[PP-8-1] 作業療法臨床評価における脳波測定等の活用についての文献研究
【はじめに】これまで,作業療法では磁気共鳴機能画像法(functional magnetic resonance imaging, fMRI)や近赤外線分光法(Near-infrared spectroscopy,NIRS)など脳機能を測定する機器を用いた作業療法臨床評価が進められている.近年では,より携帯性に優れた脳波計など,作業療法臨床での活用可能性のある機器が開発されはじめている.そこで,本研究では作業療法臨床評価における脳波測定機器の活用性について考察をする.
【方法】
1.研究手法:研究手法は文献研究とした.キーワードは「EEG」「作業療法」「評価」,検索期間は2004年から2023年として医中誌Webで検索した.(検索日:2024年1月8日)
2.採択基準:採択基準は「作業療法士が筆頭著者の論文」「EEGなどの機器を使用した研究」「対象者の評価における過程および成果」が含まれているものとした.
3.分析方法:作業療法臨床評価における脳波測定に関する特徴等に関して分析する.
なお本研究は,本学研究倫理審査を受けて実施したものである.
【結果】
1.対象:上記の方法で検索したところ,18件が抽出でき,このうち抄録あるいは本文を参照できたものは16件であった.そのうち筆頭著者が医師4件,看護師1件を除く11文献を対象とした.なお11件には脳磁図を活用した2件も本研究に関連があると判断し含めた.
2.対象文献概要:掲載誌を見ると,学術誌作業療法が1件,日本作業療法学会誌が7件,その他が3件であった.発行年は2004年が2件で,その後は2010年から2021年にかけて各年に1件程度の文献を認めた.
3.研究対象者:健常者を対象とした研究は7件であった.疾患を対象とした研究は,軽度認知障害,認知症を対象としたものが2件,脳血管障害が1件,聴覚情報処理障害の疑いが1件であった.
4.脳波等の測定目的:
1)健常者を対象とした研究:健常者を対象とした研究が7件あった.このうち2件は注意機能など認知機能に関するものであった.手指感覚検査に関するものが1件であった.脳磁図を利用した快適さの研究が2件あった.
2)疾患を対象とした研究:
軽度認知障害,認知症を対象とした研究では,早期に見られるアパシーの同定が1件,日中の覚醒・睡眠パターンを測定するものが1件であった.脳血管障害では,作業療法場面での日常生活活動時の前頭葉の賦活を測定するものが1件であった.聴覚情報処理障害の疑いでは注意機能と聴覚情報処理能力の関連について測定したものが1件であった.
5.脳波等の測定機器について:脳波計は6件で,携帯性のある簡易なものが4件,マルチセンサー生理計測システムが1件,ニューロコミュニケーターを活用したものが1件であった.その他にP300,N200など事象関連電位の測定が3件,脳磁図の測定が2件であった.
【考察】今回の対象文献では,脳波計などを活用した作業療法臨床評価に関連するものは,健常者を対象とした基礎的な研究が多くみられた.疾患を対象としたものは少ないものの,認知症や脳血管障害など作業療法臨床で対応することの多い対象での研究であった.携帯性は考慮されていない脳磁図を活用したものもあったが,近年では,携帯性のある脳波計を活用したものが多く認められた.活用の目的としては,認知機能が多くみられたが,感覚・知覚との関連や情動に関する研究も認められた.一方で,継続した研究や汎用性を検討する研究は見当たらなかった.以上から,今後は,より携帯性に優れた脳波計などを用いた作業療法臨床での評価活用の検証をする意義があると考えられる.
【方法】
1.研究手法:研究手法は文献研究とした.キーワードは「EEG」「作業療法」「評価」,検索期間は2004年から2023年として医中誌Webで検索した.(検索日:2024年1月8日)
2.採択基準:採択基準は「作業療法士が筆頭著者の論文」「EEGなどの機器を使用した研究」「対象者の評価における過程および成果」が含まれているものとした.
3.分析方法:作業療法臨床評価における脳波測定に関する特徴等に関して分析する.
なお本研究は,本学研究倫理審査を受けて実施したものである.
【結果】
1.対象:上記の方法で検索したところ,18件が抽出でき,このうち抄録あるいは本文を参照できたものは16件であった.そのうち筆頭著者が医師4件,看護師1件を除く11文献を対象とした.なお11件には脳磁図を活用した2件も本研究に関連があると判断し含めた.
2.対象文献概要:掲載誌を見ると,学術誌作業療法が1件,日本作業療法学会誌が7件,その他が3件であった.発行年は2004年が2件で,その後は2010年から2021年にかけて各年に1件程度の文献を認めた.
3.研究対象者:健常者を対象とした研究は7件であった.疾患を対象とした研究は,軽度認知障害,認知症を対象としたものが2件,脳血管障害が1件,聴覚情報処理障害の疑いが1件であった.
4.脳波等の測定目的:
1)健常者を対象とした研究:健常者を対象とした研究が7件あった.このうち2件は注意機能など認知機能に関するものであった.手指感覚検査に関するものが1件であった.脳磁図を利用した快適さの研究が2件あった.
2)疾患を対象とした研究:
軽度認知障害,認知症を対象とした研究では,早期に見られるアパシーの同定が1件,日中の覚醒・睡眠パターンを測定するものが1件であった.脳血管障害では,作業療法場面での日常生活活動時の前頭葉の賦活を測定するものが1件であった.聴覚情報処理障害の疑いでは注意機能と聴覚情報処理能力の関連について測定したものが1件であった.
5.脳波等の測定機器について:脳波計は6件で,携帯性のある簡易なものが4件,マルチセンサー生理計測システムが1件,ニューロコミュニケーターを活用したものが1件であった.その他にP300,N200など事象関連電位の測定が3件,脳磁図の測定が2件であった.
【考察】今回の対象文献では,脳波計などを活用した作業療法臨床評価に関連するものは,健常者を対象とした基礎的な研究が多くみられた.疾患を対象としたものは少ないものの,認知症や脳血管障害など作業療法臨床で対応することの多い対象での研究であった.携帯性は考慮されていない脳磁図を活用したものもあったが,近年では,携帯性のある脳波計を活用したものが多く認められた.活用の目的としては,認知機能が多くみられたが,感覚・知覚との関連や情動に関する研究も認められた.一方で,継続した研究や汎用性を検討する研究は見当たらなかった.以上から,今後は,より携帯性に優れた脳波計などを用いた作業療法臨床での評価活用の検証をする意義があると考えられる.