[PR-3-1] 成績不良を理由とした退学者を作らない.教育アシスタント導入の効果検証
【はじめに】
大阪リハビリテーション専門学校(以下,当校)は夜間3年生で運営しており,働きながらの学び直しを目的とした社会人学生が大半を占めている.2013年から2022年の当校の中途退学者は45名,退学理由は,学業不振,健康上の理由,経済的な理由,進路変更,その他に分けられた.中でも,学業不振を理由とした退学は,全退学者の4割以上を占める.加えて学業不振を感じるタイミングを分析すると,1年次が最も多い結果となった.
対策として2022年度より,直近の卒業生を教育アシスタントという役割で採用し,1年生の成績低迷者を対象に,学習のフォロー体制を構築した.結果として,退学者の抑制と成績の向上に繋がったので,考察を加えて報告する.なお対象となる学生には口頭にて報告内容と個人情報の取り扱いに対して説明し,その同意を得ている.
【目的】
成績低迷者に対して,学習習慣の定着と,学習方法の支援,共に頑張れる仲間を作ることを目的に卒業生による補習授業を行う.結果として,学業不振による退学者の抑制が出来ることを目的とした.
【方法】
1対象
授業内で学習面での遅れが気になる学生と,解剖学の小テストにおいて,平均点以下の学生を対象とした.他に参加を希望する学生とした.
2方法
2021年5月から7月までの土曜日(計7回),各3時間,ZOOMを用いて卒業生が補習を行う.内容は国家試験問題を中心にグループワークを実施する.問題の抽出は,授業の進行具合に合わせて,過去問から抽出し,1年生でも解ける問題にアレンジしたものを使用した.グループワークは,最終学年時に実施している小グループをイメージして実施.参加者が問題を解いてみて,わからなかった問題を1問担当し,30分程度で調べて,グループメンバーに教える形式を取った.教育アシスタントは,調べ方の支援や,未学習のところが有れば,細かく対応する役割を担った.また,教育アシスタントが国家試験対策で作成していた資料も配布し,資料の作り方などを教えるようにした.
【結果】
参加者は最大で21名,最小時は8名であった.参加を促したメンバーは,ほぼ毎回参加していた.8名の内,2名が大幅な点数向上に繋がった.残り6名は僅かな向上となった.受講生の感想としては,以下のような感想が得られた.「授業で理解できていないところを聞きやすかった」「相手も授業の大変さが分かってくれるので安心感があった」「決まった時間に毎週あるので学習習慣になった」「卒業生なので勉強以外の事も聞けて安心できた」結果として,参加者の中から退学者は出ていない.
【考察】
点数が向上した学生の共通点は,毎回出席していた.微増や向上しなかった学生は毎回の出席では無かった.学習習慣の定着や,勉強方法の獲得に繋がったと考えることは出来るが,毎回出席したもの全員が大幅な向上を得られた訳ではなく,元々に備わっている基礎学力や意欲などの影響は大きくあると考えられる.
直近の卒業生から教わる機会は,学生にとっては安心感があり,質問することへの抵抗を少し押し下げる効果があったように考えられる.点数とは別に参加者から退学者が出なかった事は,本取り組みが学生にとって安心感を得られたことが影響している印象を受けた.毎回の参加が促せなかった事や,授業と異なり参加の強制力は無い取り組みである為,こちら側が参加して欲しい学生と,実際の参加学生では,狙い通りに行かないことも今後の課題として残った.
大阪リハビリテーション専門学校(以下,当校)は夜間3年生で運営しており,働きながらの学び直しを目的とした社会人学生が大半を占めている.2013年から2022年の当校の中途退学者は45名,退学理由は,学業不振,健康上の理由,経済的な理由,進路変更,その他に分けられた.中でも,学業不振を理由とした退学は,全退学者の4割以上を占める.加えて学業不振を感じるタイミングを分析すると,1年次が最も多い結果となった.
対策として2022年度より,直近の卒業生を教育アシスタントという役割で採用し,1年生の成績低迷者を対象に,学習のフォロー体制を構築した.結果として,退学者の抑制と成績の向上に繋がったので,考察を加えて報告する.なお対象となる学生には口頭にて報告内容と個人情報の取り扱いに対して説明し,その同意を得ている.
【目的】
成績低迷者に対して,学習習慣の定着と,学習方法の支援,共に頑張れる仲間を作ることを目的に卒業生による補習授業を行う.結果として,学業不振による退学者の抑制が出来ることを目的とした.
【方法】
1対象
授業内で学習面での遅れが気になる学生と,解剖学の小テストにおいて,平均点以下の学生を対象とした.他に参加を希望する学生とした.
2方法
2021年5月から7月までの土曜日(計7回),各3時間,ZOOMを用いて卒業生が補習を行う.内容は国家試験問題を中心にグループワークを実施する.問題の抽出は,授業の進行具合に合わせて,過去問から抽出し,1年生でも解ける問題にアレンジしたものを使用した.グループワークは,最終学年時に実施している小グループをイメージして実施.参加者が問題を解いてみて,わからなかった問題を1問担当し,30分程度で調べて,グループメンバーに教える形式を取った.教育アシスタントは,調べ方の支援や,未学習のところが有れば,細かく対応する役割を担った.また,教育アシスタントが国家試験対策で作成していた資料も配布し,資料の作り方などを教えるようにした.
【結果】
参加者は最大で21名,最小時は8名であった.参加を促したメンバーは,ほぼ毎回参加していた.8名の内,2名が大幅な点数向上に繋がった.残り6名は僅かな向上となった.受講生の感想としては,以下のような感想が得られた.「授業で理解できていないところを聞きやすかった」「相手も授業の大変さが分かってくれるので安心感があった」「決まった時間に毎週あるので学習習慣になった」「卒業生なので勉強以外の事も聞けて安心できた」結果として,参加者の中から退学者は出ていない.
【考察】
点数が向上した学生の共通点は,毎回出席していた.微増や向上しなかった学生は毎回の出席では無かった.学習習慣の定着や,勉強方法の獲得に繋がったと考えることは出来るが,毎回出席したもの全員が大幅な向上を得られた訳ではなく,元々に備わっている基礎学力や意欲などの影響は大きくあると考えられる.
直近の卒業生から教わる機会は,学生にとっては安心感があり,質問することへの抵抗を少し押し下げる効果があったように考えられる.点数とは別に参加者から退学者が出なかった事は,本取り組みが学生にとって安心感を得られたことが影響している印象を受けた.毎回の参加が促せなかった事や,授業と異なり参加の強制力は無い取り組みである為,こちら側が参加して欲しい学生と,実際の参加学生では,狙い通りに行かないことも今後の課題として残った.