[PQ-5-1] キャリア開発ラダーの作成と運用により期待されること
【はじめに】
当院は回復期を併設した急性期の総合病院であり,リハビリテーション部門は81名のセラピストが在籍,中途採用者も多い傾向にある.これらのスタッフはすでに臨床経験を積んでいることから即戦力として業務に入ることが大半であり改めて組織として教育を行うシステムは存在していなかった.また,新卒者については初年度のみプリセプター制度にて教育を行っていた.
このような状況の中「キャリア開発ラダー」(以下ラダー)の運用を開始し,現在2年弱が経過した.ラダーの作成過程と運用することによって得られた効果について考察する.
【作成から運用までの経過】
2年間かけラダーを作成した後,2年間試験的に運用し,2022年度より正式運用を開始した.
ラダーの作成はすでに運用されていた看護部のものを参考にした.試験運用は卒後1~2年のスタッフを対象とした.正式運用開始前にレベル毎の到達目標を人事考課の基準と整合性を図った上でその他の内容も修正を加え,在籍しているスタッフ全員に自己評価と他者評価をもってレベル認定を実施した.
【ラダー内容】
ラダーレベルはⅠからⅤまであり,レベルⅤの到達目標を「上司の概括的指導の下,リーダーシップを発揮し,臨床業務,一般業務ともに自らの判断で処理することができ,他スタッフの業務をサポートすることができる」と定義し,卒後1年目のスタッフが目指すレベルⅠの到達目標を「基本的な安全管理ができ,指導を受けながらリハビリテーション計画の立案・治療を行うことができる」と定義した.
【運用方法】
スタッフは年度開始時に取り組むレベルを申請し,求められている能力や具体的な指標を参考としながら学習し,経験を積む.
初期,中期で進捗状況の確認,今後の課題などについて面談を行う.
年度末に面接を実施.評価表,レベル毎に設定された課題を参考にレベル目標が達成されているか審査を行う.
【考察】
ラダー作成にあたり,まずレベル毎の到達目標を定義する.この作業で管理者が各々イメージしているセラピスト像を言語化し,共通の認識を得ることができる.次に下位項目について細分化し行動指標を決めていく.この過程で抽象的な目標を具体的な行動として考えることが必要となり,管理者がスタッフに対して「具体的にできてほしいこと」,「取ってほしい行動」が明らかとなった.
このように,ラダーを作成する過程において,管理者同士の組織や教育に対する思考を統一する効果が期待できる.
また,一般スタッフにおいては,ラダーによりあらかじめ組織が求めているセラピスト像が明らかにされ,行動指標として具体的に行うことが示されていることで,能動的な経験,学習が可能となり,指導する側においても具体的な指導を行うことが可能となった.
【まとめ】
ラダー作成の過程と運用によって,組織が求めるセラピスト像を明らかにすることができ,能動的な教育と指導が可能となる.また,その副次的効果として組織全体で教育に対する話題が増え,教育に対する意識向上へと繋がる.
当院は回復期を併設した急性期の総合病院であり,リハビリテーション部門は81名のセラピストが在籍,中途採用者も多い傾向にある.これらのスタッフはすでに臨床経験を積んでいることから即戦力として業務に入ることが大半であり改めて組織として教育を行うシステムは存在していなかった.また,新卒者については初年度のみプリセプター制度にて教育を行っていた.
このような状況の中「キャリア開発ラダー」(以下ラダー)の運用を開始し,現在2年弱が経過した.ラダーの作成過程と運用することによって得られた効果について考察する.
【作成から運用までの経過】
2年間かけラダーを作成した後,2年間試験的に運用し,2022年度より正式運用を開始した.
ラダーの作成はすでに運用されていた看護部のものを参考にした.試験運用は卒後1~2年のスタッフを対象とした.正式運用開始前にレベル毎の到達目標を人事考課の基準と整合性を図った上でその他の内容も修正を加え,在籍しているスタッフ全員に自己評価と他者評価をもってレベル認定を実施した.
【ラダー内容】
ラダーレベルはⅠからⅤまであり,レベルⅤの到達目標を「上司の概括的指導の下,リーダーシップを発揮し,臨床業務,一般業務ともに自らの判断で処理することができ,他スタッフの業務をサポートすることができる」と定義し,卒後1年目のスタッフが目指すレベルⅠの到達目標を「基本的な安全管理ができ,指導を受けながらリハビリテーション計画の立案・治療を行うことができる」と定義した.
【運用方法】
スタッフは年度開始時に取り組むレベルを申請し,求められている能力や具体的な指標を参考としながら学習し,経験を積む.
初期,中期で進捗状況の確認,今後の課題などについて面談を行う.
年度末に面接を実施.評価表,レベル毎に設定された課題を参考にレベル目標が達成されているか審査を行う.
【考察】
ラダー作成にあたり,まずレベル毎の到達目標を定義する.この作業で管理者が各々イメージしているセラピスト像を言語化し,共通の認識を得ることができる.次に下位項目について細分化し行動指標を決めていく.この過程で抽象的な目標を具体的な行動として考えることが必要となり,管理者がスタッフに対して「具体的にできてほしいこと」,「取ってほしい行動」が明らかとなった.
このように,ラダーを作成する過程において,管理者同士の組織や教育に対する思考を統一する効果が期待できる.
また,一般スタッフにおいては,ラダーによりあらかじめ組織が求めているセラピスト像が明らかにされ,行動指標として具体的に行うことが示されていることで,能動的な経験,学習が可能となり,指導する側においても具体的な指導を行うことが可能となった.
【まとめ】
ラダー作成の過程と運用によって,組織が求めるセラピスト像を明らかにすることができ,能動的な教育と指導が可能となる.また,その副次的効果として組織全体で教育に対する話題が増え,教育に対する意識向上へと繋がる.