[PN-7-6] 認知症サポーター講座を通しての地域貢献活動の取り組みについて
【はじめに】
厚生労働省は2015年1月に新オレンジプランを策定し,認知症高齢者等にやさしい地域づくりを目指している.その1つの柱が「認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進」であり,認知症サポーターの養成等が盛り込まれている.
近年,様々な大学や専修学校でも地域社会との関係を強化する傾向にある.作業療法士養成校の教員にとっても,地域に貢献しながら取り組みや現状を知る活動(以下,地域貢献活動)を行うことは必要である.当校では地域に根ざした学校づくりを行い地域に貢献できることを目的に,2018年より認知症サポーター講座(以下,認サポ)を中心とした活動を実施している.これまでの取り組みを振り返り,今後の地域貢献活動の継続についての示唆を得ることを目的に報告を行う.今回の発表にあたり施設での同意を得ている.
【これまでの実践内容】
2018年度は教員のキャラバン・メイト取得者は1名で,ボランティア学生の協力のもと認サポを計7回実施した.近隣店舗にちらしの設置を依頼し参加者を募った.また社会福祉協議会(以下,社協)へ2回訪問し,西宮市の現状や今後の方向性を確認した.
2019年度はキャラバン・メイト取得に興味をもつ教員が増加し,取得者が計11名となった.年間計6回の講座を担当制で実施した.社協と顔の見える関係を構築するためには,直接のやりとりに効果があると考え,報告等は全て訪問で実施した.その後,社協からの依頼で企業で2件,自治会で1件の認サポを実施した.キャラバン・メイト新規取得者の講座の見学場所としての活用を社協に提案し,講座の開催に不安がある人の相談等も受け入れることとした.
2020年度は新型コロナウイルス感染症(以下,コロナ)の影響により,外部活動を控える方向性となった.
2021年度はコロナ禍が長引く中で,地域活動のあり方に関して社協と2回会議を設けた.その結果,当校ではオンライン開催を行う方向となった.後半には,徐々に地域貢献活動への制限が緩和され,企業で1件,看護学校で1件の講座を行った.
2022年度は対面の講義を望む声が多く聞かれ,実施の再開を決定し,計4回の講座を行った.社協からの依頼で,中学校で1件,自治会で2件,市役所新人職員の講座を1件実施した.自治会実施の参加者は健康に対する意識が高く,専門職による講義や生活への助言を求める声が多く聞かれた.そのため,新たに自治会での健康教室を3回行った.
2023年度は学校で4回開催し,キャラバン・メイト養成講座の講師やつどい場への定期訪問も行った.また,地域貢献活動で繋がった方が,学生へ授業として取り組み内容を講義する等,より地域との繋がりや関わりの多様化へと広がっている.
【考察】
認サポの活動は地域に貢献できるだけではなく,様々な地域社会との繋がりに発展し多様な地域貢献に繋がることが示唆された.また,学生はボランティア活動を通して,地域住民との関わりや作業療法士の必要性を考える実践的な学びの機会になった.地域で暮らす認知症の高齢者を継続的に支えていくためには,認サポの様に,インフォーマルな活動を継続する必要性は高い.また,参加者の中には具体的な悩みを持つ方も多く,専門職がこの活動に参加し,助言・相談援助を行う重要性があるといえる.作業療法士養成校としても,地域に貢献することは,教員が地域を知る深い学びとなり,授業の広がりにも繋がる.作業療法士が近隣の自治会や地域の集まりの場に定期訪問する環境が広がると,「住み慣れた地域でその人らしく生きる支援」に繋がるのではないかと考える.
厚生労働省は2015年1月に新オレンジプランを策定し,認知症高齢者等にやさしい地域づくりを目指している.その1つの柱が「認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進」であり,認知症サポーターの養成等が盛り込まれている.
近年,様々な大学や専修学校でも地域社会との関係を強化する傾向にある.作業療法士養成校の教員にとっても,地域に貢献しながら取り組みや現状を知る活動(以下,地域貢献活動)を行うことは必要である.当校では地域に根ざした学校づくりを行い地域に貢献できることを目的に,2018年より認知症サポーター講座(以下,認サポ)を中心とした活動を実施している.これまでの取り組みを振り返り,今後の地域貢献活動の継続についての示唆を得ることを目的に報告を行う.今回の発表にあたり施設での同意を得ている.
【これまでの実践内容】
2018年度は教員のキャラバン・メイト取得者は1名で,ボランティア学生の協力のもと認サポを計7回実施した.近隣店舗にちらしの設置を依頼し参加者を募った.また社会福祉協議会(以下,社協)へ2回訪問し,西宮市の現状や今後の方向性を確認した.
2019年度はキャラバン・メイト取得に興味をもつ教員が増加し,取得者が計11名となった.年間計6回の講座を担当制で実施した.社協と顔の見える関係を構築するためには,直接のやりとりに効果があると考え,報告等は全て訪問で実施した.その後,社協からの依頼で企業で2件,自治会で1件の認サポを実施した.キャラバン・メイト新規取得者の講座の見学場所としての活用を社協に提案し,講座の開催に不安がある人の相談等も受け入れることとした.
2020年度は新型コロナウイルス感染症(以下,コロナ)の影響により,外部活動を控える方向性となった.
2021年度はコロナ禍が長引く中で,地域活動のあり方に関して社協と2回会議を設けた.その結果,当校ではオンライン開催を行う方向となった.後半には,徐々に地域貢献活動への制限が緩和され,企業で1件,看護学校で1件の講座を行った.
2022年度は対面の講義を望む声が多く聞かれ,実施の再開を決定し,計4回の講座を行った.社協からの依頼で,中学校で1件,自治会で2件,市役所新人職員の講座を1件実施した.自治会実施の参加者は健康に対する意識が高く,専門職による講義や生活への助言を求める声が多く聞かれた.そのため,新たに自治会での健康教室を3回行った.
2023年度は学校で4回開催し,キャラバン・メイト養成講座の講師やつどい場への定期訪問も行った.また,地域貢献活動で繋がった方が,学生へ授業として取り組み内容を講義する等,より地域との繋がりや関わりの多様化へと広がっている.
【考察】
認サポの活動は地域に貢献できるだけではなく,様々な地域社会との繋がりに発展し多様な地域貢献に繋がることが示唆された.また,学生はボランティア活動を通して,地域住民との関わりや作業療法士の必要性を考える実践的な学びの機会になった.地域で暮らす認知症の高齢者を継続的に支えていくためには,認サポの様に,インフォーマルな活動を継続する必要性は高い.また,参加者の中には具体的な悩みを持つ方も多く,専門職がこの活動に参加し,助言・相談援助を行う重要性があるといえる.作業療法士養成校としても,地域に貢献することは,教員が地域を知る深い学びとなり,授業の広がりにも繋がる.作業療法士が近隣の自治会や地域の集まりの場に定期訪問する環境が広がると,「住み慣れた地域でその人らしく生きる支援」に繋がるのではないかと考える.