[PN-9-7] 生活機能向上連携加算を通したサービス移行支援
訪問リハビリテーションからデイサービスへ
"【はじめに】
訪問リハビリテーション(以下,訪問リハ)での移行支援加算の算定事業所は約27%にとどまっている.その要因には家族・本人の継続意向が最も高いが,地域に利用修了後の受け入れ先が無いことも挙げられている.
【目的】
今回,訪問リハから通所系サービス移行に難渋した事例に対して,生活機能向上連携加算を通した施設連携先のデイサービス(以下,施設B)にサービス移行が可能となり,訪問系サービスを修了した事例を報告する.
【事例紹介】
A氏,60歳代,女性,診断名は脊髄損傷(C3−Th2).病前はADL自立し,夫,息子との3人暮らしである.X年脊髄損傷の診断にて入院加療を経てX年+7ヶ月自宅退院となった.自宅退院時は,要介護4, FIM56/126点(運動21点,認知35点),障害高齢者日常生自立度C-2,認知機能はHDS-R30点.サービス利用は,訪問看護,訪問入浴,当院から訪問リハを提供した.X+2年,ベッドから車椅子への移乗が見守りとなり,X年+2年6ヶ月,家族と玄関の段差昇降が見守りとなる.サービス担当者会議にて,本人から歩行練習,家族から介護・経済的負担軽減の希望があり,目標を通所リハビリテーション(以下, 通所リハ)に移行してリハビリテーション継続,施設入浴とした.しかし,A氏が通える範囲全ての通所リハから病名や介助量を理由に受け入れ不可となった. X年+3年2ヶ月介護支援専門員(以下,ケアマネ)からは「代替する社会資源がない」とのことで訪問リハの継続方針となった.
【計画】
A氏が居住する地域のデイサービスに,当院と生活機能連携向上加算に関わる施設連携先(施設B)があり,介護福祉士を中心に個別機能訓練を提供し,3か月1度作業療法士(以下,OT)が評価とプログラムを設定している.そこで以下の手順に沿って移行支援計画を立てた.1)ケアマネに当院と施設Bの連携情報を共有する.2) A氏・家族へ施設Bでの個別機能訓練について説明し,OTの支援継続が可能と伝える.3)施設Bへの定期訪問時に,A氏のADL能力や送迎時の介助方法を本人同意の下,タブレット端末で撮影した動画を共有する.
【結果】
A氏と施設Bでの事前面談を経て,施設Bの受け入れが可能となった.サービス担当者会議にて,自宅環境下でA氏の実際の動作,介助ポイントを伝達した.デイサービス担当者からは「病名を聞いただけで重介助のイメージを持つが,実際の動画や動作を見ることでA氏ができる動作が分かり受け入れしやすかった」との意見を得た.個別機能訓練内容は,施設内の環境を踏まえて,従来提供していた内容を伝達した.また,施設Bの利用開始に伴い,X年+3年5ヶ月訪問入浴,訪問リハは修了となる.
【考察】
訪問リハの修了が困難な要因として地域に利用修了後の受け入れ先が無いことが挙げられているが,事業所が地域の施設と連携することで,OTが利用者と施設をつなぐ役割を果たすことが出来るのではないかと考える.今回移行支援計画通りに進めることができたが,本人・家族・ケアマネ・他事業所との方向性の共有,移行支援計画への同意や進歩状況に合わせた連携が必要であると考える.
【倫理的配慮】
ヘルシンキ宣言に基づき,発表に際し本人に書面にて同意を得て行った.
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訪問リハビリテーション(以下,訪問リハ)での移行支援加算の算定事業所は約27%にとどまっている.その要因には家族・本人の継続意向が最も高いが,地域に利用修了後の受け入れ先が無いことも挙げられている.
【目的】
今回,訪問リハから通所系サービス移行に難渋した事例に対して,生活機能向上連携加算を通した施設連携先のデイサービス(以下,施設B)にサービス移行が可能となり,訪問系サービスを修了した事例を報告する.
【事例紹介】
A氏,60歳代,女性,診断名は脊髄損傷(C3−Th2).病前はADL自立し,夫,息子との3人暮らしである.X年脊髄損傷の診断にて入院加療を経てX年+7ヶ月自宅退院となった.自宅退院時は,要介護4, FIM56/126点(運動21点,認知35点),障害高齢者日常生自立度C-2,認知機能はHDS-R30点.サービス利用は,訪問看護,訪問入浴,当院から訪問リハを提供した.X+2年,ベッドから車椅子への移乗が見守りとなり,X年+2年6ヶ月,家族と玄関の段差昇降が見守りとなる.サービス担当者会議にて,本人から歩行練習,家族から介護・経済的負担軽減の希望があり,目標を通所リハビリテーション(以下, 通所リハ)に移行してリハビリテーション継続,施設入浴とした.しかし,A氏が通える範囲全ての通所リハから病名や介助量を理由に受け入れ不可となった. X年+3年2ヶ月介護支援専門員(以下,ケアマネ)からは「代替する社会資源がない」とのことで訪問リハの継続方針となった.
【計画】
A氏が居住する地域のデイサービスに,当院と生活機能連携向上加算に関わる施設連携先(施設B)があり,介護福祉士を中心に個別機能訓練を提供し,3か月1度作業療法士(以下,OT)が評価とプログラムを設定している.そこで以下の手順に沿って移行支援計画を立てた.1)ケアマネに当院と施設Bの連携情報を共有する.2) A氏・家族へ施設Bでの個別機能訓練について説明し,OTの支援継続が可能と伝える.3)施設Bへの定期訪問時に,A氏のADL能力や送迎時の介助方法を本人同意の下,タブレット端末で撮影した動画を共有する.
【結果】
A氏と施設Bでの事前面談を経て,施設Bの受け入れが可能となった.サービス担当者会議にて,自宅環境下でA氏の実際の動作,介助ポイントを伝達した.デイサービス担当者からは「病名を聞いただけで重介助のイメージを持つが,実際の動画や動作を見ることでA氏ができる動作が分かり受け入れしやすかった」との意見を得た.個別機能訓練内容は,施設内の環境を踏まえて,従来提供していた内容を伝達した.また,施設Bの利用開始に伴い,X年+3年5ヶ月訪問入浴,訪問リハは修了となる.
【考察】
訪問リハの修了が困難な要因として地域に利用修了後の受け入れ先が無いことが挙げられているが,事業所が地域の施設と連携することで,OTが利用者と施設をつなぐ役割を果たすことが出来るのではないかと考える.今回移行支援計画通りに進めることができたが,本人・家族・ケアマネ・他事業所との方向性の共有,移行支援計画への同意や進歩状況に合わせた連携が必要であると考える.
【倫理的配慮】
ヘルシンキ宣言に基づき,発表に際し本人に書面にて同意を得て行った.
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