[PR-6-4] 本邦の集中治療における作業療法教育に関する実態調査
【はじめに】近年では集中治療における早期リハビリテーションが注目されている.本邦において,作業療法の報告数は徐々に増加傾向にあるが,未だ発展途上にあり,また,ICUでは作業療法実践が難しく,専門性が発揮しにくいとの報告がある.その理由の一つとして,教育体制の課題が挙げられるが,卒前や卒後において,集中治療に関連した教育を作業療法士はどのように受け,実践しているのかは不明である.
【目的】集中治療に従事する作業療法士はICUで作業療法を実践するにあたって,どのように卒前教育を受けたと認識し,また卒後にどのように学習しているのか,さらに教育の必要性を明らかにすることである.
【対象・方法】日本集中治療医学会の専門医研修施設である359の施設(2023年12月現在)を対象とし,インターネットを用いたアンケート調査を実施した.研究対象者は,専門医研修施設に在籍し,集中治療に従事する作業療法士1名,もしくは作業療法部門長とした.研究依頼・説明文書を郵送し,アンケートの回答を依頼,回答をもって本研究の参加の同意とみなした.調査期限は,文書を受け取ってから2週間とした.アンケート内容はICUにおける作業療法士の実施率と卒前・卒後教育に関する項目とした.収集したデータの分析には,総数に対する割合を単純集計にて百分率(%)で算出し,複数回答の質問は合計して全体の百分率(%)を算出した.倫理的配慮として当該機関の倫理審査委員会の承認を得て実施した.(承認番号:2023-203-B)なお,本研究は一般社団法人神奈川県作業療法士会2023年度研究助成事業の研究課題として実施している.
【結果】アンケートは全359施設中,139施設から回答があった(回収率38.7%). ICUでの作業療法実施率は91.4%,介入頻度は必ず介入している(7回/週)は11.5%,やや介入頻度は高い(5~6回/週)は40.3%,介入頻度は中等度(3~4回/週)は21.6%,あまり介入していない(1~2回/週)は18.0%であった.卒前に教育を受けていないと答えた作業療法士は77.7%であり,覚えていないが17.3%であった.ICUに従事する作業療法士の95.1%は自己学習,85.3.%は他職種からの指導にて学習していた.また卒前教育の必要性を89.2%(絶対必要44.4%,やや必要度は高い25.9%,必要度は中程度44.4%),卒後教育の必要性を97.1%(絶対必要42.2%,やや必要度は高い32.4%,必要度は中程度22.5%)の作業療法士が感じていた.
【考察】多くの作業療法士は養成校時代に集中治療に関する教育を受けたという認識は欠しい状況にあった.しかし,本邦において作業療法士のICU実施率は高く,作業療法士は卒後に自己学習,もしくは他職種からの教育を受けながら作業療法実践を行っていることが明らかとなった.これは,作業療法士がICUで実践する困難さや専門性が発揮しにくいことと関連していると考えられ,作業療法士自身が教育の必要性を要望しているように,教育面への不足が課題となった.
【目的】集中治療に従事する作業療法士はICUで作業療法を実践するにあたって,どのように卒前教育を受けたと認識し,また卒後にどのように学習しているのか,さらに教育の必要性を明らかにすることである.
【対象・方法】日本集中治療医学会の専門医研修施設である359の施設(2023年12月現在)を対象とし,インターネットを用いたアンケート調査を実施した.研究対象者は,専門医研修施設に在籍し,集中治療に従事する作業療法士1名,もしくは作業療法部門長とした.研究依頼・説明文書を郵送し,アンケートの回答を依頼,回答をもって本研究の参加の同意とみなした.調査期限は,文書を受け取ってから2週間とした.アンケート内容はICUにおける作業療法士の実施率と卒前・卒後教育に関する項目とした.収集したデータの分析には,総数に対する割合を単純集計にて百分率(%)で算出し,複数回答の質問は合計して全体の百分率(%)を算出した.倫理的配慮として当該機関の倫理審査委員会の承認を得て実施した.(承認番号:2023-203-B)なお,本研究は一般社団法人神奈川県作業療法士会2023年度研究助成事業の研究課題として実施している.
【結果】アンケートは全359施設中,139施設から回答があった(回収率38.7%). ICUでの作業療法実施率は91.4%,介入頻度は必ず介入している(7回/週)は11.5%,やや介入頻度は高い(5~6回/週)は40.3%,介入頻度は中等度(3~4回/週)は21.6%,あまり介入していない(1~2回/週)は18.0%であった.卒前に教育を受けていないと答えた作業療法士は77.7%であり,覚えていないが17.3%であった.ICUに従事する作業療法士の95.1%は自己学習,85.3.%は他職種からの指導にて学習していた.また卒前教育の必要性を89.2%(絶対必要44.4%,やや必要度は高い25.9%,必要度は中程度44.4%),卒後教育の必要性を97.1%(絶対必要42.2%,やや必要度は高い32.4%,必要度は中程度22.5%)の作業療法士が感じていた.
【考察】多くの作業療法士は養成校時代に集中治療に関する教育を受けたという認識は欠しい状況にあった.しかし,本邦において作業療法士のICU実施率は高く,作業療法士は卒後に自己学習,もしくは他職種からの教育を受けながら作業療法実践を行っていることが明らかとなった.これは,作業療法士がICUで実践する困難さや専門性が発揮しにくいことと関連していると考えられ,作業療法士自身が教育の必要性を要望しているように,教育面への不足が課題となった.