[PN-8-10] 認知症カフェの課題に関する文献レビュー
Ⅰ.序論
認知症カフェは,1997年にオランダでオランダアルツハイマー協会と臨床老年心理学者ベレ・ミーセンが協力してアルツハイマーカフェを開催したことが起源である.厚生労働省は,2015年に「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」の中で,認知症カフェ設置の促進を明記した.これにより日本では認知症カフェが急速に広まっている.しかし認知症カフェの現状は明らかになっておらず,実施上の課題についても共有されていない.
Ⅱ.目的
本研究の目的は,系統的文献レビューを行い認知症カフェにおける現状の課題を明らかにすることで,今後の発展に向けた示唆を得ることである.
Ⅲ.方法
系統的文献レビューとハンドサーチを併用して実施した.文献の収集方法は,データベースにメディカルオンラインを用い,「認知症カフェ」「課題」をキーワードとし,検索した(2023年2月4日).なお,文献数が少ないため雑誌記事や抄録も可とし,認知症カフェの課題に関係しない文献は除外した.収集した文献はKJ法を用い,関連する文献ごとにカテゴライズした.
Ⅳ.結果
検索した結果,36件の文献がヒットした.そのうち認知症カフェの課題に関係しない文献23件を除き,加えてハンドサーチした文献1件を加え,合計14件の文献をレビューした.文献は①参加者6件,②スタッフ5件,③広報5件,④家族4件,⑤資金2件,⑥プログラム2件,⑦環境2件,⑧場所1件の8つにカテゴライズされた.各内容は,①認知症当事者が集まらない,②スタッフが集まらない,③どのように周知すべきか分からない,④家族の知識不足,⑤運営資金が不足している,⑥どのようなプログラムを実施すべきか分からない,⑦カフェの雰囲気を出すのが難しい,⑧開催場所までが遠いである.
Ⅴ.考察
本調査において適合した文献は14件のみであり,認知症カフェの課題に関する文献は少数であった.認知症カフェは開設基準や運営方法は特に明記されていないため,認知症カフェを継続させることが目的となってしまうことが指摘されている(尹享月ら.2022).認知症カフェを開設するにあたって,名称に「認知症」という単語を使用する事で参加に抵抗を感じる人が一定数いる可能性があるのに対し,一方で「オレンジカフェ」のような名称を使用すると,そのコンセプトが分かりにくくなってしまう.「認知症カフェ」という名称の妥当性についても,今後の検証が必要と考えられる.また,参加者やスタッフなど参加人数が少ないことについて多く課題として挙げられていた.様々な課題が挙げられる理由として,地域間の取り組みの差が顕著に現れている事が考えられる.地域によっては参加人数が少ないだけでなく,専門職がおらずボランティアで運営しているカフェが多いのが現状である.そのため,認知症についての知識を得るために参加しても,必要な情報が得られず,次回から参加しなくなってしまうというサイクルになってしまうと考えられる.これらのように認知症カフェについて多くの課題が挙げられるが,人を集めるカフェではなく,人が集まるカフェにしていくことが理想である.よって,認知症にかかわるすべての人が利用しやすい認知症カフェを開設していく必要がある.
認知症カフェは,1997年にオランダでオランダアルツハイマー協会と臨床老年心理学者ベレ・ミーセンが協力してアルツハイマーカフェを開催したことが起源である.厚生労働省は,2015年に「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」の中で,認知症カフェ設置の促進を明記した.これにより日本では認知症カフェが急速に広まっている.しかし認知症カフェの現状は明らかになっておらず,実施上の課題についても共有されていない.
Ⅱ.目的
本研究の目的は,系統的文献レビューを行い認知症カフェにおける現状の課題を明らかにすることで,今後の発展に向けた示唆を得ることである.
Ⅲ.方法
系統的文献レビューとハンドサーチを併用して実施した.文献の収集方法は,データベースにメディカルオンラインを用い,「認知症カフェ」「課題」をキーワードとし,検索した(2023年2月4日).なお,文献数が少ないため雑誌記事や抄録も可とし,認知症カフェの課題に関係しない文献は除外した.収集した文献はKJ法を用い,関連する文献ごとにカテゴライズした.
Ⅳ.結果
検索した結果,36件の文献がヒットした.そのうち認知症カフェの課題に関係しない文献23件を除き,加えてハンドサーチした文献1件を加え,合計14件の文献をレビューした.文献は①参加者6件,②スタッフ5件,③広報5件,④家族4件,⑤資金2件,⑥プログラム2件,⑦環境2件,⑧場所1件の8つにカテゴライズされた.各内容は,①認知症当事者が集まらない,②スタッフが集まらない,③どのように周知すべきか分からない,④家族の知識不足,⑤運営資金が不足している,⑥どのようなプログラムを実施すべきか分からない,⑦カフェの雰囲気を出すのが難しい,⑧開催場所までが遠いである.
Ⅴ.考察
本調査において適合した文献は14件のみであり,認知症カフェの課題に関する文献は少数であった.認知症カフェは開設基準や運営方法は特に明記されていないため,認知症カフェを継続させることが目的となってしまうことが指摘されている(尹享月ら.2022).認知症カフェを開設するにあたって,名称に「認知症」という単語を使用する事で参加に抵抗を感じる人が一定数いる可能性があるのに対し,一方で「オレンジカフェ」のような名称を使用すると,そのコンセプトが分かりにくくなってしまう.「認知症カフェ」という名称の妥当性についても,今後の検証が必要と考えられる.また,参加者やスタッフなど参加人数が少ないことについて多く課題として挙げられていた.様々な課題が挙げられる理由として,地域間の取り組みの差が顕著に現れている事が考えられる.地域によっては参加人数が少ないだけでなく,専門職がおらずボランティアで運営しているカフェが多いのが現状である.そのため,認知症についての知識を得るために参加しても,必要な情報が得られず,次回から参加しなくなってしまうというサイクルになってしまうと考えられる.これらのように認知症カフェについて多くの課題が挙げられるが,人を集めるカフェではなく,人が集まるカフェにしていくことが理想である.よって,認知症にかかわるすべての人が利用しやすい認知症カフェを開設していく必要がある.