[PQ-6-3] 回復期リハビリテーション病棟におけるADL目標共有の新たな一歩
情報シート導入の課題と可能性
【はじめに】
回復期リハビリテーション病棟では効果的なリハビリテーションを提供するためには,適切な目標設定を行い,チームで包括的にアプローチを行う多職種連携が推奨されている.その手法としてカンファレンスやミーティングを設けることが推奨されているが,時間的な制約があり,充分に目標共有されているとは言い難く,話し合う内容も各スタッフの関心や技量任せになっている現状がある.そこで患者様の目標・しているADLなどの多職種で共有が必要な情報をまとめる情報シートを作成し,試行的に運用した.その情報シートについてスタッフを対象にしたアンケート調査を行い,情報シートの意義を検討したので報告する.尚,本報告は当院倫理審査委員会の承認を得ている.
【方法】
情報シートとは当院独自にExcelで作成した,①入院中の最終目標②現在のADLと退院時のADL目標③患者様のしているADL目標及び患者様の身体機能を1週間単位で記載し,多職種で共有するものである.セラピストが病棟でしているADLの目標を記載し,それが出来ているか否か看護師が〇△×の3段階評価をする.その選択をもとに次のしているADL目標を次週以降に反映させるといった手続きを繰り返すことで最終ADLに近づけていくものである.情報シートの内容は各職種がパソコンから閲覧できるようになっており,またプチカンファレンス(担当者の職種間の話し合い)やリーダーミーティング(リーダー格の職種間の話し合い)で共有した.
対象は脳卒中及び不全脊髄損傷患者様に対して試験的に半年運用した.運用状況を使用したセラピスト17名,看護師5名にアンケートにて調査した.アンケートは情報シートを使用して良かった点,困った点を質問し,「はい」「どちらともいえない」「いいえ」の3段階で回答を求めた.感想は自由回答とした.
【結果】
調査の結果から良かった点としては「患者様の目標を意識するようになった」が68%,「自身の業務内容や役割が明確になった」が63%と挙げられた.今後検討を要する点としては「しているADLの把握ができるようなった」は45%,「多職種と連携が増えた」は31%などが挙げられた.
【考察】
樋口らは「可視化により振り返りに繋がり,自身の思考を深めることに繋がる」と述べており,情報シートを通して振り返る作業を通して「患者様の目標の意識化」・「各職種の役割の明確さ」の好意的な意見があったことに繋がると考える.また多田は「情報を共有することはメンバー間のより良い調整が可能になり,課題解決を促進することで成果が高くなる」と述べており,多職種と連携が増えたと考える.多職種との連携増加に関してはどちらともいえないといった意見もあり十分とは言えない結果となった.各職種が情報シートの記入内容に個人差がある現状もあり,今後の課題としたい.
回復期リハビリテーション病棟では効果的なリハビリテーションを提供するためには,適切な目標設定を行い,チームで包括的にアプローチを行う多職種連携が推奨されている.その手法としてカンファレンスやミーティングを設けることが推奨されているが,時間的な制約があり,充分に目標共有されているとは言い難く,話し合う内容も各スタッフの関心や技量任せになっている現状がある.そこで患者様の目標・しているADLなどの多職種で共有が必要な情報をまとめる情報シートを作成し,試行的に運用した.その情報シートについてスタッフを対象にしたアンケート調査を行い,情報シートの意義を検討したので報告する.尚,本報告は当院倫理審査委員会の承認を得ている.
【方法】
情報シートとは当院独自にExcelで作成した,①入院中の最終目標②現在のADLと退院時のADL目標③患者様のしているADL目標及び患者様の身体機能を1週間単位で記載し,多職種で共有するものである.セラピストが病棟でしているADLの目標を記載し,それが出来ているか否か看護師が〇△×の3段階評価をする.その選択をもとに次のしているADL目標を次週以降に反映させるといった手続きを繰り返すことで最終ADLに近づけていくものである.情報シートの内容は各職種がパソコンから閲覧できるようになっており,またプチカンファレンス(担当者の職種間の話し合い)やリーダーミーティング(リーダー格の職種間の話し合い)で共有した.
対象は脳卒中及び不全脊髄損傷患者様に対して試験的に半年運用した.運用状況を使用したセラピスト17名,看護師5名にアンケートにて調査した.アンケートは情報シートを使用して良かった点,困った点を質問し,「はい」「どちらともいえない」「いいえ」の3段階で回答を求めた.感想は自由回答とした.
【結果】
調査の結果から良かった点としては「患者様の目標を意識するようになった」が68%,「自身の業務内容や役割が明確になった」が63%と挙げられた.今後検討を要する点としては「しているADLの把握ができるようなった」は45%,「多職種と連携が増えた」は31%などが挙げられた.
【考察】
樋口らは「可視化により振り返りに繋がり,自身の思考を深めることに繋がる」と述べており,情報シートを通して振り返る作業を通して「患者様の目標の意識化」・「各職種の役割の明確さ」の好意的な意見があったことに繋がると考える.また多田は「情報を共有することはメンバー間のより良い調整が可能になり,課題解決を促進することで成果が高くなる」と述べており,多職種と連携が増えたと考える.多職種との連携増加に関してはどちらともいえないといった意見もあり十分とは言えない結果となった.各職種が情報シートの記入内容に個人差がある現状もあり,今後の課題としたい.