[PN-9-9] 訪問作業療法の利用者を増やしたい!
当院訪問リハビリチームの取り組み
【目的と背景】
当院リハビリテーション科は急性期入院リハビリテーション,整形外科・循環器・内科等の外来リハビリテーション,訪問リハビリテーションを展開している.新型コロナ禍において病院内で行う入院・外来リハビリテーションは制限を受ける一方,訪問リハビリテーションは感染状況に左右されにくい面があり,安定的に事業を拡大できる見込みのある部門である.当院訪問リハビリテーションは理学療法部門にて2017年より開始した.2022年4月より作業療法部門での訪問リハビリを開始した.しかし,訪問作業療法の利用者は2022年4月は1名,5~7月は0名と利用者数が増えないことが課題となっていた.そこで,訪問作業療法利用者数の拡大を目的とした取り組みを行ったため以下に報告する.
【方法と経過】
従来は医療福祉課からの紹介に依存する形となっていたが,作業療法部門として主体的に訪問作業療法利用者を増やすことを目的に,当院入院中の作業療法処方患者を対象に「訪問リハビリ導入検討リスト」を2022年8月に作成し,運用を開始した.訪問リハビリ導入検討リストは入院患者担当作業療法士が転帰先を記入する方法をとり,その転帰先が自宅で,西東京市内もしくは当院より半径3km圏内在住,要介護認定者の患者を訪問リハビリ導入検討者としてリストアップした.それを基に週1回作業療法士役職者と医療福祉課責任者にて「導入検討カンファレンス」を行い,介入の可否について検討した.また,2023年1月に,訪問作業療法の経験のない入院担当作業療法士に適応患者の選定の一助になるよう訪問作業療法の症例報告会を実施した.2023年4月には入院中で作業療法が介入していない整形外科患者を対象とした訪問リハビリ導入検討リストを作成し,退院後ADL訓練や環境設定等で訪問作業療法の必要性のある患者の選定を行った.さらに同月,当院訪問リハビリ周知のため「訪問リハビリリーフレット」を作成し,今後導入に繋がる可能性のある入院患者と近隣訪問看護ステーションに配布を行い,周知を図った.
【結果】
訪問作業療法の利用者は2022年7月(取り組み前月)時点で0 名であったが,9月(導入検討リスト・導入検討カンファレンス開始翌月)は1名,2023年2月(症例発表会翌月)は2名,2023年5月(整形外科患者訪問導入検討リスト,訪問リハビリリーフレット開始翌月)は5名と増加した.訪問作業療法の利用者の増加に対応するため2023年8月より訪問作業療法従事者を2名追加した.2023年12月の訪問作業療法の利用者は10名まで増加した.
【考察】
「訪問リハビリ導入検討リスト」の作成・運用と「症例報告会」は訪問作業療法に関わっていない入院担当作業療法士の訪問作業療法への理解と周知を促し,作業療法士が入院中より患者の退院後の生活を考え,主体的に訪問作業療法の必要性と適応を考えるようになった.更に,作業療法が介入していない整形外科患者にも関心が向くことが訪問作業療法利用者の増加に繋がったものと思われる.また,医療福祉課との「導入検討カンファレンス」の開催,「訪問リハビリリーフレット」の配布により他職種・患者に訪問作業療法の周知を図ることができたことも利用者増加に繋がったと思われる.今後は更なる訪問作業療法利用者数の増加に対応できる従事者の確保と教育体制の充実が課題となると思われる.
当院リハビリテーション科は急性期入院リハビリテーション,整形外科・循環器・内科等の外来リハビリテーション,訪問リハビリテーションを展開している.新型コロナ禍において病院内で行う入院・外来リハビリテーションは制限を受ける一方,訪問リハビリテーションは感染状況に左右されにくい面があり,安定的に事業を拡大できる見込みのある部門である.当院訪問リハビリテーションは理学療法部門にて2017年より開始した.2022年4月より作業療法部門での訪問リハビリを開始した.しかし,訪問作業療法の利用者は2022年4月は1名,5~7月は0名と利用者数が増えないことが課題となっていた.そこで,訪問作業療法利用者数の拡大を目的とした取り組みを行ったため以下に報告する.
【方法と経過】
従来は医療福祉課からの紹介に依存する形となっていたが,作業療法部門として主体的に訪問作業療法利用者を増やすことを目的に,当院入院中の作業療法処方患者を対象に「訪問リハビリ導入検討リスト」を2022年8月に作成し,運用を開始した.訪問リハビリ導入検討リストは入院患者担当作業療法士が転帰先を記入する方法をとり,その転帰先が自宅で,西東京市内もしくは当院より半径3km圏内在住,要介護認定者の患者を訪問リハビリ導入検討者としてリストアップした.それを基に週1回作業療法士役職者と医療福祉課責任者にて「導入検討カンファレンス」を行い,介入の可否について検討した.また,2023年1月に,訪問作業療法の経験のない入院担当作業療法士に適応患者の選定の一助になるよう訪問作業療法の症例報告会を実施した.2023年4月には入院中で作業療法が介入していない整形外科患者を対象とした訪問リハビリ導入検討リストを作成し,退院後ADL訓練や環境設定等で訪問作業療法の必要性のある患者の選定を行った.さらに同月,当院訪問リハビリ周知のため「訪問リハビリリーフレット」を作成し,今後導入に繋がる可能性のある入院患者と近隣訪問看護ステーションに配布を行い,周知を図った.
【結果】
訪問作業療法の利用者は2022年7月(取り組み前月)時点で0 名であったが,9月(導入検討リスト・導入検討カンファレンス開始翌月)は1名,2023年2月(症例発表会翌月)は2名,2023年5月(整形外科患者訪問導入検討リスト,訪問リハビリリーフレット開始翌月)は5名と増加した.訪問作業療法の利用者の増加に対応するため2023年8月より訪問作業療法従事者を2名追加した.2023年12月の訪問作業療法の利用者は10名まで増加した.
【考察】
「訪問リハビリ導入検討リスト」の作成・運用と「症例報告会」は訪問作業療法に関わっていない入院担当作業療法士の訪問作業療法への理解と周知を促し,作業療法士が入院中より患者の退院後の生活を考え,主体的に訪問作業療法の必要性と適応を考えるようになった.更に,作業療法が介入していない整形外科患者にも関心が向くことが訪問作業療法利用者の増加に繋がったものと思われる.また,医療福祉課との「導入検討カンファレンス」の開催,「訪問リハビリリーフレット」の配布により他職種・患者に訪問作業療法の周知を図ることができたことも利用者増加に繋がったと思われる.今後は更なる訪問作業療法利用者数の増加に対応できる従事者の確保と教育体制の充実が課題となると思われる.