[PR-5-7] 自助具製作実習プログラムの試行と効果の検討
【はじめに】作業療法において自助具による支援は,作業療法の多くの成書で扱われている内容であり,古典的で作業療法を特徴づける重要な技術といえる.また,知識の教授だけではなく,対象者に役立つ自助具の評価を含む具体的な製作技術を習得する必要がある.しかし,限られたカリキュラムの時間の中でどのようなプログラムで実施するかは示されておらず,養成校の共通した課題となっていると考えられる.そこで今回,90分×6回の講義を用いて自助具製作の技術を学ぶ実技プログラムを作成し実施した.その内容を報告するともに自助具の授業プログラムについて検討を行い,効果的なプログラムを探索的に検討することを目的とした.【方法】対象は作業療法養成大学において後に述べる自助具製作実習(90分×6回)を経験した学生(3年次,44名)とした.各々の実習終了後,授業内容についてアンケート調査を行った.また,学生の実習記録に関しても分析対象とした.尚,調査は当該大学の倫理審査を許可のもとに目的等を説明し同意を得て実施した.
【自助具製作実習プログラム】プログラムは,①組み立て工程の難易度が低いものから高いものへ段階づけられていること.②工作に必要な材料や加工技術(必要とされる工作器具)が同様に段階づけられていること.③時間内に無理なく製作できるように課題が選択されていること.以上の3つの要素を満たし,作業療法現場で製作されることが多いと考えられる代表的な自助具の製作ができるように授業を計画した.また,定型的な実習記録用紙を作成し,実習内容の振り返りが効率よくできるように工夫した.これらの観点から自助具の製作課題は①万能カフ,②ピンセット箸,③台付きツメ切り,④台付きハサミ,⑤マウス型筆記具,とした.使用材料は,布の接着,軽微な木材加工,大掛かりな木材加工,アクリル材を用いた工作技術へと段階づけられるようにした.実習後,①~⑤の各々についてアンケート調査を行った.【結果】各課題の平均製作時間は,①万能カフ(46.1分),②ピンセット箸(44.4分),③台付きツメ切り(77.3分),④台付きハサミ(51.1分),⑤マウス型筆記具(94.5分)だった.実習時間数の妥当性は,適切(6.8%),やや適切(90.9%)だった.課題の満足度は,満足(20.5%),やや満足(70.5%)だった.今後の作業療法(実習を含む)に役立つと思うかについては,役立つ(68.2%),やや役立つ(31.8%)だった.自助具に対する興味・関心については,高まった(56.8%),やや高まった(43.2%)だった.一方,使用した電動工具は今後うまく使えるかについては,思わない(2.3%),あまり思わない(25.0%)と低い評価が目立った.難しいと感じた課題については⑤が39.4%,②および③が22.7%に挙げられていた.難しいと感じた電動工具については,電動糸のこ(41.1%),アクリル曲げ機(25.0%),ボール盤(16.1%),電動サンダー(12.5%)だった.【考察】アンケート結果から実習プログラムは概ね妥当なものと考えられた.平均製作時間からはほぼ予定時間内に終了できることがわっかた.③および④の製作時間は,台数の少ない工作器具の順番待ちにより長くなったと考えられたが,このような待ち時間は実習記録の記入に活用することができていた.工作技術に関しては電動工具への自己評価にばらつきがあり,特に⑤のアクリル材料を使用と加工に関する難しさが影響したと考えた.今後の実習プログラムには,使用する電動工具の操作や必要とされる加工材料に抵抗感なく習熟できるよう,電動工具の操作に関する時間を設けることが検討事項として挙げられた.
【自助具製作実習プログラム】プログラムは,①組み立て工程の難易度が低いものから高いものへ段階づけられていること.②工作に必要な材料や加工技術(必要とされる工作器具)が同様に段階づけられていること.③時間内に無理なく製作できるように課題が選択されていること.以上の3つの要素を満たし,作業療法現場で製作されることが多いと考えられる代表的な自助具の製作ができるように授業を計画した.また,定型的な実習記録用紙を作成し,実習内容の振り返りが効率よくできるように工夫した.これらの観点から自助具の製作課題は①万能カフ,②ピンセット箸,③台付きツメ切り,④台付きハサミ,⑤マウス型筆記具,とした.使用材料は,布の接着,軽微な木材加工,大掛かりな木材加工,アクリル材を用いた工作技術へと段階づけられるようにした.実習後,①~⑤の各々についてアンケート調査を行った.【結果】各課題の平均製作時間は,①万能カフ(46.1分),②ピンセット箸(44.4分),③台付きツメ切り(77.3分),④台付きハサミ(51.1分),⑤マウス型筆記具(94.5分)だった.実習時間数の妥当性は,適切(6.8%),やや適切(90.9%)だった.課題の満足度は,満足(20.5%),やや満足(70.5%)だった.今後の作業療法(実習を含む)に役立つと思うかについては,役立つ(68.2%),やや役立つ(31.8%)だった.自助具に対する興味・関心については,高まった(56.8%),やや高まった(43.2%)だった.一方,使用した電動工具は今後うまく使えるかについては,思わない(2.3%),あまり思わない(25.0%)と低い評価が目立った.難しいと感じた課題については⑤が39.4%,②および③が22.7%に挙げられていた.難しいと感じた電動工具については,電動糸のこ(41.1%),アクリル曲げ機(25.0%),ボール盤(16.1%),電動サンダー(12.5%)だった.【考察】アンケート結果から実習プログラムは概ね妥当なものと考えられた.平均製作時間からはほぼ予定時間内に終了できることがわっかた.③および④の製作時間は,台数の少ない工作器具の順番待ちにより長くなったと考えられたが,このような待ち時間は実習記録の記入に活用することができていた.工作技術に関しては電動工具への自己評価にばらつきがあり,特に⑤のアクリル材料を使用と加工に関する難しさが影響したと考えた.今後の実習プログラムには,使用する電動工具の操作や必要とされる加工材料に抵抗感なく習熟できるよう,電動工具の操作に関する時間を設けることが検討事項として挙げられた.