[PQ-2-4] リハビリテーションセラピストが実施する病棟リハビリテーションの有効性の検証
【序論】
病棟リハビリテーション(以下病棟リハビリ)とは本来看護師等がリハビリ以外の時間に行う病室や廊下などでの起立訓練や歩行訓練などが主であり,その有効性については先行研究より明らかになっている.しかし,OTを始めとするセラピストが病棟リハビリで行う有効性の検証は少ない.当院は以前から過密環境であった為,病棟リハビリを推奨していたが,病棟には訓練場所や道具が少なく,メリットが少ない為か,病棟リハビリを行うセラピストは少なかった.しかし,COVID-19の影響により,病棟リハビリの機会が強制的に増大した.その影響は多くの苦労やストレスを高める事になった.一方で当院の実績指数などのアウトカムはCOVID-19流行期よりも上昇傾向が見られた.そこで,セラピストが実施する病棟リハビリの有効性について検証する.
【目的】
従来のリハビリ室訓練と病棟リハビリの違いを分析し,病棟リハビリの有効性を検証する.有効性を踏まえ,病棟リハビリも必要に応じて選択できるように周知し,更なるアウトカム改善を目標とする.
【方法】
リハビリ室の使用が自由であった2018年4月1日~2020年3月31日と病棟リハビリが主であった2021年4月1日~2023年3月31日に当院回復期病棟を退棟した脳卒中患者,整形外科患者計626名をそれぞれリハビリ室群,病棟リハビリ群とし,FIM運動利得,在院日数,補正FIM effectiveness,FIM効率を2群間で比較した.2群間をShapiro-Wilkの正規性検定を行い,正規性が認められなかった為, Mann-Whitney検定で比較し,有意水準を5%とした.尚,脳卒中患者はくも膜下出血,発症から入院までの日数が7日以内,在院日数が14日以内,運動FIM利得が0点未満,アウトカム除外患者を対象外とし,整形外科患者については大腿近位部骨折患者に限定し,在院日数や利得などは脳卒中患者と同様の対象外とした.また,リハビリ室と病棟リハビリの違いに関するアンケートを統計期間に回復期病棟に所属していたPT・OT・ST計45名と病棟看護職員25名に聴取を行った.
【結果】
在院日数に有意差はみられなかったがFIM運動利得,補正FIM effectiveness,FIM効率については病棟リハビリ群に有意差が見られた.アンケート結果においては,病棟リハビリが増加した事でストレスがあったと答える一方で訓練内容の見直しや工夫,ADL訓練が増加したとの実感があり,看護師等とコミュニケーションが増加したとの回答が多くみられた.また,病棟看護職員においてもセラピストとコミュニケーションが増加し,患者のADL状況が把握しやすくなった等の有効的な回答が見られた.
【考察】
有意差が見られた点として,病棟リハビリはリハビリ室と比べ,訓練内容が制限され,基本動作, 排泄動作訓練など実践的なADL訓練の機会が増加したと考えられる.また,病棟リハビリは主治医,看護師等の多職種と関わる機会が増大し“できるADL”と“しているADL”の差を埋めやすくしていると考えられる.在院日数については外泊,面会制限などにより早期退院を希望する患者が増加した一方で,感染等により退院延期となる事もあった為,有意差が少なかったと考える.COVID-19の影響で病棟リハビリが増加したことは入院患者やスタッフにとって多くのストレスがあった反面,限られた環境の中で治療内容を考え,実践的ADL訓練や多職種との連携が増え,アウトカムの向上に繋がった可能性は高く,病棟リハビリの有効性を考慮したリハビリテーションが実践できるよう更に研究を深めていきたい.
【倫理的配慮・説明と同意】
本研究に関わる研究者は「ヘルシンキ宣言」および「人を対象とする医学的研究に関する倫理指針を遵守し実施した.また,当院倫理委員会の承認を得て実施した.
病棟リハビリテーション(以下病棟リハビリ)とは本来看護師等がリハビリ以外の時間に行う病室や廊下などでの起立訓練や歩行訓練などが主であり,その有効性については先行研究より明らかになっている.しかし,OTを始めとするセラピストが病棟リハビリで行う有効性の検証は少ない.当院は以前から過密環境であった為,病棟リハビリを推奨していたが,病棟には訓練場所や道具が少なく,メリットが少ない為か,病棟リハビリを行うセラピストは少なかった.しかし,COVID-19の影響により,病棟リハビリの機会が強制的に増大した.その影響は多くの苦労やストレスを高める事になった.一方で当院の実績指数などのアウトカムはCOVID-19流行期よりも上昇傾向が見られた.そこで,セラピストが実施する病棟リハビリの有効性について検証する.
【目的】
従来のリハビリ室訓練と病棟リハビリの違いを分析し,病棟リハビリの有効性を検証する.有効性を踏まえ,病棟リハビリも必要に応じて選択できるように周知し,更なるアウトカム改善を目標とする.
【方法】
リハビリ室の使用が自由であった2018年4月1日~2020年3月31日と病棟リハビリが主であった2021年4月1日~2023年3月31日に当院回復期病棟を退棟した脳卒中患者,整形外科患者計626名をそれぞれリハビリ室群,病棟リハビリ群とし,FIM運動利得,在院日数,補正FIM effectiveness,FIM効率を2群間で比較した.2群間をShapiro-Wilkの正規性検定を行い,正規性が認められなかった為, Mann-Whitney検定で比較し,有意水準を5%とした.尚,脳卒中患者はくも膜下出血,発症から入院までの日数が7日以内,在院日数が14日以内,運動FIM利得が0点未満,アウトカム除外患者を対象外とし,整形外科患者については大腿近位部骨折患者に限定し,在院日数や利得などは脳卒中患者と同様の対象外とした.また,リハビリ室と病棟リハビリの違いに関するアンケートを統計期間に回復期病棟に所属していたPT・OT・ST計45名と病棟看護職員25名に聴取を行った.
【結果】
在院日数に有意差はみられなかったがFIM運動利得,補正FIM effectiveness,FIM効率については病棟リハビリ群に有意差が見られた.アンケート結果においては,病棟リハビリが増加した事でストレスがあったと答える一方で訓練内容の見直しや工夫,ADL訓練が増加したとの実感があり,看護師等とコミュニケーションが増加したとの回答が多くみられた.また,病棟看護職員においてもセラピストとコミュニケーションが増加し,患者のADL状況が把握しやすくなった等の有効的な回答が見られた.
【考察】
有意差が見られた点として,病棟リハビリはリハビリ室と比べ,訓練内容が制限され,基本動作, 排泄動作訓練など実践的なADL訓練の機会が増加したと考えられる.また,病棟リハビリは主治医,看護師等の多職種と関わる機会が増大し“できるADL”と“しているADL”の差を埋めやすくしていると考えられる.在院日数については外泊,面会制限などにより早期退院を希望する患者が増加した一方で,感染等により退院延期となる事もあった為,有意差が少なかったと考える.COVID-19の影響で病棟リハビリが増加したことは入院患者やスタッフにとって多くのストレスがあった反面,限られた環境の中で治療内容を考え,実践的ADL訓練や多職種との連携が増え,アウトカムの向上に繋がった可能性は高く,病棟リハビリの有効性を考慮したリハビリテーションが実践できるよう更に研究を深めていきたい.
【倫理的配慮・説明と同意】
本研究に関わる研究者は「ヘルシンキ宣言」および「人を対象とする医学的研究に関する倫理指針を遵守し実施した.また,当院倫理委員会の承認を得て実施した.