[PN-7-4] 地域の小学生を中心に実施した高齢者福祉や認知症に関する啓発イベントの報告
【はじめに】 現在の日本では,超高齢社会の到来に伴い,行政や介護福祉・医療機関の支援だけでは人手不足が深刻化しており,地域社会の支えが不可欠である.若年層においても高齢者や認知症の方との接点が増える傾向にあり,このような背景から早期からの普及啓発が必要とされている.本報告は,埼玉県本庄市のボランティア団体「ほんじょう寺子屋」において,作業療法士(以下,OT)が小学生を中心に高齢者福祉や認知症に関する啓発イベントを実施し,その成果を報告する.
【活動目的】医療福祉に関する普及啓発を通じ,早期から将来を見据えた視点を養う事や,高齢者や認知症に対する理解や知識を楽しみながら深め,共生社会の実現を目的にイベントを実施した.
【活動報告】ほんじょう寺子屋は学生主体のボランティア団体であり,青少年の育成を目的とした学習支援等を駄菓子屋の一角で実施している.イベントに際し,事前に実施内容の打ち合わせと利用している親に対しメールにて内容の周知を行った.主に小学生を対象としているが,ボランティアとして参加している高校生や大学生に対しても認知症啓発活動と高齢者体験を2度に分け実施した.終了後,参加者に対し心境変化や理解度等を半構造化インタビュー形式で聴取した.また本報告にあたり団体代表より同意を得た.
1.小学生向けの認知症啓発活動では,対象は小学2年生から5年生の11名で,ボランティアには高校生3名と大学生3名が参加.活動として,「認知症や脳の不思議」と題したクイズやリーフレットの配布を行った.また,認知症の方への対応方法をロールプレイを交えて学習した.
2.社会福祉協議会と連携し,高齢者体験を行った.対象は小学2年生から5年生の8名,大学生1名で,肘と膝に可動域制限サポーター,四肢の重錘,視覚遮断ゴーグル,イヤーマフを装着した.学校の授業で行う高齢者体験と異なり,生活場面で高齢者の困難さを想定できるようOTが普段との違い等を質問しながら散策した.
【結果】インタビューより認知症啓発活動では小学生11名,ボランティア2名,高齢者体験では小学生8名から回答が得られた.認知症啓発活動では「楽しく参加できた」「理解が深まった」と12名から回答が得られた.また「大変になりそうな事を考えたり優しく接する方法が分かった」「学校でも認知症の勉強を1度したけど,復習になった」など肯定的な意見が寄せられた.一方で「認知症とか難しそうで,関心を持てなかった」という意見も聞かれた.高齢者体験では高齢者との違いに関して「理解できた」と8名より回答が得られた.「座ると関節が動かず立ち上がれない」「ぼやぼやして靴の履くのが大変」など身体的な違いや,街中を散策した結果「学校の中と違って砂利の上や細かい段差が怖かった」と環境による変化を実感する意見が得られた.終了後,子供達から親に対し活動内容を伝える場面が見受けられ,親からは「私も知らない事を勉強したんだね,後で教えてね」といった親子間での対話も確認された.
【考察】 若年層を対象に認知症啓発や高齢者体験など実践を交え楽しみながら学ぶことで,高齢者や認知症に対する理解を深め,同時に他者の尊重や共感を培うことができると考えられる.将来社会を担う若年層から社会問題や認知症に対する問題意識を自分事として受け止める必要があると考え,反復して学習する機会を設けることにより,今後の認知・行動の変革が期待される.また子供から親世代への波及効果も期待でき,親世代の興味関心の拡大に寄与できると考えられる.これらを実現するためには医療福祉の専門職であるOTが教育機関や地域の取り組みと連携して継続的な啓発活動が必要であり,地域社会の持続可能な発展に寄与が期待される.
【活動目的】医療福祉に関する普及啓発を通じ,早期から将来を見据えた視点を養う事や,高齢者や認知症に対する理解や知識を楽しみながら深め,共生社会の実現を目的にイベントを実施した.
【活動報告】ほんじょう寺子屋は学生主体のボランティア団体であり,青少年の育成を目的とした学習支援等を駄菓子屋の一角で実施している.イベントに際し,事前に実施内容の打ち合わせと利用している親に対しメールにて内容の周知を行った.主に小学生を対象としているが,ボランティアとして参加している高校生や大学生に対しても認知症啓発活動と高齢者体験を2度に分け実施した.終了後,参加者に対し心境変化や理解度等を半構造化インタビュー形式で聴取した.また本報告にあたり団体代表より同意を得た.
1.小学生向けの認知症啓発活動では,対象は小学2年生から5年生の11名で,ボランティアには高校生3名と大学生3名が参加.活動として,「認知症や脳の不思議」と題したクイズやリーフレットの配布を行った.また,認知症の方への対応方法をロールプレイを交えて学習した.
2.社会福祉協議会と連携し,高齢者体験を行った.対象は小学2年生から5年生の8名,大学生1名で,肘と膝に可動域制限サポーター,四肢の重錘,視覚遮断ゴーグル,イヤーマフを装着した.学校の授業で行う高齢者体験と異なり,生活場面で高齢者の困難さを想定できるようOTが普段との違い等を質問しながら散策した.
【結果】インタビューより認知症啓発活動では小学生11名,ボランティア2名,高齢者体験では小学生8名から回答が得られた.認知症啓発活動では「楽しく参加できた」「理解が深まった」と12名から回答が得られた.また「大変になりそうな事を考えたり優しく接する方法が分かった」「学校でも認知症の勉強を1度したけど,復習になった」など肯定的な意見が寄せられた.一方で「認知症とか難しそうで,関心を持てなかった」という意見も聞かれた.高齢者体験では高齢者との違いに関して「理解できた」と8名より回答が得られた.「座ると関節が動かず立ち上がれない」「ぼやぼやして靴の履くのが大変」など身体的な違いや,街中を散策した結果「学校の中と違って砂利の上や細かい段差が怖かった」と環境による変化を実感する意見が得られた.終了後,子供達から親に対し活動内容を伝える場面が見受けられ,親からは「私も知らない事を勉強したんだね,後で教えてね」といった親子間での対話も確認された.
【考察】 若年層を対象に認知症啓発や高齢者体験など実践を交え楽しみながら学ぶことで,高齢者や認知症に対する理解を深め,同時に他者の尊重や共感を培うことができると考えられる.将来社会を担う若年層から社会問題や認知症に対する問題意識を自分事として受け止める必要があると考え,反復して学習する機会を設けることにより,今後の認知・行動の変革が期待される.また子供から親世代への波及効果も期待でき,親世代の興味関心の拡大に寄与できると考えられる.これらを実現するためには医療福祉の専門職であるOTが教育機関や地域の取り組みと連携して継続的な啓発活動が必要であり,地域社会の持続可能な発展に寄与が期待される.