLの洗体動作・更衣動作,IADLの洗濯物干し・拭き掃除の動作を取り入れた.
≪10月≫転倒予防体操とタオル体操(以後,はつはつ体操)が完成し,健康サロン運営者や百歳体操参加者に披露した.
【結果】転倒予防・認知機能低下予防を目的としたはつはつ体操が完成した.
百歳体操集会・健康サロンなどに体操のDVDを配布して啓発を行った.また,広報誌やFMラジオにて完成を住民に広報した.加えて,動画投稿サイトYouTube(https://www.youtube.com/watch?v=2IDsGcD20ik)にも動画を投稿した.
【考察】百歳体操や健康サロンにて実施されていた体操を調査・分析した結果,筋力増強や関節可動域拡大の要素が多く,これらの体操には転倒予防に必要な姿勢反射反応やADLにつながる要素が少ないと考えられた.その為に新たな体操には姿勢反射反応やADLの要素を加える必要があると考えた.転倒予防体操にて下肢のステッピング反応・背屈反応を取り入れたことは,バランスを崩した際の下肢の踏み変え動作につながると考えた.体幹・頸部の立ち直り反応や保護伸展反応を取り入れたことは立位や座位での姿勢の安定性を向上させ転倒予防につながると考えた.タオル体操でのADL・IADLの設定は,自宅内での転倒危険場面の啓発につながると考えた.音楽でオクラホマミキサーを使用したことは,リズム感が良いことでの楽しみ要素が向上することに加えて,高齢者に馴染みがある音楽が学生時代や子育て時代を想起させ認知面の向上につながると考えた.
今回,はつはつ体操を作成したことは間接的ではあるが作業療法士と体操参加者との作業の場であったと考える.『作業によって生まれた場が,その場を利用する一人ひとりにさまざまな心理的作用を引き起こす(山根2015)』とあるように体操に組み込んだ作業療法の要素が今後体操参加者の身体面だけでなく心理面や生活面に変化を起こすのではないかと考える.
【目的】新たに作成した転倒予防体操を定期的に行うことで体操参加者の転倒予防を促進する.百歳体操集会や健康サロン集会に新たな体操のDVDを配付することで集会の継続や活性化を図る.
【完成までの経過】
≪5月~6月≫体操作成には廿日市市の高齢介護課職員・保健師に加えて協力病院・協力企業の健康運動指導士・システムエンジニア・理学療法士・作業療法士が参加した.
月1~2回の頻度で対面もしくはWEB会議にて体操内容を協議した.体操時の音楽としてリズム感がよく楽しみ要素もあるオクラホマミキサーを使用することが決定した.
≪7月~9月≫転倒予防体操とタオル体操の2種類の体操作成が決定した.
転倒予防体操では姿勢反射反応(立ち直り反応・保護伸展反応・背屈反応・ステッピング反応)を体操に取り入れた.タオル体操では転倒危険場所の啓発として生活場面(浴室・居室・ベランダ)を設定した.また,ADLの洗体動作・更衣動作,IADLの洗濯物干し・拭き掃除の動作を取り入れた.
≪10月≫転倒予防体操とタオル体操(以後,はつはつ体操)が完成し,健康サロン運営者や百歳体操参加者に披露した.
【結果】転倒予防・認知機能低下予防を目的としたはつはつ体操が完成した.
百歳体操集会・健康サロンなどに体操のDVDを配布して啓発を行った.また,広報誌やFMラジオにて完成を住民に広報した.加えて,動画投稿サイトYouTube(https://www.youtube.com/watch?v=2IDsGcD20ik)にも動画を投稿した.
【考察】百歳体操や健康サロンにて実施されていた体操を調査・分析した結果,筋力増強や関節可動域拡大の要素が多く,これらの体操には転倒予防に必要な姿勢反射反応やADLにつながる要素が少ないと考えられた.その為に新たな体操には姿勢反射反応やADLの要素を加える必要があると考えた.転倒予防体操にて下肢のステッピング反応・背屈反応を取り入れたことは,バランスを崩した際の下肢の踏み変え動作につながると考えた.体幹・頸部の立ち直り反応や保護伸展反応を取り入れたことは立位や座位での姿勢の安定性を向上させ転倒予防につながると考えた.タオル体操でのADL・IADLの設定は,自宅内での転倒危険場面の啓発につながると考えた.音楽でオクラホマミキサーを使用したことは,リズム感が良いことでの楽しみ要素が向上することに加えて,高齢者に馴染みがある音楽が学生時代や子育て時代を想起させ認知面の向上につながると考えた.
今回,はつはつ体操を作成したことは間接的ではあるが作業療法士と体操参加者との作業の場であったと考える.『作業によって生まれた場が,その場を利用する一人ひとりにさまざまな心理的作用を引き起こす(山根2015)』とあるように体操に組み込んだ作業療法の要素が今後体操参加者の身体面だけでなく心理面や生活面に変化を起こすのではないかと考える.