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[AAS22-02] 衛星から観測された中国上空の対流圏最下層におけるオゾン増大:紫外放射観測からとらえた初めての事例
キーワード:対流圏オゾン, 衛星観測, 紫外線, 大気汚染
本発表は、衛星からの紫外放射観測でとらえられた東・中部中国における最下層(およそ0?3000m)のオゾンの顕著な増大現象に関する初めての報告である。EOS/Aura 衛星に搭載されたOzone Monitoring Instrument (OMI) の最近のプロダクトから、対流圏最下層のオゾン時空間変動が明らかになった[Liu et al., ACP, 2010]。東・中部中国上空におけるオゾンの増加は、毎年6月に顕著で、同じ時期にMeasurements Of Pollution In The Troposphere (MOPITT)で観測されたCO濃度やMODerate resolution Imaging Spectroradiometer (MODIS)で観測されたホットスポット(火災検知の指標)も増加していた。このことから、増大したオゾン量のかなりの部分は冬小麦の残渣焼却によるバイオマス燃焼による結果ではないかと推測される。オゾンの増加は秋や冬にも東・中部中国で毎年観測されているが、ホットスポットを伴わない時期もある。このことは、バイオマスバーニングではなく、工業活動、自動車、暖房などからのCO放出がオゾン生成に影響した可能性を示唆している。謝辞本研究はハーバードスミソニアン宇宙研究所のXiong Liu 博士、Kelly Chance博士との共同研究である。本研究は文部科学省GRENE-eiプログラムの支援をうけている.