[PR-4-3] 作業療法学生が実施する認知症予防講座において学生が重要視する要素の変化
実施前後および振り返り後での3群比較
【はじめに】
近年では作業療法の地域共生が推進され,作業療法教育でも健康教室やオレンジカフェに学生が同行する報告が散見されるようになった.しかし実践報告で具体的な取り組み内容が明示されるものの,地域実践による学生の学びを追求する報告は少ない.本校では青梅市の協力のもと市民を対象とした認知症予防講座を学生主体で実施している.学生は実践によって自ら学ぶ場合もあれば,他者との振り返りの過程で学ぶこともあると思われたため調査を行った.
【目的】
作業療法学生が認知症予防講座を企画運営する際に重要視している作業療法の要素を把握し,講座の実施前後および講座後日に振り返りをした時期による違いを検討する.
【方法】
研究対象者:本校(3年課程)2023年度作業療法学科2年生37名.対象者には本研究の目的・内容および個人情報の管理に関する説明をし, 調査の回答をもって同意とした.
講座内容:1講座90分,全5回.学生は5グループに分かれ,各グループで考えた講座を1回ずつ担当した.「作業療法学生による認知症予防講座」として市の広報誌に掲載し参加者を募集した.学生は授業の課題として全員が講座の企画から実施までを担い,会場下見やクラスメイトを相手に予行演習なども行った.実際の講座中の様子は動画で記録し,後日動画を見ながらクラス全員で振り返りを行った.振り返りは概ね各講座の1週間後に実施した.
調査内容:調査票は山根による作業療法の治療構造における構成要素を参考にグーグルフォームを用いて作成した.内容は,講座を実施する際の重要度について「対象者の年齢」「性別」「作業の特性」「会場の特徴」「実施時間」「集団の特性」「自分の特性」「グループメンバーの特性」の8項目に対して,とても重要である・重要である・あまり重要ではない・重要でない,を回答する4件法とした.回答は,講座実施前(企画中)・講座実施直後・クラス全体の振り返り後の3回に分けて実施した.
分析方法:とても重要であるを4点~重要でないを1点とし,学生の学習経験の違い(講座前・講座後・振り返り後)により,学生が認識する講座実施の際の重要度に差があるかどうかをクラスカル・ウォリス検定にて実施した.
【結果】
有効回答数は調査順に100%,91.9%,89.1%であった.「場」ついて,実施前より実施直後の方で重要性が高くなり,有意差が認められた(P=0.0492).また,「時間」については,実施前より振り返り後の方で重要性が高くなり,有意差が認められた(P=0.0127).その他の項目については,有意差は認められなかった.
【考察】
学生は事前に会場下見をしたうえで机の配置などを決定しているが,実践しながら様々な場面で想定の甘さを感じ,実施直後に場の重要性を高く認識する結果になったと思われる.また,学生は企画したことをそのまま実践しようとする意識が強く,講座によっては予定時間を20分以上残して終了したり,超過したりすることもあった.教員は振り返り時に臨床場面での時間管理の重要性を具体例とともに指摘したため,学生は実施直後よりも振り返り後にその重要性を認識したものと思われる.実践により学生が自ら気づきを得ることは大切であるが,加えて学生が重要性に気づけるように臨床経験を持つ教員が助言することの必要性が示唆された.
近年では作業療法の地域共生が推進され,作業療法教育でも健康教室やオレンジカフェに学生が同行する報告が散見されるようになった.しかし実践報告で具体的な取り組み内容が明示されるものの,地域実践による学生の学びを追求する報告は少ない.本校では青梅市の協力のもと市民を対象とした認知症予防講座を学生主体で実施している.学生は実践によって自ら学ぶ場合もあれば,他者との振り返りの過程で学ぶこともあると思われたため調査を行った.
【目的】
作業療法学生が認知症予防講座を企画運営する際に重要視している作業療法の要素を把握し,講座の実施前後および講座後日に振り返りをした時期による違いを検討する.
【方法】
研究対象者:本校(3年課程)2023年度作業療法学科2年生37名.対象者には本研究の目的・内容および個人情報の管理に関する説明をし, 調査の回答をもって同意とした.
講座内容:1講座90分,全5回.学生は5グループに分かれ,各グループで考えた講座を1回ずつ担当した.「作業療法学生による認知症予防講座」として市の広報誌に掲載し参加者を募集した.学生は授業の課題として全員が講座の企画から実施までを担い,会場下見やクラスメイトを相手に予行演習なども行った.実際の講座中の様子は動画で記録し,後日動画を見ながらクラス全員で振り返りを行った.振り返りは概ね各講座の1週間後に実施した.
調査内容:調査票は山根による作業療法の治療構造における構成要素を参考にグーグルフォームを用いて作成した.内容は,講座を実施する際の重要度について「対象者の年齢」「性別」「作業の特性」「会場の特徴」「実施時間」「集団の特性」「自分の特性」「グループメンバーの特性」の8項目に対して,とても重要である・重要である・あまり重要ではない・重要でない,を回答する4件法とした.回答は,講座実施前(企画中)・講座実施直後・クラス全体の振り返り後の3回に分けて実施した.
分析方法:とても重要であるを4点~重要でないを1点とし,学生の学習経験の違い(講座前・講座後・振り返り後)により,学生が認識する講座実施の際の重要度に差があるかどうかをクラスカル・ウォリス検定にて実施した.
【結果】
有効回答数は調査順に100%,91.9%,89.1%であった.「場」ついて,実施前より実施直後の方で重要性が高くなり,有意差が認められた(P=0.0492).また,「時間」については,実施前より振り返り後の方で重要性が高くなり,有意差が認められた(P=0.0127).その他の項目については,有意差は認められなかった.
【考察】
学生は事前に会場下見をしたうえで机の配置などを決定しているが,実践しながら様々な場面で想定の甘さを感じ,実施直後に場の重要性を高く認識する結果になったと思われる.また,学生は企画したことをそのまま実践しようとする意識が強く,講座によっては予定時間を20分以上残して終了したり,超過したりすることもあった.教員は振り返り時に臨床場面での時間管理の重要性を具体例とともに指摘したため,学生は実施直後よりも振り返り後にその重要性を認識したものと思われる.実践により学生が自ら気づきを得ることは大切であるが,加えて学生が重要性に気づけるように臨床経験を持つ教員が助言することの必要性が示唆された.