[PO-3-4] 信念対立解明アプローチにADOCを併用したことで治療関係が改善された一事例
はじめに
信念対立とは,その人にとって疑いの余地のない確信が矛盾する事態に直面した時に生じる確執であると述べられており,医療保健福祉領域で生じる信念対立の対策として,信念対立解明アプローチ(DAB)がある.今回,頚椎症性脊髄症と診断された症例と他職種間で生じていた信念対立が生じていた症例に対し,DABを用いたことにより,治療関係が改善した為,報告する.
方法
本症例は頚椎症性脊髄症と診断された40歳代男性である.入院の約2ヶ月前に右C3/4,C6/7 椎弓形成術(MEL) を施行されており,今回の入院で左C3/4,右Th9/10MELを施行された.リハビリテーション(リハビリ)は入院翌日より開始となった.術前評価では,MMT四肢3レベルであり,基本動作は,寝返りのみ中等度介助にて可能だが,それ以外は全介助であった.術前は筋力維持運動を中心とした床上訓練を行った.入院5日後にMELを施行され,術後はドレーン抜去まで,ベッドサイドまでのリハビリと主治医(Dr)から指示があった.術後3日後にドレーン抜去となり,安静度がフリーとなった.術後7日後に介助下での歩行器歩行が40m可能となった.この時期に患者より,回復期リハビリ病棟で重点的にリハビリを頑張りたいとDrに申し出があった.しかし,Drは,歩けるなら家に帰って,自分で動くようにした方が良いと考え,退院を勧めた.患者は思うように身体が動かない状態での退院は無理があると退院の提案を拒否した.しかし,Drは病棟看護師(Ns)に,退院に向けた準備を進めるように指示した.これを受け,Nsは,退院に向け,排泄などの生活動作を極力介助せずに患者自身で行うように促した.しかし,患者は身体がうまく動かない時に生活動作を手伝ってくれないことに疑問を感じており,Nsからの介助を希望した.これらのことを,Dr-患者間,Ns-患者間の信念対立と捉え,解明を試みた.Drと患者の考えの背景,目的,関心を,本人からの語りや関係者から聴取を行い,明らかにした.Drは,手術は成功し歩けるようになってきているのだから,自宅や外来でリハビリをするために,早期退院した方が良いと志向していた.Nsは,Drが退院と言っているから仕方ない,何を言っても無駄だから,従うしかないと感じており,自宅に帰っても自身で行えるように,極力介助をなくす方が良いと志向していた.患者は,リハビリを頑張り動けるようになってから退院し,復職に向けた準備をしていきたいと志向していることが明らかとなり,その為に信念対立が生じたと考えた.Dr信念対立の軽減に向けて,患者とDr,セラピストで話し合いを行った.その過程で,目標設定のために,ADOCにて短期/長期の目標設定を行い,現在の身体機能と生活動作能力も含め,他職種との共有を行った.
倫理的配慮.説明と同意
本介人はヘルシンキ宜言の精神に十分配慮し,発表に際して,患者に口頭,書面にて同意を得た.
結果
話し合いの結果,病棟内ADLが自立となり,短距離歩行が可能となることが共通目標と患者Drなり,Dr—患者間で最大2ヶ月間入院加療を行うことで合意形成された.また,Nsと患者間でも現能力に関する情報がNs間で共有されるようになり,良好な関係性構築に至り,適切な介助量でADLが実施可能となった.,病棟内ADLが自立となり,短距離歩行が可能となるという目標を達成し,退院となった.
考察
患者とDr間に生じていた生活動作能力の再獲得の考え方の違いを,信念対立と捉えた.DABを用いて解明し,ADOCを併用して共有した,合意形成が行え,日常生活を支援するNsとも良好な関係を築くこと出来たと考える.
信念対立とは,その人にとって疑いの余地のない確信が矛盾する事態に直面した時に生じる確執であると述べられており,医療保健福祉領域で生じる信念対立の対策として,信念対立解明アプローチ(DAB)がある.今回,頚椎症性脊髄症と診断された症例と他職種間で生じていた信念対立が生じていた症例に対し,DABを用いたことにより,治療関係が改善した為,報告する.
方法
本症例は頚椎症性脊髄症と診断された40歳代男性である.入院の約2ヶ月前に右C3/4,C6/7 椎弓形成術(MEL) を施行されており,今回の入院で左C3/4,右Th9/10MELを施行された.リハビリテーション(リハビリ)は入院翌日より開始となった.術前評価では,MMT四肢3レベルであり,基本動作は,寝返りのみ中等度介助にて可能だが,それ以外は全介助であった.術前は筋力維持運動を中心とした床上訓練を行った.入院5日後にMELを施行され,術後はドレーン抜去まで,ベッドサイドまでのリハビリと主治医(Dr)から指示があった.術後3日後にドレーン抜去となり,安静度がフリーとなった.術後7日後に介助下での歩行器歩行が40m可能となった.この時期に患者より,回復期リハビリ病棟で重点的にリハビリを頑張りたいとDrに申し出があった.しかし,Drは,歩けるなら家に帰って,自分で動くようにした方が良いと考え,退院を勧めた.患者は思うように身体が動かない状態での退院は無理があると退院の提案を拒否した.しかし,Drは病棟看護師(Ns)に,退院に向けた準備を進めるように指示した.これを受け,Nsは,退院に向け,排泄などの生活動作を極力介助せずに患者自身で行うように促した.しかし,患者は身体がうまく動かない時に生活動作を手伝ってくれないことに疑問を感じており,Nsからの介助を希望した.これらのことを,Dr-患者間,Ns-患者間の信念対立と捉え,解明を試みた.Drと患者の考えの背景,目的,関心を,本人からの語りや関係者から聴取を行い,明らかにした.Drは,手術は成功し歩けるようになってきているのだから,自宅や外来でリハビリをするために,早期退院した方が良いと志向していた.Nsは,Drが退院と言っているから仕方ない,何を言っても無駄だから,従うしかないと感じており,自宅に帰っても自身で行えるように,極力介助をなくす方が良いと志向していた.患者は,リハビリを頑張り動けるようになってから退院し,復職に向けた準備をしていきたいと志向していることが明らかとなり,その為に信念対立が生じたと考えた.Dr信念対立の軽減に向けて,患者とDr,セラピストで話し合いを行った.その過程で,目標設定のために,ADOCにて短期/長期の目標設定を行い,現在の身体機能と生活動作能力も含め,他職種との共有を行った.
倫理的配慮.説明と同意
本介人はヘルシンキ宜言の精神に十分配慮し,発表に際して,患者に口頭,書面にて同意を得た.
結果
話し合いの結果,病棟内ADLが自立となり,短距離歩行が可能となることが共通目標と患者Drなり,Dr—患者間で最大2ヶ月間入院加療を行うことで合意形成された.また,Nsと患者間でも現能力に関する情報がNs間で共有されるようになり,良好な関係性構築に至り,適切な介助量でADLが実施可能となった.,病棟内ADLが自立となり,短距離歩行が可能となるという目標を達成し,退院となった.
考察
患者とDr間に生じていた生活動作能力の再獲得の考え方の違いを,信念対立と捉えた.DABを用いて解明し,ADOCを併用して共有した,合意形成が行え,日常生活を支援するNsとも良好な関係を築くこと出来たと考える.