[PP-3-3] 身体組成と運動機能,性格特性,運動・睡眠習慣との関連
大学生の二次性サルコペニアのリスクファクターの検討
【背景】大学生を対象とした調査では,体型の変化とともに体力や筋力が低下すると多く報告されている(角田ら:2010年).また,二次性サルコペニアでは疾病によるもの以外では活動量低下や栄養不足が関連し,大学生では,多忙な学校生活による運動量減少や睡眠不足などが考えられている(山城:2017).さらに,定期的な運動・睡眠習慣には性格特性が関与し,神経症傾向が不活発に,外向性や勤勉性が活動的に作用することが示唆されている(Rhodesら:2006).これらのことから,体型の変化が体力や筋力の変化に関わっていること,運動機会の減少が筋量や筋力の減少につながること,定期的な生活習慣は特定の性格特性と関係することが予測される.
【目的】本研究は,1)身体組成が運動機能に関与する,2)運動・睡眠習慣が身体組成や運動機能に関与する,3)性格特性が運動・睡眠習慣と関連する,という仮説を基に,身体組成,運動機能,運動・睡眠習慣,性格特性がどのように関連し合っているかを明らかにすることを目的とした.
【方法】対象者を大学生101名(男性47名,女性54名,平均年齢20.59±0.66歳)とし,書面にて同意を得て実施した.研究手順として,対象者は自身のID,性別,身長を体組成計(Tanita製 MC-780A-N)のパソコンに入力して測定することで骨格筋指数(SMI)や筋質点数,体脂肪率を算出した.次に,運動分析装置(Tanita製 ザリッツ BM-220)を用いて椅子から立ち上がる際のパワー,スピード,バランスを測定した.また,Googleフォームにて日本語版Ten_Item_Personality_Inventory(以下,TIPI-J),高校時代と現在の1週間の平均運動日数,平均睡眠時間への回答を求めた.
分析は,運動習慣の有無に対して,Welch検定を用いて有意差を確認した.また,性別を共変量として,運動習慣の有無とSMIの違いを共分散分析と多重比較検定で確認した.さらに,SMI,筋質点数,体脂肪率,運動・睡眠習慣と性格特性についてPearsonとSpearmanの相関分析を行った.分析は全てHAD17を用いた.なお,本研究は大学倫理審査委員会の承認を得て実施した.
【結果】プレサルコペニアの基準(SMI:男性<7.0,女性<5.7)に該当する者が,男性2名,女性4名の計6名いた.Welch検定の結果,現在の運動習慣の有無は睡眠時間,SMI,筋質点数,勤勉性,運動機能のパワーとバランスに有意差があった(全てp<0.05).共分散分析と多重比較検定の結果,男性においてのみ現在の運動習慣がある者はない者に比べて有意にSMIが高かった(p<0.01).相関分析では,中等度の相関がSMIとパワー・スピード(0.54,0.41),筋質点数と現在の運動習慣(0.45),体脂肪率とパワー(0.46)に認められ,軽度の相関がSMIと過去の運動習慣・現在の運動習慣・開放性(0.32,0.35,0.33),外向性と過去の運動習慣(0.20),勤勉性と現在の運動習慣・睡眠時間(0.30,0.23),開放性と過去の運動習慣(0.23)に認められた.
【考察】本研究ではプレサルコペニアの基準に該当する者が約6%いたが,世界的にも若年者の約10%がサルコペニアを有すという推定がある(Jung2023).特に男性のみSMIと現在の運動習慣が関与しており,女性は家事動作などの軽活動に従事する割合が高いため(谷本2005),運動習慣の影響を受けなかったことが考えられる.身体組成が運動機能や運動・睡眠習慣と関連があるという仮説は支持され,外向性,勤勉性,開放性という特定の性格によって良好な運動・睡眠習慣が促される可能性が示された.
【目的】本研究は,1)身体組成が運動機能に関与する,2)運動・睡眠習慣が身体組成や運動機能に関与する,3)性格特性が運動・睡眠習慣と関連する,という仮説を基に,身体組成,運動機能,運動・睡眠習慣,性格特性がどのように関連し合っているかを明らかにすることを目的とした.
【方法】対象者を大学生101名(男性47名,女性54名,平均年齢20.59±0.66歳)とし,書面にて同意を得て実施した.研究手順として,対象者は自身のID,性別,身長を体組成計(Tanita製 MC-780A-N)のパソコンに入力して測定することで骨格筋指数(SMI)や筋質点数,体脂肪率を算出した.次に,運動分析装置(Tanita製 ザリッツ BM-220)を用いて椅子から立ち上がる際のパワー,スピード,バランスを測定した.また,Googleフォームにて日本語版Ten_Item_Personality_Inventory(以下,TIPI-J),高校時代と現在の1週間の平均運動日数,平均睡眠時間への回答を求めた.
分析は,運動習慣の有無に対して,Welch検定を用いて有意差を確認した.また,性別を共変量として,運動習慣の有無とSMIの違いを共分散分析と多重比較検定で確認した.さらに,SMI,筋質点数,体脂肪率,運動・睡眠習慣と性格特性についてPearsonとSpearmanの相関分析を行った.分析は全てHAD17を用いた.なお,本研究は大学倫理審査委員会の承認を得て実施した.
【結果】プレサルコペニアの基準(SMI:男性<7.0,女性<5.7)に該当する者が,男性2名,女性4名の計6名いた.Welch検定の結果,現在の運動習慣の有無は睡眠時間,SMI,筋質点数,勤勉性,運動機能のパワーとバランスに有意差があった(全てp<0.05).共分散分析と多重比較検定の結果,男性においてのみ現在の運動習慣がある者はない者に比べて有意にSMIが高かった(p<0.01).相関分析では,中等度の相関がSMIとパワー・スピード(0.54,0.41),筋質点数と現在の運動習慣(0.45),体脂肪率とパワー(0.46)に認められ,軽度の相関がSMIと過去の運動習慣・現在の運動習慣・開放性(0.32,0.35,0.33),外向性と過去の運動習慣(0.20),勤勉性と現在の運動習慣・睡眠時間(0.30,0.23),開放性と過去の運動習慣(0.23)に認められた.
【考察】本研究ではプレサルコペニアの基準に該当する者が約6%いたが,世界的にも若年者の約10%がサルコペニアを有すという推定がある(Jung2023).特に男性のみSMIと現在の運動習慣が関与しており,女性は家事動作などの軽活動に従事する割合が高いため(谷本2005),運動習慣の影響を受けなかったことが考えられる.身体組成が運動機能や運動・睡眠習慣と関連があるという仮説は支持され,外向性,勤勉性,開放性という特定の性格によって良好な運動・睡眠習慣が促される可能性が示された.