[PN-7-1] 作業療法理論を応用した中小企業への健康経営支援
【序論】デスクワークが主な業務であるIT企業では,就業時間内に座位姿勢で経過する事が多く,移動を伴う動作のほとんどがトイレ動作や食事の時間が主である.厚生労働省では「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」の成人の推奨事項と具体例で「座位行動(座りっぱなし)の時間が長くなり過ぎないように注意する(立位困難な人も,じっとしている時間が長くなり過ぎないよう,少しでも体を動かす」と提言している.また,2021年京都府立医科大学,日本他施設共同コーホート研究の一環として行われた,「座っている時間と死亡の関係について」では,座っている時間が長いほど死亡リスクが増加している事の報告がある.
【目的】今回弊社ではIT企業の従業員から問題点として挙げられた運動不足を中心に,ソフトウエア開発に影響が出ない仕組みで運動習慣を身に付ける事を目的に介入した.職業病の改善に作業療法が有効であった一例を報告する.なお,学会での発表にあたり企業に同意を得ている.
【方法】弊社の健康経営支援事業に賛同いただいたIT企業の従業員6名(男性5名,女性1名)に対して,アンケート調査を行ない環境調査,フィジカルチェック,ヒアリングを行ない,就業時間内の活動状況や従業員の身体機能の評価を実施した.評価結果を基にワークショップを取り入れ,従業員の認識の統一,目標の共有,実施内容の決定を行ない,就業時間に実践可能で継続可能な取り組みを共創し,モニタリング期間を終了後に再度アンケート調査を行い,取り組み状況を調査した.
【結果】従業員は痛みの自覚はあるが改善に対しての対策は個人に任せている状況であった.アンケート結果などの報告を行ない,痛みの原因が仕事中の姿勢や運動不足が原因で起こっている事を説明する事で,企業として職業病を根本から改善する事の理解に繋がった.従業員のほとんどの業務がパソコンを使用してのソフトウエア開発であるため,定期的に作業を止める事が難しく休憩の取るタイミングが様々であった.そのため,それぞれがトイレに行く時間に目の体操や頸部のストレッチを取り入れるながら運動を行なう事で,パソコン作業での眼精疲労や肩や首周辺のセルフリラクゼーションを導入し,眼精疲労の改善や筋のストレッチ,立位で過ごす時間を拡大し運動時間を獲得する事ができ,精神的なリフレッシュの時間としても活用されている.また,介入前から実施している午前中の就業時間前に実施しているラジオ体操を,フィジカルチェックの結果から身体機能が低下している部分に効果が出る内容へ変更し,午前午後の1日2回の実施に変更した.更に,体操の内容は午前と午後で変更し,負荷量が変わる内容として実施する事で痛みの出現部位の改善が見られた.また,実施結果を可視化できるようにチェックシートを作成し記入し,達成感の充実を図った.
【考察】健康経営支援を導入することで,職業病について認知し,ワークショップでグループワークを実践する事で共有の場を作り,企業で実現可能で継続可能な手段を共創する事が,職業病に対しての取り組みが可能であったと考える.また,チェックシートで実施状況を可視化したことにより,実施した達成感を得られることや,従業員同士で実施状況を共有する事によりお互いにコミュニケーションが生まれ,運動習慣の獲得につながったと考えられる.作業療法は職種ごとの業務を作業分析し,作業環境を改善する事や業務内容を考慮した対応ができるため,企業文化の構築に繋がると考えられ,地域産業で作業療法が活用できると考える.
【目的】今回弊社ではIT企業の従業員から問題点として挙げられた運動不足を中心に,ソフトウエア開発に影響が出ない仕組みで運動習慣を身に付ける事を目的に介入した.職業病の改善に作業療法が有効であった一例を報告する.なお,学会での発表にあたり企業に同意を得ている.
【方法】弊社の健康経営支援事業に賛同いただいたIT企業の従業員6名(男性5名,女性1名)に対して,アンケート調査を行ない環境調査,フィジカルチェック,ヒアリングを行ない,就業時間内の活動状況や従業員の身体機能の評価を実施した.評価結果を基にワークショップを取り入れ,従業員の認識の統一,目標の共有,実施内容の決定を行ない,就業時間に実践可能で継続可能な取り組みを共創し,モニタリング期間を終了後に再度アンケート調査を行い,取り組み状況を調査した.
【結果】従業員は痛みの自覚はあるが改善に対しての対策は個人に任せている状況であった.アンケート結果などの報告を行ない,痛みの原因が仕事中の姿勢や運動不足が原因で起こっている事を説明する事で,企業として職業病を根本から改善する事の理解に繋がった.従業員のほとんどの業務がパソコンを使用してのソフトウエア開発であるため,定期的に作業を止める事が難しく休憩の取るタイミングが様々であった.そのため,それぞれがトイレに行く時間に目の体操や頸部のストレッチを取り入れるながら運動を行なう事で,パソコン作業での眼精疲労や肩や首周辺のセルフリラクゼーションを導入し,眼精疲労の改善や筋のストレッチ,立位で過ごす時間を拡大し運動時間を獲得する事ができ,精神的なリフレッシュの時間としても活用されている.また,介入前から実施している午前中の就業時間前に実施しているラジオ体操を,フィジカルチェックの結果から身体機能が低下している部分に効果が出る内容へ変更し,午前午後の1日2回の実施に変更した.更に,体操の内容は午前と午後で変更し,負荷量が変わる内容として実施する事で痛みの出現部位の改善が見られた.また,実施結果を可視化できるようにチェックシートを作成し記入し,達成感の充実を図った.
【考察】健康経営支援を導入することで,職業病について認知し,ワークショップでグループワークを実践する事で共有の場を作り,企業で実現可能で継続可能な手段を共創する事が,職業病に対しての取り組みが可能であったと考える.また,チェックシートで実施状況を可視化したことにより,実施した達成感を得られることや,従業員同士で実施状況を共有する事によりお互いにコミュニケーションが生まれ,運動習慣の獲得につながったと考えられる.作業療法は職種ごとの業務を作業分析し,作業環境を改善する事や業務内容を考慮した対応ができるため,企業文化の構築に繋がると考えられ,地域産業で作業療法が活用できると考える.