[PP-8-2] 発達障害児に対するソーシャルスキル教育に関するスコーピングレビュー
【はじめに】幼稚園,幼保連携型認定こども園,保育所(以下,幼稚園など)では,多くの障害のある幼児を受け入れている(文部科学省,2021;社会福祉法人全国社会福祉協議会全国保育協議会,2022).その様な状況において,発達障害児に関わる保育士・幼稚園教諭は他職種から発達障害児とのコミュニケーションに関する指導を多く受けていることが示されている(井上ら,2012).現在,コミュニケーション能力の向上に向けた指導方法として,ソーシャルスキル教育(Social skills education,以下SSE)が実践されている.しかし,作業療法士(以下,OT)が幼稚園などでどのようにSSEの実践に関わっているかについては明らかになっていない.
【目的】本研究は,OTが幼稚園などで,発達障害児に対するSSE実践に関わる際の課題を明らかにすることをねらいにして,幼稚園などにおける発達障害児に対するSSEの現在の知見整理をすることを目的とした.
【方法】研究方法は,スコーピングレビューを採用した.関連文献の特定には,CiNii Articles,Web版医学中央雑誌を用いた.期間は,SSTが,Libermannらにより,日本の精神科領域へ紹介され普及(Liberman,1992)したとされる,1988年から2023年現在までとした.検索式は,発達障害 AND ソーシャルスキル教育 OR Social skills education OR SSE OR ソーシャルスキル訓練 OR Social Skills Training OR SST AND 幼稚園 OR 幼保連携型認定こども園 OR 保育所 OR 保育園とした.得られた文献は,重複論文の除外後,1次スクリーニングは,表題と抄録から,2次スクリーニングは,研究者2名で本文を精読し,協議し採択文献を選定した.文献選定における適格基準は,1)1988年から2023年までに出版された,2)日本語または英語で記述されている,3)全文が利用可能な,4)幼稚園などに通園している発達障害児を対象に,5)SSEの実践研究で,学術雑誌論文,紀要論文に掲載されているものとし,除外基準は,文献研究,研究ノート,症例報告とした.データの抽出は,著者,発行年,SSEの実践者,場所,対象者と人数,標的行動,結果を抽出した.なお,本研究はすでに一般に公開されている文献を対象とする研究であり,倫理的配慮に関する諸手続きを必要としない.また,申告すべき利益相反はない.
【結果】検索結果は,Cinii Articlesが966件,Web版医学中央雑誌が1,623件,合計2,589件であった.その中で重複文献5編を除外し2,584件の文献が特定された.次いで,1次スクリーニングにて2,551編が除外され,33編となった.更に2次スクリーニングでは,25編が除外され,最終的に8編が採択された.そして,その8編をSSEの実践者という観点から整理した結果,1)大学の研究者が4編,2)幼稚園教諭が2編,3)幼稚園教諭と特別支援学校,養護学校教員,発達支援センター,大学の研究者などとの連携が2編に分類された.なお,OTが関わっている報告は0編であった.
【考察】本研究結果から,幼稚園などにおけるOTが関わるSSEの実践に関する報告が皆無であることが明らかとなった.発達障害児の支援には,多領域連携の強化が重要である(日本学術会議,2021)ことを鑑みれば,OTとして,教育分野の幼稚園などにおけるSSE実践や多領域連携を担う職種として,SSEに関わる実践報告をおこなう必要があると考える.
【目的】本研究は,OTが幼稚園などで,発達障害児に対するSSE実践に関わる際の課題を明らかにすることをねらいにして,幼稚園などにおける発達障害児に対するSSEの現在の知見整理をすることを目的とした.
【方法】研究方法は,スコーピングレビューを採用した.関連文献の特定には,CiNii Articles,Web版医学中央雑誌を用いた.期間は,SSTが,Libermannらにより,日本の精神科領域へ紹介され普及(Liberman,1992)したとされる,1988年から2023年現在までとした.検索式は,発達障害 AND ソーシャルスキル教育 OR Social skills education OR SSE OR ソーシャルスキル訓練 OR Social Skills Training OR SST AND 幼稚園 OR 幼保連携型認定こども園 OR 保育所 OR 保育園とした.得られた文献は,重複論文の除外後,1次スクリーニングは,表題と抄録から,2次スクリーニングは,研究者2名で本文を精読し,協議し採択文献を選定した.文献選定における適格基準は,1)1988年から2023年までに出版された,2)日本語または英語で記述されている,3)全文が利用可能な,4)幼稚園などに通園している発達障害児を対象に,5)SSEの実践研究で,学術雑誌論文,紀要論文に掲載されているものとし,除外基準は,文献研究,研究ノート,症例報告とした.データの抽出は,著者,発行年,SSEの実践者,場所,対象者と人数,標的行動,結果を抽出した.なお,本研究はすでに一般に公開されている文献を対象とする研究であり,倫理的配慮に関する諸手続きを必要としない.また,申告すべき利益相反はない.
【結果】検索結果は,Cinii Articlesが966件,Web版医学中央雑誌が1,623件,合計2,589件であった.その中で重複文献5編を除外し2,584件の文献が特定された.次いで,1次スクリーニングにて2,551編が除外され,33編となった.更に2次スクリーニングでは,25編が除外され,最終的に8編が採択された.そして,その8編をSSEの実践者という観点から整理した結果,1)大学の研究者が4編,2)幼稚園教諭が2編,3)幼稚園教諭と特別支援学校,養護学校教員,発達支援センター,大学の研究者などとの連携が2編に分類された.なお,OTが関わっている報告は0編であった.
【考察】本研究結果から,幼稚園などにおけるOTが関わるSSEの実践に関する報告が皆無であることが明らかとなった.発達障害児の支援には,多領域連携の強化が重要である(日本学術会議,2021)ことを鑑みれば,OTとして,教育分野の幼稚園などにおけるSSE実践や多領域連携を担う職種として,SSEに関わる実践報告をおこなう必要があると考える.