[PR-4-5] 作業療法学生がコロナ禍実習で抱いた不安感の質的分析
3年前調査時との不安感の変容に考察を加える
【序論】新型コロナウイルス感染症は5類感染症となるも,臨地実習における実習学生が受ける影響は大きい.実習形態の変更や徹底した感染対策が求められる実習学生の不安感を把握した学内対応が必要となっている.
【目的】コロナ禍の臨地実習でどのような不安感を抱いたのかを明らかにし,今後の臨地実習オリエンテーション時の示唆を得る.
【方法】対象者はA大学に所属する作業療法学科4年生であり,2022年7月~2023年9月の期間,コロナ禍の臨地実習を経験し本研究の趣旨に同意した者とした.なお本研究は,本学園倫理審査委員会の承認を得た(承認番号0046).
調査方法は,コロナ禍の臨地実習で抱いた不安感について個別インタビューを実施した.インタビューガイドは,前回の研究結果を踏まえて実習形態の変更や実習経験の不足,感染源となる不安等について作成した.対象者のコメントは,ICレコーダーで記録し逐語録を作成した.次にインタビューデータの分析にはKJ法を用いた.KJ法とは,複雑多様なデータの概念を創造的に統合することで構造の本質を明らかにする特徴がある.また筆者は,KJ法本部が主催する正規のトレーニングを修了している.これらの理由より本研究のデータ分析にKJ法が適切であると判断した.
インタビューデータから1つの事柄に1ラベルを作成した.次に全体感を勘案してラベルの質の近さを相対的に吟味しグループを編成し,グループの特性を端的に言い表す表札をつけた.このグループ編成を10グループ以内になるまで繰り返し,最終グループの表札にはそれを端的に表現する概念をつける.最後にグループ同士の因果関係や関連づけを検討し図解化や叙述化を行った.叙述化では,本文においてラベルを「 」,ラベル内の筆者補注を( ),グループの表札を< >,最終グループの表札の概念を【 】で示した.なお,本研究は分析結果の信頼性・妥当性を確保するため,質的研究に精通した研究者や本実習に関わった作業療法学科教員にスーパーバイズを受け修正をした.
【結果】本研究の対象者は計9名(男性3名,女性6名)であった.分析の結果,インタビューデータから101枚のラベルが作成され,最終は6グループとなった.また,図解化に続きグループ全体の構造をストーリーとなるよう文章化した.
実習学生は,感染状況により<実習中止等の予測不可能な変更の心配>を抱え【急な変更に対応する疲労感】を持っていた.また【実習経験の不足】において「みんなはどんどん進んでて「実習,大変」って話を聞くのに(実習が開始できない)」と<他学生と比較し心配になる>ことが伺われた.
実習学生は,<感染する不安と感染させる不安>を感じ【感染への恐怖】を抱えていた.一方で【感染対策の制限と我慢】は,ストレスを高め孤独を深めていた.しかし「アイガードが曇って大変だとは思ったが,めんどくさいとは思わなかった」と【コロナ禍実習に順応】していた.他にも「(コロナに)なったら,なったかなと思っていた」と<万全に感染対策をした後に覚悟を持つ>様子から,実習場面において<コロナ禍に慣れて上手く対応>していた.さらに「(急遽休みになり)少し休めてラッキーかなと思った」とコロナ禍実習を【前向きな気持ち】で捉えていた.
【考察】3年前の調査と比較すると,感染状況により実習学生の処遇が急に変更することや,感染への恐れはあるが制限や我慢がストレスや孤独を深めていることに変化はなかった.一方で,コロナ禍に上手く対応し前向きな気持ちで実習に臨んでいた.これは対象者が入学当初よりコロナ禍で過ごし順応してきたことが背景に考えられ,3年前の研究では存在しなかった概念が明らかとなった.
【目的】コロナ禍の臨地実習でどのような不安感を抱いたのかを明らかにし,今後の臨地実習オリエンテーション時の示唆を得る.
【方法】対象者はA大学に所属する作業療法学科4年生であり,2022年7月~2023年9月の期間,コロナ禍の臨地実習を経験し本研究の趣旨に同意した者とした.なお本研究は,本学園倫理審査委員会の承認を得た(承認番号0046).
調査方法は,コロナ禍の臨地実習で抱いた不安感について個別インタビューを実施した.インタビューガイドは,前回の研究結果を踏まえて実習形態の変更や実習経験の不足,感染源となる不安等について作成した.対象者のコメントは,ICレコーダーで記録し逐語録を作成した.次にインタビューデータの分析にはKJ法を用いた.KJ法とは,複雑多様なデータの概念を創造的に統合することで構造の本質を明らかにする特徴がある.また筆者は,KJ法本部が主催する正規のトレーニングを修了している.これらの理由より本研究のデータ分析にKJ法が適切であると判断した.
インタビューデータから1つの事柄に1ラベルを作成した.次に全体感を勘案してラベルの質の近さを相対的に吟味しグループを編成し,グループの特性を端的に言い表す表札をつけた.このグループ編成を10グループ以内になるまで繰り返し,最終グループの表札にはそれを端的に表現する概念をつける.最後にグループ同士の因果関係や関連づけを検討し図解化や叙述化を行った.叙述化では,本文においてラベルを「 」,ラベル内の筆者補注を( ),グループの表札を< >,最終グループの表札の概念を【 】で示した.なお,本研究は分析結果の信頼性・妥当性を確保するため,質的研究に精通した研究者や本実習に関わった作業療法学科教員にスーパーバイズを受け修正をした.
【結果】本研究の対象者は計9名(男性3名,女性6名)であった.分析の結果,インタビューデータから101枚のラベルが作成され,最終は6グループとなった.また,図解化に続きグループ全体の構造をストーリーとなるよう文章化した.
実習学生は,感染状況により<実習中止等の予測不可能な変更の心配>を抱え【急な変更に対応する疲労感】を持っていた.また【実習経験の不足】において「みんなはどんどん進んでて「実習,大変」って話を聞くのに(実習が開始できない)」と<他学生と比較し心配になる>ことが伺われた.
実習学生は,<感染する不安と感染させる不安>を感じ【感染への恐怖】を抱えていた.一方で【感染対策の制限と我慢】は,ストレスを高め孤独を深めていた.しかし「アイガードが曇って大変だとは思ったが,めんどくさいとは思わなかった」と【コロナ禍実習に順応】していた.他にも「(コロナに)なったら,なったかなと思っていた」と<万全に感染対策をした後に覚悟を持つ>様子から,実習場面において<コロナ禍に慣れて上手く対応>していた.さらに「(急遽休みになり)少し休めてラッキーかなと思った」とコロナ禍実習を【前向きな気持ち】で捉えていた.
【考察】3年前の調査と比較すると,感染状況により実習学生の処遇が急に変更することや,感染への恐れはあるが制限や我慢がストレスや孤独を深めていることに変化はなかった.一方で,コロナ禍に上手く対応し前向きな気持ちで実習に臨んでいた.これは対象者が入学当初よりコロナ禍で過ごし順応してきたことが背景に考えられ,3年前の研究では存在しなかった概念が明らかとなった.