[PR-9-3] 離床コーディネーターの教育体制構築への取り組み
【はじめに】
1日4時間以上の離床により四肢骨格筋量と摂食嚥下機能が維持されるとの報告もある等,適切な離床は意識障害,廃用症候群,褥瘡,摂食嚥下障害,排泄障害などの二次障害の予防・改善に対する効果が予測される.また,それに留まらず,活動と参加に向けた離床の目標を立案し日常的に離床することで身体機能や精神機能にも良い影響を与えることが期待されている.平成医療福祉グループでは入院患者の「目的を持った離床」を促進するため,2016年1月に離床促進チームを発足し,同年4月より,多職種で離床を促進するファシリテーターとして療法士の中から離床コーディネーターを擁立し,各病棟に配置している.2024年2月現在,26病院で100名を超える離床コーディネーターが季節行事やレクリエーション等,多職種と協力し様々な取り組みを実施している.
【目的】
離床コーディネーターの教育については,離床促進チームが中心となり年に数回,集合型研修を実施してきた.しかし,2020年からの新型コロナウイルス感染症の流行により,入院患者の活動が制限される中,離床コーディネーターも十分な活動・研修ができない状況が続いた.そこで,コロナ禍においても継続した活動と学びの場を確保することを目的に,離床促進チームで離床コーディネーターの教育体制について再検討を行った.
【方法】
これまでの離床コーディネーターの教育体制を振り返り,経験に応じた研修を企画した.経験に応じた活動目標を設定し,離床コーディネーターとして求められるスキルやリスク管理,業務のフロー,多職種協働に向けた働きかけ等をカリキュラムとして盛り込んだ.また,自院の離床状況を振り返り,課題とその解決に向けた取り組みを立案する等の課題分析を取り入れた.
【結果】
離床コーディネーターには着任時,着任後3か月・6か月の経時的な研修受講を義務付けた.コロナ禍でも継続的に受講できるよう,オンデマンド配信とし,受講完了の確認をGoogleフォームで行った.また,着任時の研修を受講した者は専用のネックストラップを着用し活動を行うこととした.これにより,より多くの院内他職種が離床コーディネーターの存在を認識することができた.
【考察】
入院中に行うリハビリテーションは在宅復帰を目指すケースや施設内自立を目指すケース等,目標は様々である.しかし,生活の多くは離床して行うものであり,リハビリテーションにとって離床は重要な要素である.また,ただ離床するのではなく,目的をもった離床を行うことは患者にとって重要であり,離床を多職種と協働し進めていくためにはファシリテーターである離床コーディネーターが必要であると考える.これまでは離床コーディネーター個々のスキルに頼る部分が多かったが,この度,経時的な研修を構築したことで離床コーディネーターの基礎スキルの向上に寄与できたと考える.今後も「目的を持った離床」のために離床コーディネーターが能動的に活動できるよう,研修制度の充実や相互ラウンド等を企画していく必要があると考える.
1日4時間以上の離床により四肢骨格筋量と摂食嚥下機能が維持されるとの報告もある等,適切な離床は意識障害,廃用症候群,褥瘡,摂食嚥下障害,排泄障害などの二次障害の予防・改善に対する効果が予測される.また,それに留まらず,活動と参加に向けた離床の目標を立案し日常的に離床することで身体機能や精神機能にも良い影響を与えることが期待されている.平成医療福祉グループでは入院患者の「目的を持った離床」を促進するため,2016年1月に離床促進チームを発足し,同年4月より,多職種で離床を促進するファシリテーターとして療法士の中から離床コーディネーターを擁立し,各病棟に配置している.2024年2月現在,26病院で100名を超える離床コーディネーターが季節行事やレクリエーション等,多職種と協力し様々な取り組みを実施している.
【目的】
離床コーディネーターの教育については,離床促進チームが中心となり年に数回,集合型研修を実施してきた.しかし,2020年からの新型コロナウイルス感染症の流行により,入院患者の活動が制限される中,離床コーディネーターも十分な活動・研修ができない状況が続いた.そこで,コロナ禍においても継続した活動と学びの場を確保することを目的に,離床促進チームで離床コーディネーターの教育体制について再検討を行った.
【方法】
これまでの離床コーディネーターの教育体制を振り返り,経験に応じた研修を企画した.経験に応じた活動目標を設定し,離床コーディネーターとして求められるスキルやリスク管理,業務のフロー,多職種協働に向けた働きかけ等をカリキュラムとして盛り込んだ.また,自院の離床状況を振り返り,課題とその解決に向けた取り組みを立案する等の課題分析を取り入れた.
【結果】
離床コーディネーターには着任時,着任後3か月・6か月の経時的な研修受講を義務付けた.コロナ禍でも継続的に受講できるよう,オンデマンド配信とし,受講完了の確認をGoogleフォームで行った.また,着任時の研修を受講した者は専用のネックストラップを着用し活動を行うこととした.これにより,より多くの院内他職種が離床コーディネーターの存在を認識することができた.
【考察】
入院中に行うリハビリテーションは在宅復帰を目指すケースや施設内自立を目指すケース等,目標は様々である.しかし,生活の多くは離床して行うものであり,リハビリテーションにとって離床は重要な要素である.また,ただ離床するのではなく,目的をもった離床を行うことは患者にとって重要であり,離床を多職種と協働し進めていくためにはファシリテーターである離床コーディネーターが必要であると考える.これまでは離床コーディネーター個々のスキルに頼る部分が多かったが,この度,経時的な研修を構築したことで離床コーディネーターの基礎スキルの向上に寄与できたと考える.今後も「目的を持った離床」のために離床コーディネーターが能動的に活動できるよう,研修制度の充実や相互ラウンド等を企画していく必要があると考える.